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Force of Will  作者: デンチュウさん
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~第一次元人に発見された~

次元渡りをし、どことも分からない砂漠に落ちた二人は。カムイ率いるキャラバンに拾われた。挨拶もそこそこに新たなトラブルが発生する

「どうするつもりだ? ウォークも出来ない。ここがどの次元かも分からない。肝心のクリスタルも使えない。これじゃあ……」

「落ち着きなさい」


 慌てるユーリをよそに冷静なレイラ。何か考えがあるのか、着ている上着の内ポケットを探る。目当ての物を見つけたらしくそれを見せる。


「信号弾と発煙筒。これでどうにかなるでしょ。一先ずもう少し日が沈んで辺りが暗くなってからの方が気づいてもらえる筈だから休める場所を探すわよ」


 しばらく辺りを散策すると休憩には丁度良い岩場を見つけた二人。そこで暗くなるのを待つ事にした。

 日が沈み、岩場の高台から信号弾と発煙筒を発射し誰かにSOSサインを送る。レイラ曰く長丁場を覚悟しろとのことだったが、意外にも救いの手は早かった。


「いやぁ、驚いたよ。まさかこんなところで遭難者を拾うなんて。しかも、『次元渡り』(ウォーカー)の遭難者なんて世の中には珍しい事もあるものなんだなぁ」


 二人を拾ったのは二台の装甲車からなるキャラバンだった。しかしキャラバンと呼ぶにはメンバーが少々心もとないようにも見える。


 「私、ウォーカーの方と会うの初めてなんですよ! 別の次元って言葉では存在するのは知ってるんですけど、実際にこうやってお話したりってなかなか機会が無くて……。あっ、お二人はどんな場所からきたんですか? 元の次元ではどんなことをしてたんですか? 美味しい物とかあるんですか? それから――」

「こら、サクラ。遭難者を困らせないの」

「そうだぞサクラ君。出会っていきなり君のマシンガントークの相手は余計に疲れるじゃないか」


 立て続けに繰り返される質問にたじろぐユーリだったが、同乗していた別のクルーに止められた。


「ウォーカーの遭難者ってのも珍しいけど、しかも獣人だっていうから凄い確率だな。もしかしたら今なら――」

「隊長、貴方はカジノ禁止ですよ」


 鋭い眼光で隊長と呼ばれた男を睨む女性クルー。抜き身のナイフの様なその眼差しは関係の無い筈のユーリもたじろいだ。


「い、いやぁ冗談だよアザミ君……。ははっ……。そ、それよりも、残りのクルー遅いな~。もう作業が終わってるはずなんだけど――」

「あ~疲れた。隊長、夜営の準備終わったぞ。メシにしようぜメシ。腹が減ってはいい睡眠が出来ないっていうだろ?」

「スズナ、それを言うなら『腹が減っては戦がが出来ぬ』でしょ? 適当な言葉を作らないで。あっ隊長、モミジが『アレ』の確認して欲しいって」

「そうか、なら後で確認するよ。取り敢えず今晩はもう休もう。モミジ君は……まあ、その内来るか」


 少々手狭になったキャビンで、隊長と呼ばれている男が改めて自己紹介を始めた。


「改めて初めまして。俺はカムイ。このキャラバンの隊長……って事になってるけど、まだ見習いさ。そして彼女たちが」

「サクラです」

「アザミです。よろしく」

「アタイはスズナだ! よろしくな!」

「ボクはツバキ」

「後、もう一人モミジ君がいるんだけど、ちょっと変わり者でね。その内顔を出すと思うからその時にでも紹介するよ」

「レイラよ、こっちはユーリ。詳しくは話せないけど、私達の次元で問題があってウォークをしたんだけど、緊急事態だったから砂漠の真ん中に落ちたのよ。このお礼は街に運んでくれたら必ずするわ」


 自分達を助けてくれたキャラバンに対して何か答えようとしたユーリを遮ってレイラが事務的に会話を進めた。彼女の態度を見るに自分が喋るより彼女に任せた方が良いと判断したらしいユーリは大人しく聞いている事にした。そんな中、自分に強い視線を感じたユーリ。視線の先ではうずうずと言わんばかりに口元が震えているサクラがいる。


「えっと……サクラさん? でしたっけ。な、なにか?」


 話しかけられたサクラの目がカッと見開き。待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。


「あの! さっきも話した通りで! 私初めてなんですよ、別の次元の人と話すのが!! なので、えっと……色々聞いてみたくて……」


 目をランランと輝かせるサクラに思わず身じろぎするユーリ。先程のマシンガントークを目の当たりにして覚悟を決めたところに――


『隊長!! 緊急事態! 近辺に高温の熱源! 数は5、恐らくアリだと思いますわ。お客さんのSOSサインで誘われた思うんですけどどないします? アレの試運転相手にはピッタリだとウチは思いますよ! ってかもう出撃準備も終わりました! どないしますか!? もう出してもええですよね? 出しますよ!』


 キャビンに鳴り響く警報と関西弁の女性の声。レイラがいち早く立ち上がりトレーラーの扉に手を掛けよとすると。


「待ちなさい。アナタ何を考えてるの?」


 アザミに引き留められたレイラは静かに言い放つ。


「勿論。害虫駆除。拾ってくれたお礼の足しにはなるでしょ」


 相手の返答も待たずにレイラは扉の外に出る。

コロナのワクチン予約できた

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