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12話 剣技大会2

◇×2は場面転換を、◇×3は話者転換を示しています。


◇ ◇



午後になり、準々決勝が始まる。第一試合でまずセットが登場。相手は、青髪でひょろっとした体格の上級生。見た目はあんまり強そうでは無い。試合が始まると、セットは軽快なステップで細かく位置取りを変えながら、相手の隙を突いて攻撃を仕掛ける。だが相手は避けるそぶりも無くそれを軽々と弾き返す。いったん離れるセット。もう一度仕掛ける、また弾かれる。それが何度も繰り返された。


セットは右に左にと動き回るが、相手は最初の位置から向きを変えるだけで一歩も動いていない。今までの試合では、セットの動きに相手の体勢が崩れて、そこから連打に持ち込めていたのに、どうも上手くいかない様だ。そう言えばこの青髪の人、昨日の試合では片手で戦ってなかった? 剣は両手で持つのが基本なのに、ナメた事する人だなあと印象に残っている。午前の三回戦では多分両手で持っていたと思うけど。


「イースの守りは中々に固いからね。苦労するのも当然さ」

「知り合い?」


横でレイ王子が呟くので尋ねると、


「ああ、良く知る人物だ。君だって彼の御父上の事なら、知っているんじゃないかい?」

「御父上?」


確か選手紹介で、インギットソン・ファーラン何とかって聞こえたな、そのお父さんって?


「???」

「ファーランハスファルム宰相だよ。知っているだろう?」

「へえ・・」


いや知らないし! 前世みたいに大臣がテレビで記者会見する訳じゃないんだから、見た事も聞いた事も無いよ。師匠に教わった中に出て来たかな? 名前までは覚えていないや。何にしろ、貴族の、それもかなり上位の家の人って事なのね。そうこうしているうちに、結局セットは負けてしまった。動きが鈍った所で相手が力押しに出て、ねじ伏せられてしまったのだ。今日二試合目だし、疲れも有ったかも。それにしても、ケイにも勝る強引な勝ち方だ。


「なあ、あの戦い方って」


レイ王子にそっと尋ねる。


「ああ、彼の魔力階級は九さ。その防御はまさに鉄壁だよ。攻撃力は、もしかしたらケイの方が上かもしれないけどね」


なるほどねえ。流石は上級貴族様だ。セットは七階級って自分で言ってたから、それは敵わないか。俺が一回戦で倒したクラスメイトその一よりは腕が立つだろうけど、階級差は如何ともし難い。一つ下の階級に負けた俺が言うのも何だが。


準々決勝第二試合、今度はケイだ。今迄の試合よりは多少時間はかかったものの、強烈な一撃で主導権を握ると、相手にほとんど反撃を許さないまま見事に勝ち切って見せた。ケイも七階級のはずだが、あの瞬間的に出す物凄いパワーはどうやっているのか。さっきもレイ王子が、攻撃力は宰相の息子より上かもって言ってたし、あれは何かあるな。


続いて第三試合はジン。この試合は長引いた。お互いに真正面から数度打ち合っては引き、またぶつかるのを延々と繰り返す。一撃離脱ならぬ連撃離脱とでも言うべきか。優劣の付かないまま次第に両者とも肩で息をし出す。もうこれ、剣よりスタミナの勝負だよね。最後は、ジンがこれまでより長い連撃を繰り出して、相手が受けきれずに剣を落としてしまった。


最後の第四試合は、レイ王子vsこげ茶髪筋肉男。そっか、俺、勝ってたらレイ王子と当たっていたのか。それはまたやりにくい事になっていたな。当たらなくて良かったかも。試合は、レイ王子が優勢で進んでいた。まあ王族だからきっとお約束で最強の十階級なんだろ。王子の攻めに対して相手の筋肉男は、あ、このフレーズ何かに使えそう、それはさておき相手の、確かマグナザルツって言ったっけ? ん? あれ? あ! 思い出した! 俺の、俺とニコの、村での剣の先生の名前じゃないか! 特訓中はずっと先生としか呼んでいなかったから、すぐに出て来なかったよ。偶然同じ名前? いや、平民ならともかく貴族なら同性は無いだろう。となると、あの人は先生の親族なのか。確かセットがご子息って言ってたよな。うわあ、生返事なんかしてないで、ちゃんと挨拶するんだった。息子さんに失礼な態度を取ったと先生に知られたら、今度会った時には鉄拳制裁ならぬ鉄剣制裁が・・。いや、それより今は試合だ。


頭を抱えていた俺が試合に目を戻すと、レイ王子が左手首を右手で押さえていた。打ち合いの中で痛めたのか? それから暫く試合は続いたが、レイ王子はまた左手首を押さえると、今度は右手をゆっくりと挙げて降参のサインを出した。あれま、意外な番狂わせ。それとも八階級相手に及ばないって事は、十階級では無い?


そんな訳で、本日は終了。明日は午前に準決勝、午後から決勝戦だ。



◇ ◇ ◇



剣技大会とやらで儂は大忙しじゃ。まったく、怪我人だらけで堪ったものでは無いわ。今度はやんちゃ王子まで医務室に来よった。そう言えば、あのクロップナンスの弟子も昨日来よったな。三曜日に来たと言う事は、それまで勝ち残ったと言う事か。ふむ、平民にしては中々やりよるわい。やんちゃ王子は、左の手首に湿布を貼れと言う。どれどれ。


「何じゃ、何ともなって無いではないか」

「そこを頼むよ先生」



聞けば負けたと言うし、何を考えておるられのやら。王子なら真面目にやりさえすれば優勝は間違いないじゃろうに。また何か妙な気まぐれを起こしよったか。


大会後に貼り出された結果を見て儂は得心した。ほう、勝っておれば次はガナードロップ家の小僧じゃったか。やんちゃ王子め、親友を衆目の下で叩きのめすのを躊躇いおったな? 甘い! 実に甘い!

如何にも王子らしいがな。しかし、小僧の方はどう思うかの? あの二人の間にひと悶着起きるかも知れん。また新たな興味が沸いてきたぞい。



◇ ◇ ◇


ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます! 今回の〆はキッシンデント先生でした。


暫く書いてみて、火曜日更新がやり易い感じなので、今後はなるべく火曜日に続きを上げるようにします。が、今回は短めだったので今週中にもう一話投稿予定です。

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