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元覡、お嫁を探しに都会へゆく  作者: 取扱説明書
7/14

おれもふつうに

うおおおお




ザーーっ






梅雨。サイ○リヤ以外でカタツムリを見ることができるのはこの季節だけと言っても過言ではない。


鼻歌まじりに、よくよく観察してみると前進しているようだ。カタツムリマジノロイ。



「それはカメでしょ」



もしもしじゃなくて、でんでんだったか…



「どうも、自分は楽しんだんで変わりますよ。」


「変わって欲しくて話しかけたわけじゃないわよ。」


「帰って晩飯作るんで、失礼します。」


「ちょっと待ちなさいよ。こんな大雨の中、傘もささずに涙ぐんでいる女放っておいてどこいく気?」



よくよく観察してみるとこの大雨の中、傘もささずに涙ぐんでいる女がそこにいた。イクノキミマジメンドイ。



「」


「傘いれて」


はいよ




「」


「なにも聞かないの?」


「君子危うきに近寄らずってやつですね、ただ…」


「ただ?」


「聞こえるぶんには構わないって感じ」


「君、ひょっとして優しい人?」


「ひょっとしなくても優しい人ですよ。ただ、俺の優しさに触れる機会を得る人がいないだけで。あと、いい加減そのネタ寒いんで、やめたほうがいいですよ」


友達いないからなぁ。俺、捨て犬に傘をさしてあげるくらいには優しいのに。


すると急に、フワッと柑橘系の香水が香る。


「そうね、寒いのよ。ずっと」


「俺、冷え症なんで抱きついても意味ないと思いますよ」


「充分、あたたかい」


寒いのは傘もささずに散歩してるからですよ。なんて、無粋なことは言わない。


ほら、俺、優しい。






〜〜2ヶ月前〜〜




ガチャンッ



「そんなに乱暴に締めなくたっていいだろ」


と怒りながら出ていった彼女、生野君に文句を言いつつ、


床に投げ捨てられたままのタオルケットを畳み、ベッドの上に放り投げると、


自分もそのままベッドに倒れ込み、目を閉じた。




昔から勘のいいガキだった。


環境上、人の行動、言動には、特に目端が効いていたからかもしれない。


さらに、タチの悪いことに俺は、誰よりも空気を読むことに長けていたかもしれないのに、空気をとことん読まない人間だった。


なにが言いたいか。




昨日の焼肉のテーブルがきっかけだった。


俺と同席していた後藤以外の先輩方3人組はかなり歪な関係だと言うことがわかってしまった。


そのような考えに至った決め手があったわけではない。経験上、行動、言動による雰囲気で分かってしまうのだから、仕方がない。


そして、朝方、俺のベットに置いてあった大きな荷物。これがどこから持ってきたものなのかは本人が言っていた通り、田中先輩の家から持って帰ってきたものだろう。


朝食を運んだ時、たまたまその荷物の中身が見えた。それが生野先輩のモノであるならば、田中先輩とかなり親密な関係でないとありえない。


しかし、生野先輩と田中先輩が恋人関係ではない。なぜなら、生野君という人間はおそらく……












「やめだやめ」


たった今、遠回しな絶縁宣言をされた相手のことを考えたって仕方がない。


最初は嫌いな相手だったけど…みたいな少女漫画的な流れ(その場合、俺、女主人公だな)を期待しなかったわけではないので、そこそこへこむ。



ブーーッブーーッ


最近よく勝手に動くなこのゲーム機。



「はい。もしもしカメですよ。」


『ーーーーーーーーーーーーー』


「まぁそこそこって感じですね。楽しいですよ。兄さんのおかげで」


『ーーーーーーーーーーーーー』


「来月の連休はやめときます。」


『ーーーーーーーーーーーーー!!!』


「わかりましたよ。夏季休暇には必ず帰りますから。はい。はい。ねぇさんにも、はい。それではまた」



はぁ






























俺も普通にカノジョ欲しいな。



カノジョほすぃ

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