最終話
ジェイクは地面に膝をつき、血を吐きながらもこちらを睨んでいた
「……クク……まさか、ここまでやるとはな……」
口元から笑みを浮かべるその顔には、悔しさよりも、どこか愉悦が混じっていた
「何がおかしい……」
純が警戒を強めながら、一歩前に出る
ジェイクはわずかに顔を上げた
「お前たちの力……確かに厄介だった……だがな、私はまだ――」
その時、広間の奥から別の気配が現れた
それは、どこか懐かしい、けれど重々しい空気を纏っていた
「……お前は……」
俺たちが一斉に振り向くと、そこに立っていたのは――ロダ様だった
拘束の鎖をまとったまま、ゆっくりと歩み出る
それでも背筋はまっすぐで、王としての威厳を失ってはいなかった
「……お見事だ、滝。純。智嬉」
その声に、俺たちの緊張が一瞬だけ緩んだ
「ロダ様……無事だったのか……!」
「いや、囚われていたのは事実だ。だが……心までは縛られはしなかった」
ロダ様はジェイクを見下ろす
「ジェイク。貴様の野望は、ここで潰える」
「……ふざけるな……俺はまだ……俺は……!」
ジェイクの体が、ぐらりと揺れる
黒いオーラが再び立ち昇ろうとしたその時…ロダ様が手をかざした
青い光がその闇を包み、力を無効化するように消していく
「……お前の“能力制御”は、所詮、借り物の力に過ぎん」
「な……ッ!」
ジェイクの体から力が抜け落ち、崩れ落ちた
俺たちはゆっくりとロダ様の元へ歩み寄る
純が息を吐きながら笑った
「やっぱ……あんたがいると安心すんだよ」
智嬉も頷く
「まさか自力で…いや、さすがだな」
ロダ様は静かに笑みを浮かべた
「お前たちが繋いでくれたからだ。雷氷乱舞――あれは、まさに未来を切り拓く力だった」
俺は棍棒を握り直し、もう一度ロダ様を見た
「ロダ様。ディマイズ・ソードは、まだ……?」
ロダ様は静かに頷いた
「……封印は揺らいでいる。剣が再び目覚める日は、近い」
その言葉に、俺の胸がざわつく
(終わりじゃない。まだ、何かが待っている)
エピローグ――
戦いのあと
空には雲ひとつなく、まるですべてが洗い流されたような青さが広がっていた
広間の瓦礫を抜けて、俺たちはロダ様と並んで外へ出る
足元に残る焼け跡と、砕けた石の匂い
けれど、胸の奥には確かなものがあった
俺たちは、守ったんだ
仲間を、王を、そして―未来を
純が肩をぐるりと回しながら笑った
「ま、腕は死ぬほど痛ぇけどな……なぁ、智嬉」
「おう、オレの拳ももう限界だっつの」
「お前は毎回それ言ってるよな」
くだらない会話が、風に乗って広がっていく
けれど、その軽口ひとつひとつが、俺には嬉しかった
ロダ様が空を見上げる
「封印が破られれば、ディマイズ・ソードは目覚める
それが、次の戦いの始まりになるかもしれん」
俺はその言葉を受け止めるように、ゆっくりと頷いた
「なら、俺たちは備えるだけです
どんな未来が来ても、俺たちなら超えられる」
俺は長い髪をなびかせ、自分の力を信じながら、いつか来る戦いのためにまた新たに決意をした――




