揺らぐ気持ち
「智嬉!せめて病室で戦うのはやめないか!?」
病室は狭いし暴れる音がしては周りに迷惑がかかる
「怖気付いたか?滝」
<挿絵>
カルテー二に操られた智嬉はニヤリと笑う
「ここで戦うのは危ないって言ってるんだよ!」
「智嬉が操られてなければ、足止めする技で追い出せるんだけどな」
「それが狙いだ」
カルテー二はボソリと言い放つ
「なに?」
「思うように動けない智嬉だからこそ、私が勝てる機会だ」
「それならもっと堂々と来いよ」
後ろから純の声がした
「純!?」
「ごめん、助けにくるのが遅くて」
「いいのか?仕事のほうは」
「今は仲間を助けるのが先決です」
カルテー二は俺を見るなり
「親友が危険な目に遭っているというのに余裕があるなあ?」
「余裕…?」
俺はカルテー二を睨みつけた
「余裕なんてない」
「なに?」
「俺はいつだって目の前しか見ていない!! 」
「戯言を…!」
その時、後ろからドアが開く音がした
現れたのは瞳とみづきだった
「カルテー二、あなたしつこいわよ!滝を倒してもあの方は現れないわ!!」
「なんだと!?」
「今は滝がリーダーなのよ、今の能力者で戦える人はこの人しかいないのだから!」
みづきは俺の事を信用していたようだ
みづきは普段別行動だからなにをしているか分からないのだ
「みづき…」
「カルテー二、次からは戦う場所を選べよ」
純は嫌そうな顔をした
「……私が倒す」
司令官がボソリと言うと、右手を前に翳した
「"波"!!」
「貴様!!」
カルテー二は瞬時に消えた
「智嬉、ごめん」
智嬉は敵に技をかけられていたが、カルテー二がいなくなると体がよろめき、俺の肩に倒れた
「……俺のほうこそ、ごめん」
か細い声で親友の声が聞こえた
俺と司令官は智嬉をベッドへ座らせた
「智嬉、大丈夫か?」
ぐったり座っていた智嬉に話かける
「ああ、もう大丈夫だ」
司令官は苦笑して、
「こりゃ、純に叱られるなあ」
「純は医者でしたね、だから病院にいる間はまちまちいなくなるんですね」
「ああ、勤務中だからな」
智嬉は不安そうに話す
「マジかよ… じゃあ、戦闘がまたもし起きたら」
「大丈夫だ、緊急の時のために通信機を用意している」
「そうだったんですか」
司令官はまた真面目な顔になり
「智嬉、すまなかったな」
「司令官……俺は、もっと強くなりたい、です」
智嬉の顔を見てから、俺たちはテレポートで施設へ戻った
「滝… お前には話さないといけない事がある」
「司令官?」
カルテー二は自分のデスクの椅子に座り、俺を見つめる
「滝 君は正式に、リメンバーズチームのリーダーになって欲しい」
「いいんですか?俺で」
「純、みづき、瞳は常にこの場所にいられる訳では無い 今は智嬉が負傷しているから、みづきと瞳には居てもらっているが 誰かがいなくてはな」
司令官は俺の名前があるファイルを取り出した
「蒼山貴明と同じ道に行く… 避けられない運命なのか、貴明」
「親父はいつも、こんな苦しい思いをしてきたんですか ただ、力が強いだけで狙われるなんて」
「彼には能力者としての確かな力があった そして君にも 彼は力が強いあまり、次第にコントロールが効かなくなり、仲間も信頼せず、自滅した」
俺は何も言わず聞いていた
「私は彼とずっと仲間として戦っていてね」
「親父が……迷惑を…っ」
「いいや 彼は本当に強かった たくましかった 」
すると、司令官の後ろに眩しい白い光が現れた
「これは…?」
「貴明の魂か 君を、ずっと見ているんだよ」
「司令官、俺は親父を怒ればいいのか、そうじゃないのか、未だに分かりません」
司令官は俺を抱きしめた
「君を、こんな風にさせてしまって、本当にすまない いや、謝ってすむ問題ではないな」
「司令官も親父も悪いわけではないんです ただ、その元凶が知りたいです」
「君が更に強くなったら、話すよ 今は仲間を纏めるのが仕事だよ」
「司令官…っ」
司令官は冷たく後ろ向きで話す
「今の状態では、強敵には勝てないよ」
「……っ!!」
「我々の敗因は、チームワーク、だったのだ」
「司令官……」
司令官は悲しそうな笑顔を見せた
「すまない、滝も、休みたまえ」
「失礼します」
俺はなんともいえない気持ちで、司令官室をあとにした
「く、俺の力が、足りないのか…」
サロンで俺は嘆いていると、目の前にみづきが現れた
「どうしたの?滝 」
「みづき…」




