敵の恐ろしさ
ガラス張りの部屋からオーラが放出された途端、ガラスが割れ出し、純が出てきた
「純…」
俺たちはなんとか安心した
割れたガラスの中から出てきたからか、純は手から足からあちこち血が流れている
「うわ、やべぇ 血だらけだ」
「大丈夫か?」
智嬉が心配して近寄る
「帰ったら手当てして欲しいな」
苦笑いする純を他所に、カルテー二はほくそ笑む
「ふっ…無様な姿だな」
「なんだと!?」
純は怪我してるのにも関わらずカルテー二に向かって走り出し、技をだそうとする
「やめろ!純!」
俺は心配のあまり棍を強く握りしめ叫んだ
「俺の技を喰らえ!!"雷拳"!!」
バリバリバリバリ!!!
「うぐぁっ……」
カルテー二は純の技で殴られうずくまる
「効いたのか…?」
司令官は驚きを隠せない
「やっぱり、部屋に閉じ込められる前にカルテー二を殴っておいて良かった」
「さすがヤンキーだな」
「俺が大人しく言うこと聞くか?」
カルテー二はその言葉に腹が立ったのか、純に殴りかかろうとする
「純!!」
「減らず口を……」
司令官はすかさず純の前でかばった
「純!!」
「"幻影呪縛"!!」
狙いは純ではなく、俺だった
あまりの不意打ちに根でカバーできず、まともに食らった
「ぐあああっ!!!」
なにが起こるか想像もつかない、他のみんなが俺を呼んでいる声がする
「滝!!!」
「ううっ…」
<挿絵>
「今はなんともないだろうが、そのうち分かる… ハハハハ!!」
俺の目の前があっという間に暗闇になってしまった
「"氷拳"!!」
智嬉は俺が技を受けたのを他所に、すかさず仕返しに技を放った
「な、なに… やる…な…」
智嬉の技で、カルテー二は足止めを食らった
「滝!大丈夫か!」
「あ、ああ…大丈夫…」
目の前が真っ暗になった事以外は身体の異変もない
「技打てそうか?」
「今ならカルテー二を!」
仲間達は必死で声をかけているが分からない
その時、俺の見えてる風景は見えてない、真っ暗だった
「見えない…」
「なんだって!?」
「そのうち分かる、と言っただろう? この間の仕返しだ」
カルテー二は指を慣らし、アジトは消えて、俺たちの部屋へ戻ってしまった…
「滝、大丈夫か?」
長い前髪をかき上げ、俺はあたりを見渡す
「み、みんな…?」
「滝!見えるか?」
司令官室に戻れば、視界は元に戻っていた
「見えるけど、カルテー二はどうした?」
「逃げられたよ。またしても」
智嬉が項垂れて答える
また…みんなを守れなかった
「リーダー失格だな、俺」
「滝?」
「みんな今日は色々あっただろ?純は初めての戦闘であんなことになって疲れただろうし、ゆっくり休むといい」
純と智嬉とみづきは部屋に戻っていった
「ん?君も今日は休みたまえ、技を食らったんだ、まともに動けまい?」
なにかがおかしい
身体が重い
「司令官…… 俺の体、凄く重いんだ」
「どうした?」
なにかが俺を変えようとしている
これがあの、幻影呪縛なのか
幻影呪縛の怖さを思い知ることになるのか
「司令官… カルテー二の技…避けられなかった…体が…!!」
「滝!!」
司令官は不安になり、俺の体を支えた
幻影呪縛の効果なのか、頭の中で昔の思い出が蘇る
俺は司令官の腕を離さなかった
足がすくんでしまっている 体が震えている
亡くなった親父の顔を思い出す
「親父…親父…」
「これが、幻影呪縛なのだ 思い出したくもない苦い記憶などを思い出させ、相手を翻弄させるのだ」
「くそ…っカルテー二…!!」




