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Remembers  作者: manaka
47/56

4人の集中攻撃

黒い影が呻き声を上げ、地響きと共に膨張した。

『……ナゼ……ナゼ、オマエタチハ……』

それは、怒り、悲しみ、後悔、憎悪――

幾重にも重なった人間の「負の記憶」そのものだった

「来るぞッ!! 滝、構えろ!!」

純が叫び、雷を帯びた拳を叩き込む

一撃で影の前腕を吹き飛ばす――かに見えたが、霧のように散ってまた再生した

「チッ、きりがねぇな……!」

だがその一瞬で、滝は敵の懐に飛び込む

「“天華乱舞・改”――ッ!!」

棍が風を裂き、地面をえぐり、敵の中心を穿つ。

雷と風の共鳴が山頂を包むが、呪骸は呻き声をあげながらも、崩れずに立っていた

『カナシイ……サミシイ……ウラミ……ウラミ……』

「くっ……やっぱり、ただの攻撃じゃ……!」

滝が体勢を崩したそのとき、ロメオの静かな詠唱が始まった。

「ル=アメル=シルヴァ……セナト=ラグナ=フェア・リィ……

ノス=レイヴ・ソルヴァ・イル=ハルマニカ――」

空気が変わった。

風が止み、霧が一時的に引き、空間に淡く金のルーンが浮かび上がる。

「……始まった……!」

トヴァースが背後から呟く。

詠唱は、魂の記憶に直接触れる力だ。

だが、呪骸もそれを察知したのか、雄叫びとともにロメオに向かって突進を始めた。

「させるかよッ!!」

純が再び前へ出て、雷を纏った“壁”を形成する。

全身から稲妻を走らせ、巨大な雷の盾を発生させる。

「ロメオを…通させるかよ、俺たちは後悔したくない!!もう二度と!!」

そして、滝も最後の力を込め、棍を高く振り上げた。

「これで終わらせる……!俺の技で、やり方で…今度こそ!!“天華乱舞"ッ!!!」

棍に宿った青白い光が暴風と化し、雷と混じり、呪骸を包み込む

『アアアアア――――ッ!!!』

同時に、ロメオの詠唱が最終段階に達した。

「……アルヴ=フェリス=オルガ・レム=カディナ……

――魂よ、怒りの檻から解き放たれよ」

その瞬間、空に巨大な光の輪が浮かび、呪骸の中心に向かって降り注いだ

霧が晴れた

嘆きの声が静まり、残響のように響く

『……ありがとう……』

そう言い残して、影は霧となり、空へと還っていった

トヴァースが肩で息をしながら言った

「終わった、か……」

ロメオは目を閉じたまま、静かに頷いた

「“魂の想念”……ようやく、解き放たれたな」

純が膝をついて座り込み、滝もその隣に腰を下ろした

「……ああ、俺たちの力だけじゃ無理だった」

「……でも、お前が棍で揺さぶってくれたから、詠唱が通ったんだよ」

「純、大丈夫か?」

と滝はしゃがみ、純の肩を撫でる

「ああ、ちょっと怖かったけどな…?」

「俺も怖かった」

と滝は苦笑いをする

ロメオは彼らの方を見て、微かに微笑む。

「よくやったな、二人とも。……お前たちが、あの怒りに“語りかけた”んだ」

滝は空を見上げた

夕暮れの空に、もう黒い霧はなかった

「……親父。俺も、少しは近づけたかな」

風が吹く

穏やかな、この終息を告げる風だった

山頂を吹き抜ける風が、まるで全てを洗い流すように吹いていた。

滝はゆっくりと立ち上がり、肩で息をする純に手を差し伸べる

「……戻ろう。もう、あの影はいない」

「……ああ。次に備えるなら、まずは一度、体を休めねぇとな」

純は笑みを浮かべながらも、膝に残る震えを隠せずにいた

トヴァースは二人を見て、静かに言う

「ここはもう、呪いの地じゃない。ただの山だ。……行こう」

ロメオが最後に振り返り、何かを思案するように空を仰ぐ

「……だが、“異界の扉”はまだ開いたままだ。これで終わりじゃないんだ、気をつけたまえ」

「……分かってます。けど、今は……この勝利に、少しだけ浸らせてください」

滝の言葉に、皆が黙って頷いた

四人は、夕暮れの山を静かに下りていった

その背後で、風が一度だけ――音もなく、何かを告げるように吹き抜けた

それは、新たな戦いの幕開けを、静かに予感させていた


「……戦いがまだあるのか?親父」

俺は、一瞬振り向き、いないはずの親父に少しだけ、話しかけた


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