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50歳で童貞を捨てた話  作者: しげる
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親友と僕(1)

 僕には、啓介という親友がいる。


 小学校、中学校、高校の同級生で…引っ込み思案で物静かな僕とは正反対の、外交的で友達の多い、いわゆる陽キャと言われる人種である。人そのものが大好きで、しょっちゅう誰かと遊んでいるような…いわゆる、人気者という奴だ。


 毎週のように飲み会に行っては場を盛り上げて、笑わせて、ケンカを仲裁して、また来週と手を振って爽やかにその場を去るような…、男性、女性、同年代、年上、年下、金持ち、貧乏人、真面目な人にふまじめな奴…人を選ばず誰とでも仲良くなれる、人懐こさの頂点に君臨するような人間である。その人脈たるや、とんでもないところに繋がっていたりして…驚かされることも珍しくない。


 また、非常に豪快で小さなことを気にしない器のでかすぎる男であり、困ったことが起きたら真っ先に相談したくなるような…頼りがいのある存在だ。少々の悩みなら、小一時間ほどの飲み会一回の参加でスッキリと吹き飛ばしてくれるような力強さも持っている。


 幼いころから気が弱く、目立つことを嫌って端っこの方でモジモジしていた僕を、いつも明るくて楽しい場所に引っ張り出してくれていたのは…啓介だった。


 自分から友達を作れない僕に、井本君、加藤君に鈴木君、屋敷君、向田君…片手で足りるほどしかいないけれども、今でも顔を合わせて談笑できる幼馴染を作ってくれたのは…紛れもなく啓介だ。


 ―――シゲちゃん!!ごめーん、また粗大ごみの事でちょっと聞きたいんだけど、いい?

 ―――もちろんいいよ。それが僕の仕事なんだからいつでも聞いてね。


 ―――シゲちゃん、悪いんだけど書道書いてもらえない?嫁さんが書いてくれなくてさー!

 ―――いいけど…奥さんどうかしたの?

 ―――なんか50肩なんだって!!まだ40代なのにババアかよってさww


 ―――シゲちゃーん、今度の定例飲み会、いつものとこじゃなくて持ち込みできる知り合いの安い店でやってもいい?娘の結婚式で金なくてさー!!

 ―――じゃあ、とっておきの頂き物のお酒を持って伺おうかな?


 いつだってニコニコと、大らかなオーラを振り撒いて、周りを巻き込んでいた、啓介。




「……え? 啓介が…亡くなった?!」



 自分の誕生日会を盛大に開くからと…なじみの居酒屋を貸し切る予約を入れたのは、先週の事だった。


『うん、何でも…飲み会の帰りに道端で意識を失って、早朝に見つけられた時にはもう息を引き取っていたって…でね、通夜が……』


 ……四月の第一週。


 49歳を迎える10日前に、啓介は、突然…この世を、去った。

全10回、毎週木曜・金曜に更新します。

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