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Remembers  作者: manaka
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渦巻く黒い陰

司令官室には、静かな緊張が漂っていた。

滝はトヴァースの横に立ち、司令官の前で新たな対策を模索していた。

「“記憶の呪骸”……普通の攻撃は効きづらい。しかもあのサイズだ、正面からでは押し切れん」

と、トヴァースが腕を組んで言う。

「ええ。俺の“天華乱舞”も、ほとんど通じませんでした……」

滝の言葉に、司令官が静かに頷いた。

「となると……物理的な破壊ではなく、“念”を断ち切る術が必要だな。

 もしくは、相手の核となる“感情”を突き、崩壊させる」

「感情を突く……?」

と滝は首を傾げる

「そう。記憶の呪骸は、いわば“人間の負の想念”の集合体だ。ならば、それを鎮める手段があるとすれば――」

モニターに一つの古い文献が映し出された。

そこには、淡く光るルーン文字と共に、異世界の古代語が記されていた。

「“封魂律詠”……?」

滝が声を上げる。

「そう。ロダ様の一族が使っていた、古の詠唱だ魂の怒りを静め、元の世界へ還す……だが、使える者は限られている」

「誰なら使えるんですか?」

トヴァースが前のめりになる

「ロダ様本人、あるいは……その“血”を継ぐ者だな」

と、司令官が真剣な眼差しで言う

滝はふと、ある可能性を思い出す。

「……じゃあ、その弟の、ロメオさんか……」

「その通り」

司令官は深く頷いた

「ロメオ・クニドスに協力を仰ぐ必要がある。滝、お前から直接、頼んでくれ」

「わかりました。……きっと、来てくれるはずです」

そのとき、扉がノックされ、再び開く音がした。

「……呼ばれた気がしてな」

現れたのは――ロメオ・クニドスだった。

群青の髪を揺らしながら静かに歩み寄り、滝と視線を交わす。

「……来てくれたんですね」

「ああ。トヴァースの気配が急に揺れたものでな。まさか、シルヴァの術を使うことになるとは思わなかったが……」

ロメオは静かに息を吐き、司令官に向き直る。

「封魂律詠……もし本当にそれが必要なら、俺にやらせてくれ。……だが、条件がある」

「条件……?」と滝は聞く

「滝、お前も来い。そして“あの化け物”の感情を、棍棒で揺さぶれ。私の詠唱だけでは、完全に沈めきれない可能性がある」

「……了解です」

滝は力強く頷いた

ロメオは小さく笑い、目を閉じた。

「よし、準備が整い次第、向かおう。……純も、待たせるなよ?」

「はい。アイツ、外でコーヒー飲んで待ってると思います」

司令官は、最後に言った。

「皆、頼んだぞ。これが“異界の扉”の鍵を閉じる、戦いになるかもしれんな」


その後、準備を整えた一行は再び“隠れ峰”へと向かう。

滝、純、トヴァース、そしてロメオ――。

彼らは、過去の“怒り”と“悲しみ”の影を断ち切るため、再び戦場へと足を踏み入れた――


「あれが…」

標高2300メートル、隠れ峰の山中。

陽が落ちかけた山頂は、静けさの中に、じわじわと忍び寄る“不穏”を孕んでいた

滝たちが再びその地に降り立つと、既に周囲には黒い霧が立ち込めていた

まるで、彼らの到着を待ち構えていたかのように

「……来たか」

トヴァースが口を開く。

「相変わらず、独特な嫌な空気だな」

と純が言いながら、腰の後ろに忍ばせた金属棒をぐっと握る

ロメオは、静かに目を閉じて風を読む

「霧の中心……あそこにいる。あの“呪骸”は、いまだ暴れ回らずに、何かを……」

「……待っている」

滝が低く呟いた

地面に耳を当てたような音が響く。地の底から響く、低く長い呻き――

そして、黒い影が現れた。

今度は前よりも、さらに禍々しい。

巨大な黒い陰…滝と純は、思わず1歩後ずさる

『ウラミ……アイ……キエナイ……キエナイ……』

その声は、まるで何人もの叫びが重なったような、魂の残響だった

ロメオが一歩前へ出る

「……始めるぞ。“封魂律詠”、発動に入る。俺が詠唱している間、絶対にこいつを近づけるな」

「よし、任せろ!」

と純が叫び、即座に前に出る。雷が走り、地面を抉る。

「来い…俺の雷で、今度こそお前を!!」

滝も棍を構えた。

「“天華乱舞・改”……試してみる!」

滝の身体から放たれた青白いオーラは、先程よりも強く激しく、空間を裂いた

竜巻のような気流が黒い影を包み込む!

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