序章
どちゃくそひっくいモチベの最中書き始めた駄作です。
不定期更新かつ、最悪止まるかもしれないので、あまり期待せずお楽しみください…
「「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁあああッッ!!!」」
最後の一撃、互いの全力を以て勝負を決する。
莫大なエネルギーが衝突、拡散し、周辺の建物、草木さえ破壊し、まるでそこだけ異空間であるかのように歪み始める。
長い時間、いや、傍から見ればほぼ数秒の競り合いなのだが、一瞬…ほんの少しだけ、───魔王が押し負けた。
その瞬間、拮抗していたエネルギーが魔王へと牙を剥く。
肉体は吹き飛び、血液は蒸発、魔力回路は跡形もなく焼き尽くされる。
辛うじて頭部だけが残ったが、最早回復もままならず、まして戦うことなど出来るはずがない。
生きていることさえ奇跡といえるだろう。
「はぁ………はぁ………」
そんな中、呼吸を乱し、剣を杖代わりにしながら、頭部だけとなった魔王へと近づく人影が一つ。
息も絶え絶えに、魔王は最後の言葉を勇者に投げかける。
「…我の、負けだ。…さぁ…トドメを、刺すがいい…」
「………」
「…どうした…?我にはもう、抵抗する…魔力も、戦う…術もない…」
「…一つ、聞かせてくれ」
「………」
「どうして、僕達はずっと戦争なんてしているんだ…?平和に暮らすのはそんなに難しいことなのか…?」
勇者の、純粋な疑問。
───"何故戦争を続けるのか"。
「ふ…簡単な、事よ………そう、決められているからだ」
「なん、だって?」
「少し…昔話をしよう…」
魔王はそう言って、残りの気力と生命力を振り絞り、語り始めた。
* * *
彼は、神によって役割を与えられた魔族だった。
『魔王』という役割を。
神はただ、『調停』を望んだ。
魔族と人間の、戦争と言う形で。
人間は、その欲深さ、臆病さ、傲慢さで、幾度となく発展と滅亡を繰り返した。
そこで、魔族と魔物という共通の敵を作り上げた。
するとどうだろう?神の目論見通り、人間はお互いに戦争を起こすことなく、自らの種を自らの手で滅ぼさなくなったではないか。
『魔王』という役割を与えられた魔族は、その最も重要な駒として扱われた。
人間を適度に摘み、勇者によって死に、転生し再び魔王となる。
かつての記憶と能力を受け継ぎ、必ず魔王へと君臨する存在。
それが『彼』だった。
魔王は勇者に倒される。そして再び生まれ、また死を繰り返す。
それが、この世界の理なのだから。
* * *
「あくまで我は、駒でしかない…逆らう事など、許されぬ…」
「そんな、そんなことって…!!」
「魔王に同情、する勇者か…なんとも、珍しいものだ…………さぁ、我にトドメを…刺すのだ。…このままでも、いずれ死ぬだろうが…それまで、苦しませるつもりか…?」
勇者は、ゆっくりと剣を振り上げる。
魔王は、ゆっくりと瞼を閉じて待つ。
これから先…幾千、幾万と続く戦争のうちの一つが終わりを迎え、更なる戦争が幕を開ける。
────────はずだった。
* * *
魔王は気がつくと、母親らしき人物に抱かれ揺られていた。
いつもの様に転生したようだ。
「■■■■ ■■■■■」
「■■■ ■■■■■■■ ■■」
両親がなにやら話しているようだ。
しかし、魔王は疑問に思った。
───なぜ両親の言葉が分からないのか、と。
いつもであれば、両親の会話を聞くことなど当たり前のことだったというのに、今回は最早何処の言語なのかさえ分からないでいた。
「(一体何がどうなっているのだ…?)」
周囲を見渡してみれば、白い壁と凹凸が極端に少ない木材で作られた床や家具、そして天井にくっ付いた白く光る潰れた円形の物体。
何もかもが見慣れないものばかり。
外から何か低く唸る音が聞こえ、魔物かと思いそちらへ目を向ければ、外に大きな鉄の塊が右へ左へ行き来していた。
「(この場所は一体なんだと言うのだ…!?)」
目の前の光景が信じられず、状況把握さえ忘れ、外の光景をただひたすらに凝視し続けた。
───こうして、異世界の魔王は現代日本、【地球】に転生してきたのであった。