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Remembers  作者: manaka
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仲間たちとの癒し

廊下を歩くうちに、仲間たちの笑い声が少しずつ近づいてきた

扉を開ければ、そこには見慣れた顔があった

「お、滝。報告終わったか?」

智嬉が片手を振り、俺に笑いかける。氷の能力を使った影響か、まだ額には汗が残っていた

「おう。司令官に全部話してきた」

純はソファに腰を下ろし、黙ってこちらを見ていた。腕には包帯が巻かれているが、目つきは鋭いままだ

「……で、どう言われた?」

「異界の扉は、まだ閉じてない。今日の戦いは……始まりにすぎないって」

短く答えると、場の空気が一瞬張りつめた

だが、みづきが穏やかに笑い、空気を和らげる

「それでも、今日を乗り越えたんだもの。立ち止まるわけにはいかないわ よく頑張ったわね」

瞳が頷き、静かに手を胸に当てた

「……私は、あの“ありがとう”の声を忘れません。どんな存在であっても、心の奥には必ず救いがある。そう思いたいんです」

あの声を聞いたのは自分だけじゃなかった――そう感じられたからだ

「まあ、難しいことはいいだろ」

智嬉が豪快に笑い、肩を叩いてくる

「大事なのは次だ。今度こそは⋯激しい戦いになるかもな」

「……ああ」

力強く答えると、純がふっと視線を逸らした

「……次も、簡単じゃねえぞ。ジェイクはまだ生きてる。ロダ様も連れ去られたままだ」

その名を聞いた瞬間、皆の表情が曇った

ロダ様――異世界の、イースト・フロンティアの王。彼を取り戻さなければ、すべてが崩れる

「……必ず助ける」

俺は言い切った。迷いはなかった

「ディマイズ・ソードだろうとなんだろうと、奴には渡さない。俺たちで終わらせる」

仲間たちの視線が集まる。

しばらく沈黙が続いた後、純が立ち上がり、包帯を巻いた腕で俺の肩を軽く叩いた

「なら、早く休め。次は……総力戦になる」

その言葉は重くも、どこか頼もしかった

智嬉が笑いながら大きく伸びをする

「じゃあ決まりだな。今日は寝ろ。明日は、俺らの街を守る一日になる」

俺は頷き、仲間たちの輪の中に腰を下ろした

胸の奥にはまだ緊張が残っている。だが、その隣には確かな温かさがあった

窓の外には月が見え、静かに夜を照らしている。

その光はまるで、次の戦いへの道を示しているかのように思えた


仲間たちと過ごす空気は穏やかだったが、胸の奥のざわつきは消えなかった。

笑い声を聞きながらも、心のどこかで次の戦いの影が忍び寄っているのを感じていた

「……滝」

ふいに純が低い声で呼んだ

「お前、今日は誰よりも戦ってたな。だが……全部背負い込むなよ」

俺は言われて、一瞬言葉を失った。その奥にあるのは仲間を思う気持ちだと分かる

「分かってる。俺ひとりの戦いじゃない。……みんなで戦うんだ」

そう返すと、純は小さく鼻を鳴らして目を逸らした

そのやり取りを見ていた智嬉が、わざとらしくため息をつく

「ったく、お前らは真面目すぎる。今くらい肩の力抜けって。せっかく生き残ったんだ、笑っとけ」

そう言ってテーブルに置かれたカップを片手で掲げた

「休憩もちゃんとしなきゃ、バテちまうぞ!」

「ふふ、いいわね」みづきが微笑み、瞳も静かに頷いた

それぞれがカップを取り、音を合わせるように軽く鳴らす

「お疲れ様ー!」

だが、その温もりの中でも心の奥では、まだ戦いの事を考えている

(ロダ様……ジェイク……そして、ディマイズ・ソード)

思考の端に浮かぶたび、背筋が強張る

窓の外の月は雲に隠れていた

やがて皆が眠りにつく準備を始める

智嬉は豪快にあくびをし、瞳は静かに毛布を整え、みづきは日誌のようなメモを取っている

純は最後までソファに残り、じっと月明かりを眺めていた

俺が近づくと、純は短く話した

「……どんな奴がお前を悪く言おうが、仲間だけは守れ。それが、お前の戦いだろ」

その言葉が胸に深く刻まれる

頷き返すと、純はようやく目を閉じた

――静かな夜が来る

だがそれは嵐の前の前触れにすぎない、と俺は知っていた

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