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悪役令嬢はしゃべりません  作者: 由畝 啓
第一部 悪役令嬢はしゃべりません
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58. 未来への一手 4


ライリーがオルヴァー・オーケセンと対峙する頃、リリアナ・アレクサンドラ・クラークはメラーズ伯爵との面会に臨んでいた。

片手に扇を持ち、不機嫌な表情を浮かべるリリアナに、メラーズ伯爵は困ったような表情を浮かべていた。


「大公閣下は一度もわたくしとお会いにすらならないではありませんか。伯爵は、わたくしとの約束を反故になさるおつもりなの?」

「リリアナ嬢、そうは仰いますが、閣下も何かとお忙しいのです」

「未来の妻に割く時間は露ほどもないと?」


片眉を上げてリリアナは不快感を露わにする。しかしメラーズ伯爵は動じなかった。彼にとって、女の癇癪は面倒ではあるものの、取るに足らないものでもある。


「何分、陛下と王太子殿下の御二方が行方を晦ましたまま見つかっていらっしゃらないのです。お二方が見つかるまでは、我々としても大きく動けないのですよ」


実際にライリーとリリアナの婚約も、現時点では解消出来ていない。ライリーが居ない状態で、もしくは彼の死が確認されていない時点でリリアナがライリーとの婚約解消を願い出たとしても、神殿は決して頷かないだろう。

だから、メラーズ伯爵の話もあながち間違いではない。しかし、リリアナはそれを不服とした様子を保たなければならなかった。


「簡単に仰いますのね。時間とは貴重なものでしてよ。今この場で覚えておくことね」

「左様でございますな」


リリアナ本来の話し方ではないが、大公派には考えの浅い愚かな少女として接すると決めている。参考にしているのは高慢な態度でリリアナに接して来たマルヴィナ・タナーやこれまで読んできた書物、垣間見て来た女性たちの言動だ。敢えて高飛車を装っているが、メラーズ伯爵は困ったように微笑むだけだった。

もしリリアナが本心からライリーと婚約を解消し、フランクリン・スリベグラード大公との婚姻を願っているのであれば、メラーズ伯爵の態度に腹を立てただろう。だが実際のリリアナは、大公と結婚したいという気持ちなど全くなかった。

とはいえ、平然としていれば明らかに怪しまれる。そして今のリリアナは激情に駆られた風に振る舞わなければならなかった。


「貴方、ちゃんと聞いていらっしゃるの?」

「ええ、無論にございます」


メラーズ伯爵ははっきりと頷く。しかしどう考えてもリリアナのことを本気で考えているようには見えない。

そろそろ頃合いだろうかと、リリアナは手にした扇を苛立ちに任せて乱暴に閉じた。眦を吊り上げ、もう耐えられないと言いたげに溜息を吐いて立ち上がる。淑女にしては品のない立ち居振る舞いだが、構わなかった。重要なことは、リリアナが腹に据えかねたのだとメラーズ伯爵に知らしめることだった。


「到底、信じられませんわ。誠意の欠片もないのね」


リリアナは吐き捨てる。

父親が施した術のせいで感情が抑圧されて来たリリアナは、元々自分の感情を露わにすることに慣れていない。しかし、ライリーの婚約者候補となった頃から受け続けて来た王太子妃教育では、早い段階から感情を制御(コントロール)する術を学んでいた。決してそれは無表情でいるということでも、いかなる時でも笑みを浮かべ続けるという意味ではない。

たとえ怒っていなくとも、相手に怒りを見せるべき場面では怒りを。悲哀を示すべき時には哀しみを、その時々に周囲へ知らしめることが必要だと思われる感情を的確に表現する術を学んで来たということだった。

感情を実感できないリリアナにとっては苦手な科目の一つだが、それでも必要最低限は備えている。

そこで学んだ技術と経験を総動員して、リリアナは怒りをメラーズ伯爵にぶつけた。


「貴方が本心から反省するまで、わたくしは屋敷へ戻ります」


反省するまではいらっしゃらなくて結構よと、リリアナは冷たく言い放つ。そして踵を返すと、彼女は颯爽とメラーズ伯爵の前から立ち去る。そして女官たちに荷物を纏めるよう指示した後、颯爽と王都近郊の屋敷へと戻って行った。



*****



ニクラス・パウマンと共に隠し部屋を出たライリーは、案内されるがまま直ぐ近くにある部屋に辿り着いた。ニクラスが開いた扉から室内に入ると、中央のソファーには青年が一人腰かけている。恐らく彼がオルヴァー・オーケセンなのだろう。

オルヴァーは驚いた様子で顔を上げると、ライリーを見て目を瞬かせた。しかしすぐに気を取り直して表情を改めると立ち上がる。


「ラース殿ですね」

「初めまして、でしょうか」


ライリーはにこやかに答えるが、オルヴァーの問いには答えない。それに気が付いたのか、オルヴァーは片眉を僅かに上げた。しかし特に指摘することはなく、オルヴァーはライリーが対面に腰かけたと同時に自分も座る。

