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46話 帰還

定時更新です。主人公視点に戻ります


◇ ◇ ◇



王都に戻った時には十一月も一週間が過ぎていた。途中で鉄道建設現場の視察に何か所か立ち寄った為に少々日数がかかった。どうせ寄り道するならエンデナ村にも行こうかなんて話も一瞬出たが、さすがに遠回りが過ぎるので遠慮した。


そんな訳で久しぶりの学園だ。魔王に関しては一先ず王宮に判断を任せて、休んだ分を取り返さねば。本題のレポートも早めに取り掛かった方が良いだろうなあ。なんか急に忙しくなってきたぞ。これで発表会に選ばれていたらパンクしたに違いない。違いないのだが、忙しい時こそ休息が重要なので食堂でお茶などしながらエルフィーに土産話なんぞをしていた。勿論魔王の件は伏せつつ。


「へえ、そんなに大きな川なんですか」

「それとね、お魚が凄く美味しかった。ショウユって言うのをつけて食べるんだよ」

「ショウユ? 何ですか、それ?」

「えっとね、黒くてしょっぱくて豆から作るんだって。だよね?」

「大豆からな。調味料の一種だよ。黒くて済んだソースとでも言えば想像着くかな? マギーに買い付けを頼んであるから届いたら今度それを使って何か食べさせてあげるよ」

「はい、楽しみです!」

「やっぱお刺身はダメ?」

「止めといた方が良いと思う」

「そっかあ」


なんて他愛の無い話をしていると、誰かは知らないが一人の生徒が駆け込んできた。俺たち以外にも午後のお茶を楽しんでいるグループが幾つも居る。そのうちの一つに向かって、いや、むしろ食堂中の全員に聞かせる様に大声で言った。


「おい、大変だ! 調査隊が壊滅したらしいぞ!」


調査隊? 俺たちの事? いや、魔の森に入って行った一団か。ガタッっと急にエルフィーが立ち上がる。


「どうしたの?」


ニコが問いかけても反応しない。それどころか、出口に向かって走り出した。


「あ、エルフィー待って! アル、追いかけなきゃ」


ニコがそう言いながら駆け出すので仕方なく追いかける。テーブルの上、散らかしたままなんだけど後で絶対怒られるよなあ・・。



◇ ◇



「エルフィー待って! どこに行くの?」


三人の中では一番足が速いエルフィーなので、走り続けていたら見失っていたかもしれないが、正門を出た所で立ち止まってキョロキョロしているうちにニコが追い付いて腕を掴む事が出来た。うーむ、エルフィーはともかくニコにも追いつけなかったぞ? 小さい頃は俺の方が速かったのになあ。まあそれどころでは無いか。


「お姉さま、離して下さい! お姉さまが大変なんです!」

「ちょっと何を言ってるのか分からない」

「分かるよ! アル、ふざけないで」

「ごめん」

「騎士団が帰ってきてるなら王城だよ。付いて行ってあげるから一緒に行こうね」

「・・はい。有り難うございます」


エルフィーのお姉さん、去年の剣技大会でニコと当たった呼吸法の使い手が、今回の魔の森調査隊に参加している事は聞いている。それが壊滅? 第一王子が自ら率いる選りすぐりの部隊だったのでは? て言うか、この後の授業はどうするの?


「今から王宮に行くの?」

「ほっとくとエルフィーが一人で行っちゃう」

「仕方が無いか」

「あの、私一人でも大丈夫ですので」

「全然大丈夫に見えない! どこに行くのかも分からないままここまで走ってきたんでしょ?」

「・・・」

「三人で行こう」


こうして街中が妙にざわついているのを感じながら、大通りを王宮へ向かう。城門の隣に有る大きな二階建ての建物が騎士団の詰所だ。行くと人だかりが出来ていた。


「とにかく! 今日は誰も入れないから帰ってくれ! 面会は明日以降受け付ける!」


入口で歩哨が遮っていて誰も中に入れないらしい。


「あの! 調査隊は戻ってきているんですか!? 何が有ったんですか? 姉は、アイロスリッドは無事ですか!?」


エルフィーが叫びながら人を掻き分けて前に出て行く。


「それを今確認中だ。済まないが作戦中の出来事については今は何も言えない。気持ちは分かるが明日また出直してきてくれ」

「そんな・・」


どうやら今日の所はこれ以上進展しないらしい。


「エルフィー、いったん戻ろう。明日また来よう」



◇ ◇


ここまで読んで頂いた方、有り難うございます。続きはまた来週。

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