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元覡、お嫁を探しに都会へゆく  作者: 取扱説明書
8/14

生野君①

んへぇぇ






いつからだろう1人が怖くて、寂しくなったのは





物心ついた時には1人だった。


両親は共働きで広い家には私ひとり。



別に怖くも寂しくもなかった。これが日常だったから。テレビもラジオもなんでもあったけど見る気もやる気も起きなくてただずっと水滴が落ちる音だけを聞いていた。



大学は、父が選んだ中で都内の大学で1番家から遠い大学を選んだ。特に考えはなかった。ただ、何かが変わる気がした。何かを変えたかったのかもしれない。




1年目の春、髪を染めた。なんでもない茶色の髪になっただけなのに、まるで生まれ変わったような気持ちなって、お化粧やファッションも覚えた。今までの青春を今から取り返すんだ。



夏、初めて恋をした。相手は他大学のひとつ年上で、なんとなく始めたバイト先の先輩だった。いつも適当なことばかり言って、仕事もサボるけど、小さい変化にも気付いて、気配りもできる優しい人だ。



秋、サークルに入った。入学式の時たまたま近くにいた黒澤さんと田中くんが入部していたので私も入ることにした。ここでたくさん友達ができた。今まで1人で生活していたなんて考えられない。



冬、はじめて失恋をした。最近あまりバイトで姿を見ないと思っていたら恋人と旅行に出かけていたらしい。人生で初めて涙を流した。胸が痛くて苦しい。




2年の春、二十歳になった。生まれて初めて飲むお酒は、なんだ少し楽しくて、誰かといるのはとても嬉しくて。



夏、黒澤に恋愛相談をされた。相手は晶かと思ったけど、どうやら違うらしい。幼なじみってそういう対象にならないのかな?私にも幼なじみがいたらもっと…少し羨ましい。



秋、告白された。バイト終わりの帰り道、相手は初恋の先輩だった。ものすごく嬉しくてでも少し不安で、なんだか不思議な気持ちだったことは覚えてる。返事はもちろん…



冬、彼氏の浮気が発覚した。夏に別れた彼女とヨリを戻していたようだ。とにかく悲しくて憎くてその時のことはあまり覚えていない。彼は、最後に捨て台詞を残して二度と私の前に現れることはなかった。

その直後、晶に告白された。親友だと思っていたからそんな気はなかったけれど、寂しくて怖くて、傷心中だった私はつい晶に甘えてしまった。ごめんね。黒澤、




3年の春、4月、入学式の後のサークル勧誘中、人混みの中で挙動不審な人影を見つけた。なんだか昔の私を見せつけられてるようで…話しかけるならきっと。



2週間後、朝一で御先くんを見つけた。彼には、授業をすべて組まされたので名前を覚えていた。でも、私はまだ自己紹介してないから名前では呼んであげない。サボり続けてきた1限目もここで彼に会えたなら無駄じゃなかったかもしれない。あれ?私もしかして…



4月下旬の昼休み、やっと見つけた。この間の仕返しも兼ねてお昼ご飯を奢らせて、ついでに連絡先を入手してやろう。あくまでついでだから!!


こいつ!あんなに言ったのに帰ろうとしてやがった!!家に帰って寝るなんて冗談じゃないきっとこのままバックレる気だな。家までついていって絶対引っ張っていくから!


寝過ごしてしまった。それもこれもこいつのせい。すごく居心地が良くてなんだかとても…ってそんなこと言ってる場合じゃない。まだ間に合う急がなきゃ!


あいつどこいった。精算してるうちに帰りやがったな!今のテーブルのメンバーで晶の家で遊ぼうって誘うつもりだったのに!電話して呼び戻してやろう。あれ、黒澤どうしたの?


































「ねぇ、キミちゃん…晶くんと付き合ってるの?」


おほぉおお

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