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第6話

   

 魔王の口調が変わったことに気づいて、アノードはハッとする。

 もうすぐ桜が散るというのは、推測ではなく、はっきりと確定した事実。魔王の言葉は、そのように聞こえていた。

 まるで未来を予知したみたいに、断定的な言い方だったのだ。


 さらに「まるで未来予知」と考えたのがきっかけとなり、魔王についてのちょっとした噂を思い出す。

 魔王には、一瞬先の未来を予知する能力があるという。相手がどんな攻撃を仕掛けてくるのか、どう防御しようとしているのか、魔王には予知できるのだという。


 そんな(すさ)まじい特殊能力を持った魔王に対して、どのように戦うべきなのか……。

 この瞬間、伝説の真偽も桜の由来も何もかも、余計な話は全てアノードの思考から消えていた。頭が戦闘モードに切り替わったのだ。

 右手の震えも止まり、改めて魔斬剣(デモン・ブレイド)を握り直す。


 こうしたアノードの変化は、その心境も含めて、魔王の方でも察したらしい。

 魔王も武器を構えたのだ。

 片手で持っていた杖にもう片方の手を添えると、杖の先端に魔力が集まる。それは三日月型の光の(やいば)として具現化し、魔王の杖を禍々しい鎌に変えていた。


 それまで穏やかだったその場に突然、一陣の風が吹く。

 生あたたかい風だった。魔王と勇者の頬を撫でるだけでなく、最後の桜を散らし始めるきっかけにもなっていた。

 王宮の中庭で対峙する二人に、桜色の花びらが降り(そそ)ぐ中……。

 世界の命運をかけた一騎討ちが今、始まる。




(「魔王と勇者が桜の前で」完)

   

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