そこでようやくライリーはニクラスを振り返り、にこやかに口を開いた。


「皇女殿下が気がかりでしょう。こちらは大丈夫ですので、殿下の元へ行ってください」

「――御意」


ニクラスは短く頷く。そして、さっさと部屋を出て行った。これで心置きなく話すことができる。もしかしたらニクラスか誰かが自分たちの会話を聞いているかもしれないとは思ったが、気配は一切感じられなかった。


「さて、貴殿のお名前を窺っても良いでしょうか」


ライリーが尋ねると、オルヴァーは素直に答える。


「オルヴァー・オーケセンです」

「北の方ですか?」

「はい。北連合国の外交官として皇国に滞在しています」


オルヴァーは恐らくライリーの正体に気が付いていないのだろう。言葉遣いは丁寧だが、それは初対面だからと言える程度のものだ。正体を明かしたら他の人たちと同様畏まった態度になるのだろうなと何処か寂しく思いながらも、ライリーは自分の本当の名前を告げる頃合いを見計らっていた。


「そうですか。この国で得るものはありましたか?」

「得るもの――ですか?」

「はい。北の国々は他国には不干渉を貫くと聞いています。それにも関わらず、わざわざ皇国へ訪れたとなれば、何かあると考えるのが自然です」


如才なく尋ねるライリーに、オルヴァーは訝し気に眉根を寄せた。ライリーが尋ねたことは、一介の少年が口にするような内容ではない。末端まで教育が行き届いているわけではないこの世界で、闇闘技場に出場するような出自の少年が政治的なことを知るはずがなかった。それも、単に自国のことではない。ユナティアン皇国やスリベグランディア王国は北を峻険な山々に接し、北の国々とは殆ど交流がなかった。庶民が知る北の国に関することと言えば“北の移民”という存在くらいだ。それも、大半の者は北から来たのか南から来たのか、それとも全く違う場所から来たのか、把握していない。


だが、ライリーはあたかも常識を口にするように北の国々の政治的な立場についても言及してみせた。

明らかに違和感を覚えているオルヴァーは探るような視線をライリーに向ける。そしてライリーは静かにその視線を受け止め笑みを深めた。


「私がこのようなことを言うのは妙だと思いますか?」


問うたライリーに、オルヴァーは僅かな警戒を双眸に映す。


「――それを言えば、言葉遣いも一般的な民には見えませんね。尤も、あの闘技場には様々な身分の者が来ると閣下も仰っておられましたから」

「なるほど、それほどおかしな話でもないと」


納得したように頷くライリーだが、オルヴァーは頷かなかった。寧ろ一層困惑したように眉根に皺を寄せ、ライリーを凝視する。


「いえ、貴方が我々の国について言及するまでの話です」


闇闘技場に足を運ぶ人物は身分を問わないとはいっても、北の国についてまで理解している地位の人物は早々居ない。政治の中枢に居る者か、外交を司る血筋の者程度だ。もしくは商魂逞しい商人もあり得る。

しかし、ライリーはそのいずれにも該当しなかった。一見したところ十代半ばから後半に差し掛かる程度の青年で、かつ闇闘技場に戦士として参加していたことを考えれば、今まさに煌びやかな世界で活躍している人物ではあり得ないだろう。

ライリーの正体を見破ろうとする様子のオルヴァーを見て、ライリーはそろそろ頃合いかと腹を決めた。元より隠し通すつもりはない。ライリーの目的はオルヴァーの信頼を得ることであり、煙に巻くことではなかった。


「確かに、一介の貴族や庶民であれば貴殿の国々については知らないでしょう。しかし私は北の国々に、優れた能力を持つ者たちが居ると知っています」


途端にオルヴァーの顔から一切の表情が削ぎ落される。一歩間違えればこの場で乱闘になりそうなものだったが、ライリーは全く動揺していなかった。


「私の名はライリー・ウィリアムズ・スリベグラード。スリベグランディア王国の王太子です」


その名を聞いた途端、オルヴァーの無表情が固まる。双眸に驚愕が走るが、それも当然だった。まさか誰も、隣国の王太子が闇闘技場で皇国の大公と剣を交えたなどとは思わないだろう。

ライリーはオルヴァーの動揺は見なかったことにして、静かに言葉を続ける。


「貴方は私の友人が検問所の様子を見に行った時、変装を解いていたにも関わらず見破りました。それを聞いた時、私は国に居る知人と同じではないかと思ったのです」


ライリーはイーディス皇女とニクラスに、オルヴァーを大公から引き離すよう依頼した時から、ずっとどのように話を運ぶか考えていた。

警戒されては意味がないし、こちらの話に旨味がないと思われるのも困る。最善はオルヴァーの警戒心を解き、そして皇国ではなく王国と手を組んだ方が良いと判断して貰うことだった。


