帰り道
「えりちゃん、お前のこと好きらしいで」
「えっ?」
「り?」
「今、そんなんええねん」
「ごめんごめん」
「俺、渡邉さんと接点なんかないけど、ほんまなん?それ」
「うん。ガチガチのガチ」
「どこ情報なん」
「渡邊産。今朝とれたてのピチピチ情報」
「産地直送かい」
「えりが好きなのは、長谷川君です。ってほっぺ赤くした照れ顔付きや」
「生産者の顔みたいなんあるけど、そんなんええねん。信じられへんわ」
「まー、一旦えりちゃんがお前のこと好きって仮定しとこや」
「お前目線は仮定じゃなくて、確定なんやろ」
「確黒」
「人狼やんけ。俺、渡邉さんに喰われてまうやん」
「その展開めっちゃアツいやん」
「そっちの喰うちゃうわ、ボケ。てか、なんで俺のこと好きとか、渡邉さん言うてなかったん?」
「えりちゃん、2年の文化祭のときからお前のこと好きやねんて」
「ほな、俺ちゃうやないかい。俺、そんとき試合で公欠しとんねん」
「いや、やっぱりお前で合ってるわ」
「どゆこと」
「他の部員は試合終わりに午後から来てクラスの出し物手伝ってくれたのに、お前は文化祭に来れたのに来んっていう協調性の無さにえりちゃんはグッと来たらしい」
「渡邉さん、キツっ。いや、俺もだいぶ痛いけど、そこ好きになる渡邉さんもだいぶ痛いなー。俺、そんな子無理やわ」
「あんまおらんで、こんな子。俺が付き合いたいくらいやわ」
「ほな、お前が渡邉さんと付き合えよ。正直、かわいくないし、俺はええわ。てか、お前、なんでそんな情報ゲットしてきたん」
「あー、今朝えりちゃんに告白して振られたから」
「え?????」
「り?」
「どんな気分でそのボケしてんねん」