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37話 ノルド連合国

少しだけ更新が遅くなりました。


◇ ◇ ◇



山小屋での一夜は快適だった。食事もちゃんとしたものが食べられたし、ベッドも十分に広かった。昨日の疲れもすっかり取れて、今日こそ北の国へ。


「あれです。あの目印が国境です」


坂の頂上の脇に有る木に、赤いロープが巻いてあった。門も柵も何も無い、言われないと分からない、簡素な国境だった。


「いよいよ連合国に入るわけだね。目的地までもうひと頑張りしようじゃないか」

「ええ、行きましょう」


朝から歩いて、昼前に峠を越えた。昨日きちんと回復できたので、まだ体力は十分に有る。女性陣にも疲労の様子は無く、そのまま下って行く。


途中で昼休憩を挟み、更になだらかな下り坂を進んでいくと、陽が傾く前にそれは見えて来た。昨日見たのとほとんど同じ形をした、山小屋が。いやはや長い道のりだ。ここでもう一泊しなければならない。この山小屋もトレンブルハール家が建てた物らしい。


外見も、中の間取りも全く一緒だ。一応国境は越えたけど、これじゃ外国に来た実感が全然無いぞ。



◇ ◇



翌日の午後、実に三日目にして、今度こそ本当に着いた。山道を下り、林を抜けたその先に、白い壁で黒い屋根の、コの字型をした立派な建物が目に入る。俺たちがその建物の門に着く頃には、出迎えの列が出来ていた。


「お初にお目にかかります。ソルビア・モントールにございます。この度は遥々遠い所をお越し頂き、ノルド連合国を代表して感謝申し上げます」


列の真ん中の、宝石の付いた首飾りを下げた恰幅の良い男が、一歩前に出て挨拶をしてきた。


「こちらこそ、このような盛大な歓迎、痛み入ります。レイナード・ホックフォルテガルドと申します。父の名代で参りました」


今まで見た事のない神妙な顔で返すレイ王子。他にも何人かと挨拶を交わしていた様だが、とある光景を目にした俺は、意識が完全にそっちへ行ってしまった。


あれって、もしかして、ネコ耳!!??


歓迎の列の向こう側、建物の敷地の中で、メイド服を着た女の人が何かを抱えて走っている姿が見えたのだが、頭の上に茶色い何かが二つ生えていたし、どう見ても尻尾の様な何かが後ろに付いていた。


「なあ、今の」


ケイも気付いた様で、小声で話しかけて来る。


「うん、見た」

「僕も見えたよ。獣人族の人だったね」


セットもヒソヒソ話に加わる。


「話には聞いてたけど、本当にネコ耳少女が、しかもメイドネコ耳少女とは!」

「ネコミミ?」

「ああ、いや、獣人。獣人族だったね」

「初めて見たぜ」


居るのだ。この北の国には。ホックフォルテガルド王国には全く居ないが、連合国の一部には獣人族の自治領まである。いつかお目にかかりたいとずっと思っていたのだ。今回の話を引き受けた理由の一つでもあったりする。


そうこうしているうちに挨拶は終わったらしく、


「さあさあ、我がモントール王国自慢の魚料理を是非ご堪能下さい」

「それは楽しみですね」


などと言いながらレイ王子たちは建物中へ入って行った。


「お魚、自慢だって!」


ニコは拳を握りながら息巻いている。山脈を越えて来たばかりだが、この辺りは海も近い。山と海に挟まれた東西に細長い土地に、連合国の国々がある。西からモントール王国、ノルド王国、ハブナ自治領、サイザル国。そして今居るのがモントール国王の居城だ。


王城と言ってもマギーの実家の方が立派な屋敷だが、人口も少なくて統治も緩い北の国の規模では、こんな物なのかもしれない。さっきレイ王子に挨拶をしていた国王の態度も、随分と下手に出ていた感じだが、実際に連合国の方が立場が下と言うのが共通認識になっている。それは古い昔、魔獣戦争で戦った人々の国と逃げ出した人々の国と言う歴史の違いに依る。北の連合国も、東の砂漠の国と似た様な成り立ちなのだ。


ちなみに、モントール王国の更に西は魔の森で、ぐるっと山脈を周り込む様に俺たちの国から繋がっているが、間に有る大河が魔獣の侵入を阻んできた。魔王が居るとすれば、その大河の向こう側だろう。明日から早速調査だ。


が、その前に、連合国渾身の晩餐会を堪能するとしますか。



◇ ◇


ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます! 続きはまた来週。

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