「知人?」


ライリーが口にした“知人”という言葉に、オルヴァーが反応する。ライリーは何でもないことのように頷いた。


「ジルドという男です。元は傭兵ですが、今は私の婚約者の護衛としてその能力を如何なく発揮してくれていますよ」


ライリーの言葉にオルヴァーは瞠目する。ユナティアン皇国で“北の移民”は悲惨な扱いをされることが多い。恵まれている立場の者でも、コンラート・ヘルツベルク大公の配下の者のように、一兵卒として扱われる程度だ。

だが、王太子の婚約者を護衛するとなると話は全く変わる。社会的な地位も認められ、使い潰されるようなこともない。更にライリーはその男のことを“知人”と言った。外交官という立場であるオルヴァーでさえ顎で使うヘルツベルク大公とは、大きな違いだった。

オルヴァーがライリーに興味を持ったと悟り、ライリーは更に言葉を続ける。


「彼――ジルドには色々と協力をして貰っていましてね。特に我が国では“北の移民”を騎士として盛り立てようと考えています。実際には辺境伯領での施策を国でも行おうというものですが、実はそれには一つ大きな問題がありまして」

「問題?」

「そうです」


全く普通のことのようにライリーは話しているが、それが実際どれほど難しいことであるかオルヴァーは良く理解していた。だてに外交官をしているわけではない。ユナティアン皇国でもスリベグランディア王国でも、“北の移民”の地位は非常に低い。その地位を向上させようとしても、根付いた差別意識は到底取り除くことができなかった。

当然、ライリーの発言は夢物語だ。辺境伯領では実際に施策として走っているという発言には驚かされたが、国でとなると話は異なる。問題があると言われても、ないはずがないだろうと、オルヴァーでさえ思えた。


「実は我が国から、本人の同意なしに“北の移民”たちが皇国(こちら)へ連れ去られるという事件が、ここ何年も立て続けに起こっているのです。誘拐というよりも、人身売買ですが」


オルヴァーの眉間の皺が深くなる。彼の脳裏では、すぐに一つの可能性が導き出されていた。即ち、コンラート・ヘルツベルク大公が擁している“北の移民”ばかりを集めた一小隊の面々が、一体どこから集められたのか――ということだった。

“北の移民”と言っても、それほど人数が多いわけではない。特にオルヴァーの同族だけに数を絞れば、更に見つけることは難しくなる。それにも関わらず、大公はそれなりの人数を見事に集めていた。

その方法を知りたくて彼に付き従っていたのもあるが、結局分からず仕舞いである。闇闘技場で出会った戦士のうち、見込みのある者に声を掛けると教えられたが、それでもやはり“北の移民”ばかりを集めるとなると難しい。

だが、ライリーが言った“人身売買”を一つの方法と考えると、腑に落ちた。そして同時に、腹の底から怒りがふつふつと沸き起こる。

そんなオルヴァーを静かに見つめていたライリーは、事態が自分の願った方向に転がり始めていると確信した。


「今私たちは、その“人身売買”を食い止め、捕らわれた者たちが本人の好きな場所で生きられるよう手筈を整えています。しかしながら、やはり私たちはあなた方について知らないことも多くある。そのため、もし協力を頂けるのであれば是非協働したいのです」


ライリーの言葉は、オルヴァーの耳に真摯に響いた。

いずれにしても、これ以上ヘルツベルク大公に良いように使われることは避けたい。どのみち“ラース”がスリベグランディア王国王太子ライリーである以上、その身柄を大公に引き渡すわけにはいかないのだから、ヴェルクを出る時には大公と決別することになるだろう。少なくとも、オルヴァーが考えている“北の移民”の地位向上と北連合国の後ろ盾となることに協力してくれるとは思えない。

それであれば、自分たちを明らかに見下している皇国よりも、親身になってくれそうな王国の王太子(目の前の青年)と手を組んだ方が良いに違いない。


オルヴァーの頭の中で、結論は一瞬にして出た。悩む必要すらない。


「――分かりました」


ライリーが当初思っていた以上に早い段階で、オルヴァーは頷いた。


「寧ろ、こちらからも是非お願いしたいところです、殿下」


オルヴァーの返答を聞いたライリーは嬉しそうな笑みを浮かべる。オルヴァーは知らなかったが、それはライリーがスリベグランディア王国の王宮を放り出されてから、久々に浮かべた心の底からの笑みだった。

