34話 三者面談
定時更新です。
◇ ◇ ◇
九月半ば、休暇前に提出した調査票を元に、進路相談の三者面談が行われる。学生本人と、担当教師、そして志望先の採用担当者との三人。前世の学校で良く有る三者面談とは、勢力バランスが違ってこちら側が一人だ。
内容は相談と言うより内定試験に近いのかもしれない。早い者は年内に確約を貰えるらしい。勿論、卒業審査をきちんとクリアするのが前提だし、その審査内容は採用先から出される課題に沿った物になるケースも少なく無いそうだ。
校舎の三階に設けられた面接室のドアの前で息を整える。内務官吏を第一志望で出したから、きっと内務省の役人が面接官だろう。予めリリィ嬢に想定問答を教えて貰ったから、きっと大丈夫だ。そう自分に言い聞かせ、緊張で手が震えそうになるのをどうにか抑えてノックする。
「どうぞ」
「し、失礼します」
中に入ると、部屋の真ん中にポツンと置かれた椅子、そして長机の向こう側に座る二人が待ち構えて居た。
「は!? え!?」
「緊張している様だね。まあ、掛けたまえ」
正面の二人のうち、一人は担当教師、そしてもう一人は・・
「どうしてレイが」
「おほんっ。とにかく掛けなさい」
「は、はい・・」
良く分からないがとにかく座る。
「あなたは内務省志望と言う事で、間違いないですね?」
「はい、一応そうです」
「一応・・まあ良いでしょう。希望が叶う様に学園としても助力しますが、一つ条件があります」
「はあ」
「卒業審査です。各授業の理解が基準以上である事に加え、こちらで提示する課題を行ってもらいます」
「はあ」
「課題の内容ですが、まず年内に・・」
話すのは教師ばかりでレイ王子は黙ってそれを聞いている。何かニヤニヤしている様にも見えるんだけど、気にしたら負けな気がする。
◇ ◇
「以上です。頑張ってください。それでは面談を終わります」
「え?」
教師は話すだけ話したら、すぐに部屋を出て行ってしまった。
「どうだい、出来そうかい?」
ようやくレイ王子が口を開く。出された課題は、今年中に北の連合国まで赴き、今後王国が取引を行う燃える泥、即ち石油の採取状況と、彼の地におけるカラクリ工芸品の需要を調査し、卒業審査までにレポートを提出すると言う物だった。貿易の調査は外務省の仕事で、何で内務官吏志望の俺が、と思わなくも無いが、留守で授業を受けられない分、審査を甘くしてくれる、と言うより、あの口ぶりではレポートさえ出せば卒業させて貰えるみたいなので、承諾した。
「何とかなるんじゃないかな」
「それは何より。ニコにも同じ話をしているから、二人で仲良く頑張ってくれたまえ・・と言いたい所だけども」
「ん?」
「僕らも同行するから、宜しく頼むよ」
「あー、やっぱり。レイがここに居る時点で、そんな事だろうと思ってた」
「あはは。それでだね、課題はもう一つあるのだよ」
「もう一つ?」
「ああ、是非とも調査しなければならない。秘密裏にね」
「ふーん」
「その内容と言うのは、実は・・」
レイ王子は、俺の傍に寄ると、耳元で信じがたい単語を囁いた。
「魔王!?」
「しっ」
「あ、ごめん」
「これは極秘で頼むよ」
「いや、でも、魔王なんてこの世界に存在するの?」
「分からない。それを調べるのさ」
「そもそも、どこからそんな話が・・」
「トレンブルハール領から内密に報告が有った。北の国の一部で噂になって居るそうだ。もっとも、連合国政府の公式見解は、そんな者は居ないと言い張っているがね。今回の交易の話は彼らにとっても利益が大きい。水を差されたくないのだろう。だが放って置く訳には行かないと考えている。貿易相手に情勢不安が有っては、安心して取り引き出来ないからね。それに・・」
「魔獣か」
「ふむ。君もそう思うかね。それで説明が付くかは分からないが、関係が有るなら我が国にとっても無視は出来ない。大きな被害が出る前に、調べられることは調べておきたいのさ」
「はあ、何だか大事になって来たなあ」
◇ ◇
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続きはまた来週。




