表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/67

31話 漂流物2

今週も定時更新です。


◇ ◇



「炎の爪か。やっかいだ」


一旦全員引く。火熊の意識は離れた俺たちよりも、火球を打って来るニコに再び集中している。俺たちは作戦の立て直しだ。


「それにツノグマと同じくらい硬いよ。土魔法も使えるのかな。弱点を突くにも、もっとちゃんと動きを止めないと難しいね」

「やたら強いじゃないか」

「このまま放って置く訳にもいきませんわ」

「そうだな」


角熊の時みたいな芸当は、もう一度やれと言われてもまず無理だろう。何よりあの炎で焼かれてしまう。だが別の手段なら・・


「完全には止められないかもしれないけど、動きを鈍らせる事は出来るかもしれない」

「何か策を思い付いたのかい?」

「まあね。ニコ! そのまま火球を打ち続けてくれ!」

「りょーかい!」

「あの子、良く魔力が切れないですわね」

「フェルとリリィはさっきみたいに危なくなったら援護をお願い」

「「分かったわ」」

「じゃあ、他の皆はタイミングを計って一斉に・・」


そう言いながらニコに向かって走り出す。タイミングって!? って叫びが聞こえて来るけど、説明してると時間がかかるので、まあ、皆優秀だから機を感じてくれるだろう。あまりモタモタしていると、流石のニコでも魔力切れが心配になる・・事は、空気中から無尽蔵に供給されるのでほぼ無いんだけど、疲労は確実に溜まって行くので、とっとと始めるに限る。


ちなみに魔力切れと言うのは、魔素が体内から無くなってしまうのではなく、不活性化する事を指す。どう言った仕組みなのかは師匠にも分からないらしいが、使い続けると働かなくなるそうだ。時間が経てば元に戻るが、一時的に魔法を行使出来なくなるので便宜的にそう呼ばれている。空気中の魔素を利用している俺たちは、体内魔素の節約が可能だ。フェル嬢が見ていて飽きれるくらいの火球は撃ち続ける事が出来る。


「ニコ、俺の真ん前で火球を打ってくれ」

「アルはどうするの?」

「水魔法を使う」

「危ないんじゃないの?」

「だから使うんだよ」

「ふーん」


俺はニコの後ろで魔力を込めて氷柱を作り出す。ちょっと工夫する必要があるのでイメージを鮮明にして・・もうちょっと太くした方が良いかな? よし、こんな感じか。掌の上に、短剣くらいの長さの、先の尖った六角柱の氷が出現した。


「火球をいくつか同時に打ち出せる?」

「やってみる!」


火熊の攻撃を盾で防ぎ、自分のターンが回って来たニコは、少し小さめの火球を片手で二つずつ、合計四つを打ち放った。さらっとやってのけるけど、何気に凄い。今迄と違う攻撃に一瞬怯んで顔を背ける火熊。よし、この一瞬で間合いを掴める。


こちらに向き直って大きく開けた口にめがけて、氷柱を投げ込んだ。


ズドドーーーーーーーーーンッ!!!!


発射直前の火球に命中し、火熊の口の中で爆発が起こった。口から白い煙を吐きながら、手で顔を覆う様にして、仰け反って固まっている。失神したのか呆然としているのか、ともかく動きは止まった。


「「「これか!」」」


レイ王子たちが突っ込んで行く。



◇ ◇



「なるほど、この手があったとは、直ぐには思いつかなかったよ。流石は賢者の弟子と言った所かな?」

「アル先輩、凄いです。ニコお姉さまも! 今度魔法も教えてくださいね!」

「しかし派手に爆発したなあ」

「あれで火を吐けなくなったみたいだね」

「そうなればツノグマと同じだな」


氷柱は、中空にして液体の水を入れていた。外表を硬くして破壊力も強めた。中の水が凍ってしまわない様に命中直前まで魔力で維持するのがちょっと大変だったし、空気中の魔素を連結して使えるからこそ遠隔でもある程度維持が可能なので、誰にでも出来る手段では無いんだけどね。でも、もしかしたら全部氷でも効果は有ったかもしれないし、良く考えたら器は土魔法で作れば済んだのかもしれない。成功したから何でも良いけど。


「私、毎年魔獣に襲われる運命なのかしら」

「それを言ったらわたくしも同じですわ」

「でも、直ぐにヒグマだと見分けたのは、流石だったよね」

「こんな所で研究が役立ってもあまり嬉しく無いわ」


いやホント、こんな所で大型魔獣に遭遇するとは、全くツイてない。ホントにもうツイてない! 危険があるかもしれないから、海に近づくのは止めようだって! せっかく来たのに!? 水辺でキャッキャウフフは!? 許すまじ火熊!! 俺の水着回を返してくれーー!!!!



◇ ◇



「それで、泳いで来たとはやはり考え辛いかね?」


翌日、朝食を取りながら、火熊について話し合う。夕べも話したが、皆戦いの興奮もあってか、まともな議論にならなかった。


「魔の森から来たとしたら、有り得ないわ。遠すぎるもの。海の中でも生きられるクラゲならともかく」

「じゃあ、元々近くに居たとかならどうだ?」

「海しか無いですわよ」

「陸なら、僕らが通って来た街道の辺りだけど、そんな所に魔獣が生息してるはずも無いよね」

「飛んで来たとか?」

「そうねえ。でも、火熊も飛べないわよ」


日を改めても、まともな議論になりそうに無い。現れた原因は一先ず保留として、休暇を楽しむことにした。昨日の海鮮料理も美味しかったし、せっかく来たのだから楽しまないと損だ。水着回は、再度提案するも却下されてしまったけれど。



◇ ◇


ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます! いいね頂いた方、大感謝です!

続きはまた来週。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