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29話 進路調査

暫く更新出来ずに済みませんでした。再開します。


◇ ◇



食堂で、俺は頭を抱えていた。


「なんだ、まだ提出していないのか」


俺の目の前に置かれた白紙をケイが覗き込む。一学期も終わりに近づいたこの日、夏季休暇の予定について皆で話していた所、またニコが海に行きたいと言い出したので、今年こそ俺も参加するべく熱弁を振るった結果、九人全員で行く事になり、大いに喜んだのも束の間、休暇前に提出しなければならない進路調査票の話題に変わり、今に至る。


上級生だから、そろそろ卒業後の進路を決める時期なのだ。が、しかし、頭の中は完全にノープランだ。


先週まではプランが有った。師匠の下で、助手として雇って貰う案だ。だが週末に相談に行った際に断られてしまった。三人とも同じ場所で同じ研究をしていては、お互いに新しい発想に結びつかないだろう、と。勿論これ迄通り弟子として手伝ったり情報交換は続けるけれども、俺たちは俺たちで別の事をしなさいと、言われてしまった。


別の事ねえ・・急に言われても、何も思い付かないんですけど!!


「ちなみに・・皆の志望は? 何て書いたの?」

「僕は国王って書いたよ」


レイ王子が茶目っ気たっぷりに言う。


「それは少し問題ではありませんの?」

「あはは。確か、補佐って書き加えたかな」


フェル嬢に諫められて訂正したが、確かに現国王が健在で、しかも第一王子が居る手前、ちと物騒な発言だ。


「僕は騎士団志望だよ。ケイもだよね」

「ああ、俺たちの家系なら当然だな」

「私はお見合いしろって言われてるのよねえ。でも研究職に就きたいから、お父様が務める内務省に入れてもらうわ」

「内務省で研究?」

「ええ、森の管理は内務省だもの」

「なるほど、魔獣に繋がるわけか」

「私は財務大臣補佐ですね。何れは父を継ぎたいと思っています」

「わたくしは勿論レイの手伝いをしますわ」

「俺もだ」


皆決まってるのか。そりゃ世襲が基本の貴族社会だもんなあ。皆貴族だもんなあ。俺はどうしたものか。世襲なら村に帰って農民兼村長補佐って事になるんだろうか。でもせっかくこうやって王都に来て学園で学んだのだし、もっと何か・・ああっ、その何かが分からない!


ここが最高学府だから、進学志望でモラトリアム学生生活と言う選択肢は無いし、そもそも平民の将来設計って普通はどんなのを思い浮かべるんだろう? 親を継ぐのが第一だろうけど、それ以外だと? ・・そうだ、



「ニコはどうしたの? 相談も受けてないけど、もう出した?」

「まだ。アルが書いたら同じのにする!」

「・・・」


うん、そうじゃないかと思ってた。でもそこは、アルのお嫁さん! とか言ってほしかったな。あ、でも、もし俺が村長を継ぐとか言ったら、一緒にやるって事? それは実質嫁なのでは。うん、そう言う事にしておこう。大体ホントにお嫁さんとか面と言われたら、またパニクって挙動不審なザマを皆に晒す事になるし、これで正解だ。正解だけど、解決にはならない・・はああ。


「何かやりたい事の一つでも無いのかよ。そりゃ村から出て来たお前には、王都でのコネは無いだろうが、多少の事なら俺たちが何とかしてやるぜ?」

「私も協力出来ると思います」

「ありがとう・・」

「もしかして、このまま村に帰るつもりなのか?」

「いや、それは勿体ないと思ってるんだけど・・」

「相変わらずはっきりしねーな、どうしたいんだよ?」

「俺は・・その、楽しく平和に暮らしたい。できれば王都で、皆と一緒に」

「なるほど。覚えておくよ」

「え?」


レイ王子が顎に手を当てて呟くのが見えた。何? 何かのフラグだったりする?



◇ ◇



王都を出て南に向かう。夏季休暇だ! 海まで少し日数がかかるけど、いずれ日帰り出来る様になるかもしれない。進路調査は、悩んだ末に結局、リサ嬢のコネを当てにした財務官吏が第一志望、リリィ嬢のコネを当てにした内務官吏が第二志望、第三志望は騎士団にした。騎士団は技量が無いと無理なので難しいかもだけど、第一、第二は、学園を卒業できる学力があれば、問題無いと言われた。でも、どうなのかなあ。自分で書いて提出しておいて何だけど、本意じゃないと言うか、まあ、仮ってことで。


それより今は、海へ! 待ちに待った水着回だ!!


「アル先輩、楽しそうですね」

「まあね」


村と往復した時より乗り心地の良い馬車に揺られて、俺はそこそこ上機嫌で居た。本当はもっとはしゃいでいたはずなのだが、事もあろうか念願のリサ嬢の水着姿を・・拝めないんだよ! 彼女は財務省の仕事で行く所があるとかで、来ていない。なんだよー、せっかく参加できたのに、ツイてないなあ。て言うか、もう仕事してるの? アルバイト? 全くもって残念至極だけれども、代りにエルフィーが参加することになった。せいぜい水辺でニコとイチャイチャして、俺の目を楽しませてくれ。出来れば俺も混ざって・・


「あ、アル、今、変な事考えてたでしょ」

「ん!? 何?」


半目で冷たい視線を送って来るニコ。勘の良い子は嫌いだよ、好きだけど。



◇ ◇


ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます! 続きはまた来週。

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