敵に連行されて
「ほんとに大丈夫なのか、俺たちがいなくて」
司令官たちがいなくなったあと、智嬉は酷く心配していた
「……お前と滝は、親友同士なんだよな?」
純は智嬉から少し離れた場所に椅子に腰掛けて座っていた
「だからなんだよ」
「親友なら、信頼しろよ 小さい時からのダチなんだろ?」
「……あいつは、希死念慮がずっと高いんだ、それを心配してるんだよ」
純は頭に手をやる
「まあ、確かにな ピンチになるとすぐ、力を解放しようとするし 力を解放したら、貴明さんの力じゃ、街を爆発させてしまうかもしれないのに」
近くにいた峰子さんが同じく心配する
「そうね 貴明の力は、あの時爆発しないで済んだけれど、あれを使ったら…」
智嬉は峰子さんの言葉を聞いてしばし考える
「街が爆発する、ってことは、滝の体も、俺たちも、ひとたまりもないんですよね」
「そうね… みんな死んでしまうわ」
「くそ、滝、 それだけは使うな…!!なんとかして、力を使わない方法を!!」
峰子さんは智嬉の肩を触り、待ったをかける
「それを考えるのは、滝くん自身よ 彼なら、きっと大丈夫」
「……あいつ、1回自殺未遂を起こしてんですよ」
純がぼそりとつぶやき、峰子さんは驚愕した
「なんですって!?」
「だから心配なんです 俺たちは」
「本当に、あの貴明と同じ道だわ 貴明の時も何度も仲間同士で自滅するのを防いだから」
峰子さんは拳を強く握り、俺たちを心配した
「滝くん…どうか、死なないで…」
亜空間では
司令官と瞳が到着していた
「はあ、はあ……力が、抜ける…」
俺の体は、床にへばりついてしまった
「滝!!今助けるわ!!」
「瞳……?」
「"ヒールライト"!!」
仲間全員を回復させた
「どうせ滝を回復させても、私に技は効かないのでな」
「"天華乱舞"!!」
俺はすかさずドルクに反撃したが、攻撃を弾き返された
「ああっ!!」
「これじゃ、太刀打ち出来ない、ということか…!?」
俺は諦めかけたが、背後から男の声が聞こえた
――滝、諦めるな!!
「その声は…!」
「"雷拳"!!」
聞き覚えのある、仲間の声が、亜空間中に広がった
天井から雷が降り注ぎ、亜空間の力は弱まり始めた
「うわああっ!!」
「純!?智嬉!!亜空間に入れたのね!?」
「滝、諦めるな!!」
振り向くと、近くに純と智嬉がそこにいた
「……お前たち…!!」
「お前の弟、圭介が助けに来てくれて、亜空間への道を広げてくれたんだ!!」
「じゃあ、今頃私の実家には大きい空洞があるわけね」
瞳はげんなりしていた
「そりゃそうだよな、自分ん家にこんな得体のしれない空間があるだなんて 俺も嫌だよ」
なぜか俺は瞳に同情していた
「滝!早くドルクを倒して!!」
「技が効かないんだよ!!」
ドルクは不敵な笑みをこぼした
「っふ、いくら出口が見えても、私には敵わないぞ」
「なら、私の力はどうかな?」
「……なに?シルヴァ貴様」
司令官は俺の前に立ち塞がり、技の構えをする
「散々私をコケにしおって…覚悟するがいい!!」
「昔何度も戦いに負けた負け犬が」
「昔の私は臆病だった、けれど、私にも意地がある!!」
「その力を使っていいのか? 爆発するぞ」
司令官はドルクの言葉に耳を傾けず、技を放った
「"ダークショット"!!」
黒い無数の氷の塊が、ドルクを襲う
「くっ、その技があったか!!」
「みんな、脱出するぞ!!」
その時、俺の脳裏にカルテー二の声が響く
"滝、お前1人で来い 私のアジトへ"
「なに!?」
カルテー二の声が響くと、強い頭痛がする
「っく……」
「滝?」
「滝が消えた!?」
仲間たちは激しく動揺する
俺の体はそのまま倒れ、テレポートでカルテー二にアジトへ強制連行させられた
「……う… ここは…」
「貴様、よくもドルクを倒したな」
「倒した…俺が…?」
「意識が朧気だな 目を覚ませ」
<挿絵>
カルテー二は俺の体を強制的に力で起き上がらせた
「……!? カルテー二!!」
「やっと分かったかね 」
「ここはどこだ!!みんなは!? …っく!!」
まだ頭が酷く痛む
「まだ私の力が効いているようだな」
「みんなを…みんなの場所を……っ!!」
「これでは話にならんな… よし、私の神聖な場所で休むがいい」
カルテー二に連れてこられた場所は、神殿、ともいうべき場所だった
目の前に大きい城のオブジェがある
「この、城は…?」
「昔貴明たちが守り抜いた城のオブジェだよ」
そこの近くに立つと、力が吸い取られた
「うああっ!!」
「っふ、しばらくそこで大人しくしていろ」
力が吸い取られ、意識も再び朦朧としてきた
「司令官…みんな…助けて……っ!!」




