憎む人達
俺がベッドで横たわっていた様子をカルテー二は窓の外から見ていた
『ちっ… 殺しそこねたか… あと一歩だったのに…』
カルテー二の気配に勘づいた司令官は部屋の窓を開けて外を見上げる
「… 今… カルテー二がいたような」
「私が見てきましょうか?」
「いや、みづきはいい。 ところで上司への報告は済んだか?」
みづきは後処理や情報支部での事務で忙しいらしい。
「ええ、カルテー二へのアジトに侵入成功したことと、あともうひとつ…」
「あともうひとつ? 私はそれ以外指示してないぞ?」
みづきが神妙な顔つきになった
「滝が、自殺未遂を図った報告です」
その時、カルテー二の椅子がガタンと落ちる音がした
「な、なんだって……」
「昨日本人に直接話を聞きましたら、俺は正気ではなかった、と…」
「いや、人間、正気では自殺など起こさん」
「操られていた感覚があったとの報告です」
「カルテー二か!!」
(そういえばさっき、カルテー二が近くに…)
「滝…なんてことを…私が、能力者にしたのが悪かったのか…!?」
司令官は頭を抱えていた
俺は昨日、幻影呪縛という罠に引っかかり、未だに脳内がおかしくなった状態だった
その状態で仲間に話しかけられたら、なにをするか自分でも分からない
誰にも話しかけられない状態、というと 道場を思い浮かんだ
「ここでなら 誰も人がいない」
試しに1人で訓練をしていると
運悪く仲間がやってきた
「おう、滝 ご苦労さん 今回は助けてくれて、ありがとう」
「純」
「司令官に怪我した場所を治療してもらった まさかあんなガラス張りの部屋に入るなんてな」
気楽に話そうとしたが、俺はまだ幻影呪縛に引っかかっている
思いもよらない言葉が浮かんでくる
「純 あの時、助けられなくてごめん」
「え? いいんだよ 」
「俺がすぐに、お前を、助けられたらこんなことには」
「滝?お前…なんかおかしいぞ?」
操られたかのように、傍に立てかけてある飾りの小刀を取り出した
自分の意識ではない
「俺は…死ぬしか…!!」
「やめろ…滝…なんでそんな…」
俺が切腹しようとした途端、純は俺が俺が持っていた小刀を上に持ち上げ、放り投げた
「やめろーーー!!!」
「!!!」
<挿絵>
その時、俺は意識がはっきりした
「純…俺…今、なにを…」
恐ろしくなって、自分の手を見つめる
「死のうとしたんだ 自らの手で こんなバカげたことをするんじゃない」
「純…怖いよ…こんな思いを、親父は、何度も…」
体が震えて、純は優しく抱きしめてくれた
「まさか自分が仲間になって、こんな光景を見るなんてな 恐ろしいやつだ、カルテー二は」
「……純…俺は…それ以外にも、周りの大人たちにも、嫌われているんだ…親父を守れなかった理由で…」
自然と涙が止まらなかった
「俺たちだけを、今は信じろ 滝 なにも怖くないよ」
「今は…みんな周りが敵に見えるよ…」
「せめて、俺は信じて欲しいな 貴明さんを守るために、能力者になったから」
俺も自殺未遂をしてしまったが、敵の技の影響のためであり、回復するのはそう遅くはなかった
純は相当ショッキングだったが、なんとか持ちこたえた
司令官に報告をしに司令官室へ向かった
「司令官!」
「おお、滝か 心配したぞ」
部屋に入るなり、司令官は俺を抱きしめた
「すまなかった 怖いなら、能力者をやめてもいい…」
「やめれるわけ、ないじゃないですか 親父の仇を取るまでは それに、俺を憎んでいる人達をどうにかしなくちゃ」
「私も、力を貸すよ」
俺と司令官が話し合っていると、後ろからなにか倒れた音が派手に聞こえた
ドタン!!
「何!?」
「な、何事だ!!」
慌ててその音がした方向へ走った
「うう……」
目の前には智嬉がうずくまってるのが見えた
「智嬉!!!」
俺は顔面蒼白になった
「酷い…なんてことを…」
駆けつけたみづきは同じような顔つきになっていた
智嬉は全身傷だらけで殴られた跡もいくつか見えていた
「くっ」
司令官は怒りにまかせ、俺の手を強く握った
「司令官!?」
「こんなことをするのはあいつだ!!場所はわかってる!!滝!行くぞ!!」
「は、はい!」
司令官に連れられ、瞬間移動をした
「智嬉!!智嬉!!」




