決意
この作品は、残酷な描写を想像させる文章を含んでおります。
苦手な方はあまりおすすめしません。
大丈夫な方はどうか読んでいただけるとありがたいです。
この世界には吸血鬼というものが存在する。
吸血鬼とは、人の血を吸う化け物だ。
時には食事、時には人を眷属にする。
だが、吸血鬼も元々は人間だったのだ。
なのに人を喰らう。人間も吸血鬼も同じだ。
仲間だと言いながら都合が悪くなれば仲間を見捨てる。
吸血鬼も自分の都合で人を喰らう。
「今日も魚いっぱい捕れたなー!あいつの家におすそ分け行くか〜」
僕に家族はいないから一人暮らしだ。でも古い友人がいるから寂しくない。僕が困ったらいつでも助けてくれる。
今日はそいつに俺が釣った魚を一緒に食べようと思ってそいつの家の前まできた。
「おーい!魚捕ってきたぞー!これ一緒に食べ……!?」
格子戸を開けようとした瞬間、悲鳴が聞こえた。
僕は咄嗟に格子戸を開け悲鳴が聞こえた場所に走り出した。
「おい!大丈夫か! え…?」
人が倒れていた。
床は血に染まり、畳は血が染みて赤くなっていた。
血が流れている所を見た。
「お、おい、鉄郎…?一体何が…」
その時、何かが物凄いスピードで顔を横切った。
コウモリだ。
「コウモリ…?いやでも、コウモリがこんなことできるはずが…」
「うわぁ!」
コウモリが弾けて黒い渦のようなものになったと思ったら、人に姿を変えた。
「人間がもう一匹来るとは思わなかったぜ」
するとコウモリ人間は不気味に笑い出した。
「誰だお前は!鉄郎を殺したのはお前か!」
僕が怒鳴ると、コウモリ人間はふざけたように答えた。
「鉄郎?あぁ、この人間のことか。そうだ、俺様が殺したんだ!こいつの血は美味かったぜ!」
コウモリ人間は大声で笑いだし、俺は腹が立った。
「許さない…!絶対に許さない!」
僕は近くにあった斧を手に持ち、コウモリ人間に振り下ろした。
「え?切れない?」
僕がそういうとコウモリ人間がまた大声で笑い始めた。
「お前、何もしらねぇんだなぁ!いいぜ。特別に教えてやろう。俺様は吸血鬼だ!」
僕は理解が追いつかなかった。
「吸血鬼…?」
作り話でしか聞いたことがない単語がでてきて戸惑った。
その吸血鬼という存在が今目の前にいるということが信じれない。信じたくない。
でも、斧で切り落とそうとしても全く刃が通らず切れない。
信じるしかないのかもしれない。
「僕には、何もできない。鉄郎の仇をとることもできない。ごめん、鉄郎。俺ももうすぐそっちに行く。」
「じゃあ、死ね!」
僕は死んだと思ったが体に風が当たっている感覚がある。
あれ?生きてる?
ふと前を見るとさっきの吸血鬼だと思われるものがバラバラの死体になって死んでいた。
「どういうことだ?」
あたりを見渡してみると、一人の男が立っていた。
身長は170程あり、一本の槍を持っている男が立っていた。
「ふぅ。間に合ったか。怪我はないか?」
俺は戸惑いを隠せなかった。
「はい、大丈夫です」
と答えた。
「それならよかった」
と男は言った。
「俺はもう行く」
男は言った。
「待ってください!」
俺は引き止める。
俺は聞かなければいけないことがある。
その人に。吸血鬼についてと、どうやってあの吸血鬼を殺したのかを。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
ブックマークに追加もしてくれるとありがたいです。
この作品はまだまだ続きます。
連載中。