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02話 入学

最初なので、数話続けて投稿します。


 ◇ ◇ 



十五歳になった。覚醒してから十年。長い様であっという間だった気がする。畑と草地しか無い小さな村の中だけでずっと過ごして来たけど、ちっとも退屈じゃ無かった。いつもニコが側に居てくれたってのも大きいけど、色々有ったんだよね・・。


そしてこの春、俺は生まれて初めて村を出て、今はなんと遠く離れた王都に居る。村で色々有った結果、ここ王都に有る王立高等学園に入学出来る事になったのだ。本来なら平民の俺には資格が無いのだけど、とある貴族が特別推薦状を書いてくれた。


国中から優秀な貴族の子弟が集まる、この国、ホックフォルテガルド王国の最高学府。全寮制で家賃も食費も学費もタダ! そればかりか毎月のお小遣いまで支給される。何て素晴らしい!


ただ気がかりなのは、周りを貴族に囲まれて、果たして平穏な生活を過ごせるのかどうか。大抵こう言うのって平民は邪険にされて不遇な毎日を過ごして、そこから這い上がるサクセスストーリーが定番だからなあ。俺としては是非とも不遇無しでサクセスしたい。不遇は前世でお腹一杯だよ。この世界に来てからは結構楽しかったし、これからもきっと楽しい生活が待っていると思う様にしよう。なにより前世と違って独りぼっちじゃないしな。


学園の正門前に立ち、ままならなかった前世を思い返して感慨に耽る。


「アル? どうしたの? 入らないの?」

「あ、ごめん。ちょっと見とれちゃって」


そう、ニコも一緒なのだ! 夢に見た幼馴染ラブコメ学園生活が俺を待っている!


幼女だったニコもだいぶ大人っぽくなって、赤味がかったサラサラな髪も背中まで伸びて、もうすっかり何処からどう見ても美少女だ。村でずっと一緒でこれから学園でも一緒。これ、このまま行けば結婚出来るんじゃね?


一つ不安が有るとすれば、ニコは俺以外の同年代の男に会ったことが無いという点だ。これから色んな人と出会って、万が一にも俺以外の誰かを・・とか考えて、せっかく貰った推薦状を返そうとした事も実は有ったのだが、まあ今更だし、なるようにしかならないだろう。


「王都の建物はどれも凄いよね。わたしも見とれちゃう」

「別の世界に来たー って実感するよ!」

「そうだね。エンデナ村とはまるで違うね」


つい本音を口走ってしまい一瞬冷や汗が出たが、ニコは気づかなかったみたいで一安心。俺が転生者である事は当然秘密だ。なんとなくバレても問題ない気もするんだけどね。


レンガ作りで鉄格子の付いた立派な正門を抜けると、奥に向かって広い石畳が続いていた。両脇には赤や黄色に彩られた花壇。途中に円形の噴水池。その先に、これもレンガ作りで装飾に凝った三階建ての校舎がでんと構えている。前世のヨーロッパとかの王宮にこんなのが有ったよなあ。いいね、村ではあんまり実感が無かったけど、中世の美学と魔法の組み合わせは異世界定番だよね。しかし、学校がこれなら本物の王宮はどれほどだろう。そのうち見物に行ってみるか。なにせこれから二年間も王都で暮らす訳だし。


校舎の前まで来ると、教員らしき人物が声を張り上げている。


「新入生はまず講堂に集まるように! 講堂は左に行った突き当りだ!」


言われた通りに進むと、校舎の左隣に円形の大きな建物が、これまたでんと構えていた。高さも三階建ての校舎にほぼ並ぶほどだ。中に入ると、円の半分は階段状の座席になっていて、残りの半分がステージの様になっていた。階段席だけでも数百人は座れそうな広さだ。各々結構な間隔を開けて、と言うか、かなりまばらに席に着いている。俺とニコは上の方の端の方に並んで座った。やっぱりね、平民だしね、隅っこが落ち着くの。



 ◇ ◇



ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます!

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