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Remembers  作者: manaka
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仲間の覚悟

――同じ頃

アジトの奥深く、石造りの冷たい部屋にロダ様は囚われていた

両手は鎖で繋がれ、窓もない部屋の中。唯一の灯りは壁にかけられた小さな松明だけ

(……滝。お前はきっと、ここへ辿り着くだろう。だが――ディマイズ・ソードだけは決して触れてはならぬ)

ロダ様の胸をよぎるのは、不安と祈りの入り混じった思いだった

王家に代々伝わる黄金の剣――それは「平和の象徴」であると同時に、「破滅を呼ぶ刃」でもあった

使い方を誤れば、異界そのものを崩壊させる。敵…ジェイクのような者に渡ってはならない

「王よ」

低く笑う声が部屋を震わせた

暗がりから姿を現したのは、黒いオーラをまとったジェイクだった


「剣を渡せ。さもなくば……この世界は緩やかに滅びていく」

「……愚か者 剣は王家の者しか扱えぬ。お前が触れれば、その身が砕け散るだけだ」

ロダ様は動じずジェイクに言い放つ しかしジェイクは薄く笑みを浮かべた

「それでも構わぬ。破滅の果てに築く“新たな秩序”こそ、私の望みだ」

その言葉に、ロダ様は初めて眉を寄せた

(……奴は本気で世界を壊すつもりか。ならば……滝たちに託すしかない)

ジェイクはロダ様を睨みつけ、数名の部下に命令を下した

「見張りを増やせ。王の命は、剣を手に入れるまで繋いでおけ」

鎖の音が冷たく響く。ロダ様は瞼を閉じ、胸の奥であの名前を口にする

――滝

施設に眠る仲間たちの静寂と、アジトに蠢く闇の気配が交わる

それは確かに、次なる嵐の始まりだった


――翌朝

眩しい朝陽が施設の窓から差し込み、夜の緊張が解けていた

しかし、俺の胸の悩みは消えていない。夢の中で、誰かに呼ばれた気がした

(……ロダ様?)

はっきりとは分からない。けれど、確かに助けを求める声が耳に残っていた

俺は額の汗を拭いながら身を起こした

胸の奥に残るざわつきが消えない。まるで誰かに直接心へ語りかけられたようなそんな感覚だった


着替えを済ませ、廊下を歩き食堂へ向かう

扉を開けると、すでに仲間たちの姿があった

「おう、滝。珍しく寝坊か?」

智嬉が豪快に笑い、パンをちぎって口に運ぶ

だが、その横で純は無言のままスープを見つめていた。包帯の巻かれた腕が重たそうに見える

「……どうした、顔色悪いぞ」

純の問いに、俺は一瞬迷ったが話した

「……夢で、誰かに呼ばれた気がした。助けを求める声で……ロダ様のように思えたんだ」

智嬉がパンを置き、真剣な顔に変わる。

「夢の話にしちゃ、出来すぎてるな。全員に聞こえたってんなら……ただ事じゃねえ」

俺は拳を握りしめた。悩みが、確信へと変わっていく

ロダ様が、俺たちに助けを求めている

その時、背後で重い扉の開く音がした

司令官が食堂に姿を現す

「……やはり、全員が聞いたか」

司令官の話に、俺は驚いた

司令官はゆっくりと歩み寄り、冷静に言葉を話す

「ロダ王は囚われた。ジェイクが“ディマイズ・ソード”を狙っている

お前たちに託すのは――王の救出と、剣の保護だ」

純が低く吐き捨てる

「やっぱり……そういうことか」

智嬉は拳を握り、力強くうなずいた

「上等だ。やるしかねぇだろ」

俺は仲間たちの顔を順に見て、声を震わせながらも言い切った

「……必ず、ロダ様を取り戻す。そして、剣は渡さない」

司令官は頷いた

「よく言ったな。――出発の準備を整えろ。戦場は、すぐそこにある」

俺たちは立ち上がった

胸の奥にあるのは、不安と恐怖、そして揺るぎない決意だった

司令官が去った後、食堂には一瞬の静けさが訪れた。


それを破ったのは智嬉だった。

「……よし。だったらグズグズしてる暇はねぇな」

彼は椅子を蹴るように立ち上がり、背筋を伸ばした

そして純は、立ち上がると包帯の巻かれた腕をぐっと握った

「……準備はすぐ済む。滝、お前も気を抜くなよ。今度は本当に総力戦だ」

その声には、ただ仲間を支えようとする強さがあった

俺は深く頷いた

(恐怖は消えない。けど……この仲間がいる。必ず戦える)

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