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  作者: a
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花畑の遊園地。真っ赤っ赤。老若男女気軽に楽しめる場所、とはいっても若干お年寄りが多い。孫連れは少ないが。

「お前さんは趣味で来たのかもしれんが、俺は乗り物乗りに来たぜ。」

と一人のご老人が言う。彼と遊ぶことにした。


「おれぁ昔は敏腕だったんだぜ。都会で教師してたもんだが、そっちが本業じゃねえ。剣道の顧問、顧問も顧問の大顧問だったさ。指導は新入りから三年まで抜かりなく行き届かせたし、もうそこら中畏敬の目だらけよ。その頃の快活さは今でも身に染みるな。県大会で優勝した生徒共から感謝状も一杯送られてきたし、デジタル写真を撮られたりもしてさ、精神満杯の如しよ。」

「それが近頃になってさ、といっても十幾年か前のことだけどよ、俺の指導に精神が病んで止めていく子らがポツポツと出てきた。そりゃあ以前からそんな気質の子たちも少しは来たけどよ、体験入部だとか、学生同士の交友の末には入らないと決めるか、勘違いし続けた子も次学期には止めてることが殆どで、そこまで長くは居なかったもんだ。それが一転ころり、何の因果があってか多少の努力で剣道大会で賞貰って将来の足しにすべく入部するような奴らが増えた。そりゃ県内随一の成長効率だろうが、誰も多少の努力なんて言ってねえよ。まあ中学生なら仕方ないと思ってそのまま指導し続けたら、それが案外長く居座ると来た。でもそいつら、他の子らと仲良くしようとはしないんだよ。剣道が好きなのかと聞けばうんと頷くんで、てっきりそうだと思って指導に精を出してたら、三年の初めごろになっていきなり辞めだす。理由も話さないくせに退部届だけはきっちり出してくるんでそういうもんだと思ってたらさ、そこから一か月以内には自殺するんだよ。そんで自殺直前の文字記録には、決まって社会に絶望したとかいった文面がつらつらとある。後で聞いた話だが、そいつらが中学に入るとき、せっかく剣道の強豪校なんだからって、親に勉強捨てて部活に励めとか言われたそうだ。そう言われて剣道で好成績を収めた子も居るにはいたが、昔から運動が得意な子たちだけよ。親の判断ミスで我が子を殺めたんだろうに、順序通り俺の指導がきつすぎたせいだとか、免職しろこの殺人鬼がなんて声が世間には蔓延るんだよな。俺はどうしようもなくて、退職金もなしに県外へ出て行った。家族には申し訳ないが、それからは長らく山奥の村で気楽に生きさせてもらったよ。久々に街へ顔を出してみて、孫が娘を殺したって話を聞かされるまではね。」

そう言うと老人はジェットコースター乗り場へと歩みを進めた。


快晴、古びた木製のカートに揺られ、老人がレールを昇って行く。鈍角に降下が始まると、縦に大きく一回転、横に小さく三、四回転しまた縦に大回転する。安全装置はないが、老人はまだ腐りかけの箱の中で座っている。最後斜め45°に打ち上がると、泣きつ笑いつ、満ち満ちた表情で木箱と宙を舞い、焼却場に落ちた。一瞬火柱が立ったかと思うとすぐに元の木阿弥、後には青空と、彼岸花の遊園地ばかりが目を惹く。

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