瞳 初の戦い
カルテー二の声がした
俺は、ただ激しい頭痛に悶え苦しむだけだった
「くそ、早く……通信機を…!!」
ベッドに置いてあった通信機をとるのも一苦労で、俺は早く助けを呼びたかった
"貴明と同じ能力者になったことを恨むんだな蒼山滝 親が最強の能力者である限り、能力者になることは、避けられないのだ……!!"
「俺は、能力者になったことを、恨んじゃいない!!!」
なんとか力を振り絞り、通信機で仲間を呼んだ
(早く助けに来てくれ…!!)
「滝!?」
司令官室ですぐに司令官は気づいてくれた
(一体なにがあった!?通信機を早々に使うとは!?)
テレポートで早急に俺の部屋に駆けつけた
「滝!! 大丈夫か!!」
司令官はドアを勢いよく開ける
「司令官……!!」
(なんだこの能力の漏れは…!?)
「滝…!?またお前、髪が…お前に黒いオーラが…… まさか!!」
"まずい!!"
「正体を現せカルテー二!! お前のやることなど、とっくにお見通しだ!!」
司令官は目を大きく開き、カルテー二の居場所に1点集中した
すると俺の部屋の壁から、耐えきれずカルテー二は現れた
「能力者だから、どこにでも現れるな」
「滝、大丈夫か、こいつは能力者でも、亡霊なんだ 数百年前の能力者の戦争で、何度も負けている 近年ではまた貴明の力で負けているがな」
倒れたと思ったが、またカルテー二は復活した
「ふ、ははは…その力を、こいつが持ってるんだろう? 私の目的は、お前の力を奪い、この世界を破滅へ導く!!」
「そんなこと、俺は許さない!!」
カルテー二の力で更に髪が伸びてしまった
体が動きにくい
俺はベッドから立ち上がろうとするとさっき受けたカルテー二の力で動けなかった
「これは…!?」
異変に気づいたのか、司令官は俺に術を解いた
「"波"!!」
白い光が、俺にかかった術を解いた
「シルヴァ……昔から力が強かったな……」
「やめておけ いくら何度かかろうと、私には勝てない」
「司令官にも手を出すなら、俺が相手だ!!」
俺はやっと自由に体が動くようになり、棍棒を手にする
「ふ、 まだ能力者になりたてのお前に私に適うものか」
「"天華……」
技を出そうとすると、司令官に止められた
「やめておけ滝!!こんな狭い部屋で!!」
「じゃあどうするってんですか!!」
「滝!!加勢するわ!!」
遅れて駆けつけたのは瞳だった
瞳の技の鎖が、カルテー二の体を覆う
「そのまま痛みを喰らいなさい!!"サンライトサークル"!!」
「あぁぁぁ――!!!」
「しめた!カルテー二は光が弱点なんだ!!」
「……っふん、 まだまだ力は弱いな」
瞳は驚愕した
「なんですって……!?」
「これくらいの力では私は倒れん」
司令官はこのまま能力者施設に敵がいると施設が危ないと察し、技を放った
「消えろ!!"戦神封印"!!」
これまでに見ない強力な力で、強制的にカルテー二を施設からいなくさせた
「司令官…今の技は……?」
「今の技は、本当は強敵に出す技だったんだけど致し方ない このまま敵にずっといられると、外の結界が危うくなる」
「結界?」
司令官は実際に俺と瞳と一緒に外に出て、今の能力者施設の状況を見せた
「薄い結界を張っているのだよ ここからじゃ分からないようにね 敵があまりにも来ると、結界の力も弱まる」
「そうですか…」
司令官は施設をじっと見ていた
「私はこのまま結界を張るが、お前たちはどうする?」
「俺はもう少し鍛えなきゃいけないから、ランニングしてきます」
「私は初めて技を出して疲れたわ、部屋で休んできます」
司令官は走り出す俺を止めた
「なんですか?」
「滝 敵の技で、少々お前の能力が暴走していた 気をつけたまえ」
「分かりました 」
「それに、今夜は雷が鳴るぞ」
雷ぐらいでは気にならないが、最近あまり運動してなかったこともあって町内を1周していると
後ろから智嬉が走ってきた
「あれ?智嬉」
「よ、俺も付き合うよ ランニングだろ?」
「ああ 荷物の整理は着いたのかよ」
智嬉は俺の質問に間を空けた
「……うん、まあとりあえずは やっぱり、お前を守るって決めた」
「司令官が言うには、お前も力が強いらしいよ」
「そっか まだ全然分からないけど」
ランニング中、雷がやはり落ちてきた
「うわ!雷か!滝!戻るぞ!!」
「ああ!」
智嬉が走ると、通りかかった白いハチマチをして、黒い服を身に纏った大きい男とすれ違った
「あっすみません!」
智嬉は肩をぶつけたのか、その男に謝った
「――雷、気をつけなよ」
「は、はい ありがとうございます… 」
「智嬉…」
「俺にも通じた 今の人、能力を感じた……!!」