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後篇 鞍馬君……(※怪異、一人称)
あの子が来た。
私の所に。
変な男を連れて
私の前に戻った。
変な呪文で、私を縛る
私の体を消すような
そんな呪文で、私を嬲る
私を嬲って、ころころ回す
私が「止めて」と叫ぶ中で
私の体を弄ぶ
私はただの、人形だ
アイツ等の暴力を満たす、ただの人形
廃墟の中に入れられた、野性の獣
獣は人間に捕らえられ、その体を嬲られる
私は、それに耐えた
耐えて、耐えて、耐えつづけた
鞍馬君の事を思って
私は、この苦痛に……
奴等は、私の服を裂いた
嫌らしい意味ではなく
私の服を裂いて、この胸に刃を刺した
私は胸の痛みに悶える中で、貴方の、その笑顔を思った
「鞍馬君、助けて……」




