残念美少女忍者カナデの分身、オドオドしているオドエちゃんと恋人になります!
思いつきで投下。
反応あるといいなあ。
うちのクラスには忍者が居る。
しかも美少女だ。
その名は巴沢カナデ。
高2でありながらあらゆる忍術をマスターした達人だ。
ついでに言えば、俺、相沢勝海の幼馴染でもある。
「よしっ!これで俺の勝ちだな!」
俺たちは高校生になった今も一緒にゲームをしたりする仲なのだが…。
「それならば必殺超分身でござる!」
カナデの体が陽炎のように揺らめき、そしてそこから10人もの分身が出現する。
これは残像ではなく実体を持った分身で、それぞれ違う行動ができる術らしい。
「こんな狭い部屋に10人も出すなっ!」
「さあ、分身たちよ!勝海殿の妨害をするでござるよ!」
すると分身たちが次々と俺に抱きついてくる。
「くうっ!はなせっ!これでは操作ができないっ!」
「ふふっ、おとなしく操作をミスりなさい」
「えっとお、抵抗しても無駄なんですう」
「ほーっほっほっほ。わたくしに逆らうのかかしら?」
まるで古典的な忍者みたいな『ござる口調』のカナデと違い、分身10人はそれぞれが違った口調で話す。
「あ、あの…ボクは…」
その中の1人は何だか気弱そうでしどろもどろだった。
そこで俺はとんでもないことを思いついてしまった。
「おい、お前」
その後俺は見事にコースアウトして負けた。
分身たちはカナデに重なるようにして姿を消していく。
「楽しかったでござるな。では、また遊びに来るでござる」
カナデはそう言うと、玄関からではなく俺の部屋の窓を開けて屋根伝いに隣の家に帰っていった。
「よし!今だ!」
俺は雨戸とカーテンを閉めて、ドアの鍵をかけてベッドの下を覗き込む。
「あ…あのお…」
そこにはカナデの体に戻らなかった分身、『おどおどカナデちゃん』、略して『オドエちゃん』が隠れていた。
「よし、出てこい」
「ボ、ボクはこれから何をされるんでしょうか?も、もしかしてエッチなこととか?」
「そこまではしない」
「その手前まではするんですかっ?!」
オドエちゃんはずずっと部屋の隅まで後ずさりする。
「自分自身の事だからわかっていると思うが、カナデは残念美少女だ」
「う、うん」
「美少女なのに『ござる言葉』で話し、いくら幼馴染だからと言って俺の部屋に来てはスカートが捲れるのも気にしないで遊んで帰っていく」
「それは、そのお…」
「しかしっ!カナデの分身であるお前はすごく可愛い!」
「へっ?!」
真っ赤になるオドエちゃん。
「ボクっ娘でオドオドしていて控え目なところがすごくいい!」
「そ、そうかな?」
「だから、俺の恋人になってくれ!」
「……」
「ええええええええっ?!」
驚きのあまり天井まで飛び上がるオドエちゃん。
そういうところはやっぱり忍者なんだな。
「ひゃあっ…あああああっ!」
天井から落下してきたオドエちゃんを抱き留める俺。
「大丈夫か?」
「あっ…うん」
頬を染めて恥じらっているオドエちゃんが可愛すぎる。
くっついても肌を見られても抱きついてきても恥ずかしがらないカナデとはえらい違いだ。
「改めて言うよ。俺の恋人になってくれ」
「え、えっと…」
「大好きだっ!」
「ボ、ボクも好きだから…いいよ」
こうして俺はカナデの分身であるオドエちゃんと恋人同士になった。
とりあえず、オドエちゃんの存在をカナデに知られてはならない。
「変身とか変装ってできるか?」
「少しなら…」
10人に分身したうちの1人なので、カナデの10分の1くらいの忍術なら使えるらしい。
「こ、これでどうかな?」
それは10歳児になったラブリーなオドエちゃんが!
「うおおっ!可愛すぎるっ!でも犯罪っぽいから逆で頼む!」
「う、うん。…これでどうかのう?」
今度は80歳くらいになったオドエちゃん。
「行き過ぎだって!20歳くらいで」
「こう?」
どたぷーん♡
「そ、その胸はいったいどうなってるんだ?!」
「も、もしかしてお母さんの遺伝かも…」
貧乳だった胸がいきなり超乳に!
そう言えばカナデのお母さんはすごいナイスバデーなんだよな。
「すまん。色々我慢できなくなるといけないのでやっぱり年齢調整以外で変装してもらえるか?」
「じゃあ…」
肌が褐色になり、髪の毛はショートカットだったのが長くなる。
その髪の毛をツインテにしてから眼鏡をかけてそばかすを少々。
「ど、どうかな?」
「ナイスだっ!」
俺はオドエちゃんを抱きしめる。
「あっ、あのっ、勝海さんっ、恥ずかしいですっ」
そう、この恥じらいの表情が最高なんだよ!
「よし、明日は土曜日だからデートに行こう」
「え?ええっ?!」
「ということで、今夜は早めに寝るか!」
俺はベッドでオドエちゃんと添い寝をした。
「ドキドキして眠れないよう!」
「それは俺もだ」
結局二人とも深夜になってやっと寝付くことができた。
「おはようでござるっ!あれ?土曜日なのにもう起きてるのでござるか?」
雨戸とガラス戸の鍵を一切無視して侵入してきたカナデが、すでに着替えを済ませている俺を見ていぶかしむ。
「今日はデートなんだ」
「なあんだ。それで早起きなんでござるか……な、なんだってええええ?!」
驚愕の表情を浮かべるカナデ。
「というわけで、デートの邪魔をするなよ。尾行とかするんじゃないぞ」
「べ、別に勝海殿のデートなんか見たくもないでござるっ!」
そう言うとカナデは自分の部屋に戻っていった。
さあ、あらかじめ待ち合わせ場所に行
ってもらったオドエちゃんとデートだぜ!
≪次回予告≫
カナデの分身たちが変装をして俺の周囲に付きまとう。
「お客様、パンケーキでございます…ああっと生クリームたっぷりのお皿があっ!」
「観覧車は故障中ですので、秒速10回転のコーヒーカップへどうぞ」
数々の妨害をくぐり抜け、俺とオドエは無事にデートができるのか?
そして新たな登場人物がっ!
「秘密をバラされたくなければわたくしを恋人にしなさい!」
乞うご期待っ!
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