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元覡、お嫁を探しに都会へゆく  作者: 取扱説明書
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どうぞよろしく

いつまでも寝ていたい






ブーーーッブーーーッ





聴き慣れない音に目を覚ます。枕に顔を埋めたまま、その存在に平手打ちを喰らわせてやった。


「うるせぇな」


『え?男の声?』


飛び起きる。これ俺のゲーム機じゃない。そして、通話中だと……!!


『あのーもしもし〜』


電話の向こうからは女の人の声が聞こえる。


「こちら問題ありません。オーバー」


動揺しすぎて、兵隊さんになっちゃったよ!


『え?』


「はい」


『』


「」


なんだろう……申し訳無い。非常に


『近くに生野さんいませんか』


そうか。これはあいつのスマホか。そういえばどこに…


部屋中見渡すがどこにも姿が見当たらない。


あいつスマホ忘れて帰ったのかと思ったのも一瞬。隣でタオルケットにくるまってモゾモゾしている物体が目に留まる。


まさかと思いつつ顔であろう部分に手をかける。




よだれ垂らしながら寝てやがった。




「おい」


バシッとあたまをはたく


「いたっ…はよぁ」


「なぜベットで寝ている」


「この部屋にベットが一つしかないからだけど」


これが……大学生かっ!!


じっちゃばっちゃ、おれ、、大人の階段登ったよ。


と呆けていると


『おおーい、もしもーし』


と小さくどこからか聞こえる。


「あれ?黒澤ジャン、もしもーし」


と電話でなにやら話始めた。時折「嘘でしょー」とか「ごめーん」とか言っている。


関係ない話、外でしてくれませんかね。てか帰れ。そう思い二度寝を決め込もうとすると


「待った!」


「はい?」


「あんたもう20時よ!出る準備して!」


そう言われると確かに部屋は真っ暗、外にはお月様である。


「良い子は寝る時間だし、悪い子は早く帰ってください。」


「なに言ってんの、まだ間に合うから早く行くわよ」


と支度を始める。


ちょっとおねぇさん服装が乱れてるわよ。おへそとかもう丸見え、ちょっとは気を使いなさい。もぅ、やぁねぇ。


オカマになること。是、無の境地也。


「はい!財布!スマホ!鍵!」


と手渡してくる。己は俺のオカンか!


「よし!」「じゃ、またあとでー」


と電話を切り、そのまま俺の手を掴みベットから引きずり出す。


おれのアヴァロンがぁあ〜








夜風が心地いい。これは詠みたくなるな。春の夜の〜…………おれに歌才はなかったようだ。


「あの、もう手を離してもろてもよかですか。ちゃんと行きますさかい」


「そんな適当な関西弁だかよくわかんないの使ってると道○堀に投げ込まれるわよ」


えっ?こわぁ、、早速おうちに帰りたくなっちゃった。


そのままドナドナみをマシマシしているとあることに気づく。


「あれ?こっち大学じゃないですよね?」


「そっちはもう終わって、いまからみんなでご飯なの」


「あぁ、そういうそれじゃ失礼しマッっ!」


首が締まった。


「遅刻してるんだから余計な手間かけさせないで」


と珍しく真面目なお顔。


「あい」


あれ?おっかしいな?寝坊したのはあなたもですよね??


「ここよ」


「ほへぇ、意外とおれんちから近いんですね」


「ほんとラッキーだったわ」


とお店のドアを開けると


「おっそーい!」


とちっちゃいモノが飛び出してきた。


「ごめんごめん。うっかり寝坊しちゃって」


「気をつけてよねー!!」


とすぐに踵を返して行った。


声から察するにさっきのちっこいのが黒澤さんなのだろう。


「なにぼーっとしてんの!はやくはいって!」


また手を拘束された。ここまできたら逃げませんて…….


店の奥に進むと40人ちかくがそれぞれのテーブルで肉を焼きながら楽しそうに談笑していた。


焼肉屋なの、今気づいたよ。


「こっち、こっち〜」


ちっちゃい生き物改め、黒澤さんらしき人が奥のテーブルでピョコピョコしている。カワイイ。


そのテーブルには既に黒澤さんらしき人を含め男が1人、女が2人の計3人が座っていた。


「ごめん、晶。遅くなっちゃった。」


「別にお前の遅刻も迷惑も今更だろ」


「確かに。晶くんのいうとおり!」


「そんなにやんちゃしてるかなぁ」


とお友達であろう3人が楽しそうに話し出した。非常にいたたまれない。


その直後、稲妻が走り、横で気まずそうな顔をしている女の子が目に留まる。


ア○ロ、いっきまーーす!


「君も1年生?」


と軽めのジャブを打つ。フッ、おれもやればできるじゃないか。


「もしかして、同級生ですか!私も1年なんです。法学部の後藤ゴトウ サキです!」


と水を得た魚のように返事が来た。


若干喰い気味に答えられたことに対する動揺を隠しつつ


「今日はいい天気ですね」


「?」


語彙が貧弱だった。


ブフッと隣で笑っているやつを今すぐはたきたいきもちをおさえていると


「やぁ、はじめまして。僕は部長の法学部三3年の田中タナカ アキラだ、よろしく」


と手を差し出してきた。


「入会費とかありましたっけ?」


「いや、普通に握手でしょ。どんだけ捻くれてんのアンタ」


これがっ、リア充がする握手というやつか…


あっ引っ込んだ。


「私は文学部3年!黒澤クロサワ 佳代カヨです!」


と黒澤さんらしき人が黒澤さんに確定した。


「あたしは、生野いくの キミ。経済学部の3年よ。そっちの子は咲ちゃんでいい??よろしく。」


「はい!よろしくお願いします!」


「」

「」

「」

「あんたの番よ」


びっくりした〜。止まった時の中はひとり…このオレだけかと思っちゃった!


これはいよいよ逃げられないなと思いつつ



「はじめまして、経済学部1年 御先ミサキ ヨウです。」



































どうぞよろしく。


やれるうちにやらないと

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