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元覡、お嫁を探しに都会へゆく  作者: 取扱説明書
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生野君②

∩(´;ヮ;`)∩ンヒィィィィィ





「ねぇ、キミちゃん…晶くんと付き合ってるの?」


夢から急に覚めたような気がした。


「なんかいった?黒澤」


思わず口調が強くなってしまった。


「ううん、なんでもない。じゃ…またね。」


そう言い残して彼女は帰っていった。


そうだ。なにを浮かれて…私、聞こえていたのに。気づいていたのに。


最低だ。





解散の指示をして晶がこっちにやってくる。


「佳代は、もう帰ったのか。じゃあ俺たちも一緒に帰るか」


「うん…」


黒澤には私たちのことは言ってなかった。


晶は言いたそうだったけれど、私はサークルのみんなに知られたくないという理由で秘密にしたいと言ったら、晶も部長という立場上納得したようだった。


本当は、そうじゃなかった。ただ黒澤に知られたくなかっただけだった。


去年の夏、恋愛相談された時に彼女は晶が好きなのを私は分かっていた。


あの時、今の3人の関係が壊れてしまうのが怖くて、気づいていたのに知らないフリをしていたんだ。


それなのに私は…


「どうした?」


「ん、なんでもない。」


「そうか?そういえば彼、どことなくキミに似てるよな」


ドキッと背筋が凍る。


「なんでそう思うの?」


「んー、いやなんとなく気になったからかな」


もう、言い訳はできないし、しない。この気持ちがなんなのかはまだわからないけれど、


やるべきことだけはもう決まっている。


「ねぇ…話があるんだけれど」






それから晶の家で話をした。


彼氏に浮気されてふられたこと。たまたまその直後に晶に告白されて、好きでもなかったのに付き合ったこと。


佳代の話はしなかった。それだけは私がしてはいけないと思ったから。


私が晶の家にある荷物をまとめている間、彼はどこか虚な目をして、肩を落とし座っていた。


「本当に、ごめん。」


返事はなかった。





もう、どうしようもなかった。


すべて自分で台無しにしてしまった。


あんなに大切にしていたのに、


結局、私の自分勝手な気持ちひとつで。



ひとり夜に駆ける。





気がつくと彼の家の前に来ていた。外から部屋の明かりが消えているのが見える。




ごめんなさい。


ごめんなさい。


ごめんなさい。


ごめんなさい。


ごめんなさい。




今日だけは許して、


明日からちゃんと向き合うから。






明朝、彼はいつもと変わらない態度で私に話しかける。


思わず昨日の夜の出来事がすべて夢だったのではないかと錯覚するくらいに。


でも、ベット下の大きな荷物がそれを許さない。


でも、彼なら私の気持ちをわかってくれるかもしれない。


そう思った。


そう思ってしまった。


今日からちゃんと向き合うと決めたはずなのに…


やめて!止まって!


でも、もう止まらない。



「だからこれからもくるから」











ガチャンッ



結果は散々だった。私の汚いところ、彼にはすべて見透かされていたようだった。


いつから彼は気づいていたんだろう。思い返せば、軽口程度に受け流していたが、彼は最初から私を拒絶していたように思える。


「最初からか」


そう呟くと涙が溢れてくる。


こんなもの3年前まで流したこともなかったのに。


こんな気持ち3年前まであるなんて知らなかったのに。


こんな気持ち知るくらいならあのままずっと1人で…










6月、あれから一カ月以上、サークルどころか大学にもいっていない。どうすれば、2人に償えるのかそればかり考えていた。


でも、もう限界だった。誰かに会いたくて仕方なかった。ここまで来ると一種の麻薬のようだとさえ思う。


昔はあんなに1人が平気だったのに。


その時、


































インターホンがなった。


∩(´;ヮ;`)∩ンヒィィィィィ

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