第一話 ショウとヨウ
「うぇ~うわぁ~」
妊娠が発覚して9ヶ月と二週。大きな産声をあげ誕生した赤ん坊。そしてその数十分後に二人目が誕生した。
そう、双子の姉妹として彼女らはこの世に降り立った。
「あぁ、本当に愛おしい。私はあなたたちに出逢うために生きてきた」
母親は出産時の激痛による流れ出た大量の汗と涙。
我が子二人を抱いた今それは激痛によるものではなく歓喜に満ちた涙。
「……名前はもう決まってる。けどもうちょっとだけ待っててね」
スーツ姿で慌ただしく病院のフロントに駆け寄る男。その男は生まれたこの父親ですぐさま母子の元へと案内される。
「ごめん、本当にごめん。かなり急いだんだけど間に合わなかった」
何度も謝る旦那にたいして妻は「あまり気にしてないよ」と宥めると同時に「いつもお疲れさま」と労う。
その労いに悔しさと情けなさにより涙がこぼれ落ちる。
「ねぇ、この子達をみて」
旦那は生まれたての赤ん坊を見ると、その愛くるしさで涙の量がほんの少し多くでる。
「生まれる前に二人で決めた、この子達の名前」
妻は右手で抱いている子を見る。
「この子がお姉ちゃんの『ショウ』」
旦那は妻の左手で抱いている子をそっと触れる。
「だったら、この子が妹の『ヨウ』」
「この子達はいつまでも悩み合って喧嘩し合って助け合って、成長していってほしいね」
名前付けるときは声を震わしてはいたが涙の量は少なくなっていた旦那がまた泣き始めた。
「パパになったんだからそろそろ泣き止みなって」
その様子を見て妻は笑った。