途端に、ライリーの体に纏わりついている魔力の質が柔らかくなる。優しいとさえ思えるその感触に、オルヴァーは改めて自分の要望を伝えた。


「それではこちらの要望を述べても宜しいでしょうか」

「勿論だよ」


快諾したライリーに感謝の目を向け、オルヴァーは幾度となく皇国でも繰り返し、そして無視されて来た話を口にする。


「一つは、貴国における我らが同胞の地位向上。そしてもう一つは、我が国と同盟を結んでいただきたいのです」

「同盟?」

「はい」


同盟と言われたライリーは目を細めた。断られるのだろうかと一瞬ひやりとしたオルヴァーだが、ライリーは直ぐ納得したように頷いた。


「ああ、そうか。東方帝国――ではないね、アナトーレ帝国かな?」


東方帝国はスリベグランディア王国だけで用いられる俗語だ。地理的に遠く離れているが、稀に帝国の品がスリベグランディア王国にも流れて来ることがある。そのためアナトーレ帝国という正式名称は広まっていないが、東方帝国の名で知られていた。


アナトーレ帝国はユナティアン皇国の更に西方にある大帝国だ。建国からの歴史も長く、今でも東に接している小国と小競り合いが絶えないと言う。ユナティアン皇国はアナトーレ帝国からの侵略を避けるため、小国に武器や兵を派遣し自国の領土が戦場にならないようにしているという。

だが、そのアナトーレ帝国が北にまで手を伸ばそうとしていることは、ユナティアン皇国の貴族たちも知らないことだった。そのため、まさかライリーが言い当てると思っていなかったオルヴァーは目を瞬かせる。そして一瞬の沈黙の後、はっきりと頷いた。


「その通りです。以前はアナトーレ帝国の興味は南に向いていましたが、ここ最近になりまして、北の領土を手に入れようと考え始めたようです。そして兵を派遣してくるのですが――何故我々の領土を欲しがるのか、全く想像もつかないところなのです」


だが、実際にアナトーレ帝国が北連合国の領土を狙っていることは間違いがない。しかし北連合国はその名の通り、少数部族の集まりだ。帝国の兵たちを前に戦う時、地の利や個々人の戦闘能力では勝っても、戦力で押し負ける可能性もある。

そのため、ユナティアン皇国に同盟を求めに来たのだという。


ライリーは深く考え込んだ。

ユナティアン皇国とスリベグランディア王国の北には山々が聳え立ち、同盟を組んだところで騎士や兵士を直接派遣することできない。だが、帝国が北に兵を派遣した時、ユナティアン皇国が西から攻め入ると、帝国は西側の領土を失うことになる。

つまり北連合国が考えているのは牽制ということだ。だが、スリベグランディア王国と同盟を組んだところで、北連合国に利があるとは思えなかった。


「我が国と同盟を組んだ場合、あなた方は何をお望みですか? スリベグランディア王国とアナトーレ帝国の間にはユナティアン皇国がある。騎士を派遣することは難しい」

「ええ、それは承知しております。しかしながら、貴殿の国には優れた魔術があるとお見受け致します。先ほど、大公閣下に向けて放たれた術は――私には理解できませんでしたが、見事という他なかった。その技術を、我々にも授けて頂きたいのです」


オルヴァーの願いに、ライリーは直ぐには答えられなかった。魔術を北連合国に融通するとなると、ライリーの一存では決められない。だが、今ここで素っ気ない返事をしてオルヴァーの心が離れてしまうことも避けたい。

逡巡したものの、ライリーは真正面からオルヴァーに答えた。


「分かりました。魔術とは言わず、必要とあればこちらの技術や知識を提供致しましょう。我が国の重鎮や側近たちとも相談する必要はありますが、貴殿の国から外交官とその他数人を連れて来国され、技術を学ぶことも考えられるかと思います」


そして当然、その逆もあり得る。スリベグランディア王国から北連合国に向かい、王国にはない知識を持ち帰る。そうすれば、どちらか一方だけが得をするという事態も避けられる。

ライリーの提案に、オルヴァーは満足気な笑みを浮かべた。


「有難いお言葉です。それではそのようにさせて頂きたく」


二人は同時に、ちらりと時計を確認した。結構な時間が経っている。そろそろオルヴァーはヘルツベルク大公と合流する頃合いだろう。

改めて、オルヴァー立ち上がってライリーに向き直ると、最上級の礼を取った。


「私は一度皇都トゥテラリィに戻り、皇国での仕事を終えます。その後、貴国に正式な使者として伺いたく存じます」

「そうですね、是非お待ちしています」


ライリーはにこりと笑みを浮かべた。ちょうどその時、頃合いを見計らったかのように扉が叩かれる。顔を向ければニクラス・パウマンが立っていた。


「オーケセン殿、そろそろ閣下と殿下の面会が終了します」

「ありがとうございます」


ニクラスに礼を告げたオルヴァーは、再度ライリーに礼を述べる。そして彼は颯爽と、軽い足取りでヘルツベルク大公の元へと向かった。



7-4:東方帝国初出

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