20. 武闘大会 1
ローランド皇子とイーディス皇女が外遊のためにスリベグランディア王国を訪れた二日目と三日目は武闘大会が開催される。会場は王宮から離れた王都の端に位置する円形闘技場であり、リリアナはライリーと共に馬車で移動することになっていた。円形闘技場は、中央の広場を見下ろすように階段状の座席がぐるりと造られた巨大な施設だ。
「その格好も良く似合うね。サーシャはたいていのドレスを着こなしてしまうようだ」
にこにこと笑いながらライリーはリリアナに話し掛ける。今日のリリアナは多少動きやすいドレスを纏っていた。ライリーもリリアナと同様、豪奢ではあるものの機能性を重視した衣装になっている。
『ありがとうございます。ウィルもよくお似合いですわ』
リリアナは微笑を浮かべて答える。ライリーは嬉しそうに礼を言った。
これから向かう円形闘技場は、魔の三百年の時代に膨大な魔力が爆発して出来たと言われている大穴の上に建てられた。大穴が出来た時に実際は何があったのか、正確なところは分からない。だが一般には、魔の三百年の始まりに魔王が地上へ顕現した場だと言われていた。
かつては剣闘士同士や猛獣との戦いが繰り広げられ、庶民の娯楽の場として賑わっていたらしい。だがそういった見世物も次第に人気が下火になり、やがて執り行われなくなった。初期は剣技を競って楽しんでいたようだが、次第に勝者が敗者を惨殺するだけの見世物となったことが原因の一つだろう。歴史書を紐解けば、騎士という存在が周知され騎士道精神の概念が広まった頃と、闘技会の終焉は時期が重なっていた。
『闘技場も、久しぶりに本来の使い方がされますのね』
「本来の使い方? ああ、確かにそうだね」
ライリーは一瞬きょとんとしたが、すぐにリリアナの言いたいことを察して頷いた。
「昔は剣闘士たちの闘技会が行われていたからだね。一時期は公開処刑も行われていたみたいだけど、今は専ら音楽祭や歌劇が上演されているし、時々大道芸も取り入れている」
『ええ、文化的でよろしゅうございますわ』
今では庶民たちの娯楽の場として使われることが多く、定期的に庶民が安価で観覧できる音楽祭や歌劇が上演されている。ライリーはリリアナの相槌を聞いてふっと笑った。
「血生臭いのは苦手?」
『そういう訳ではないのですが、敢えて人殺しに慣れる必要もございませんでしょう。歌劇や演劇で登場人物が死ぬこととはわけが違いますわ』
嘗ての剣闘士は奴隷や犯罪者が大半を占めていた。一般庶民でも剣闘士になることはできたがごく僅かだ。そのため社会での扱いは非常に悪く、階級も最下位だった。勿論相手を殺すことに躊躇う者もない。特に相手が処刑を待つばかりの者であれば、容赦なくその命を奪う。それが仕事だからだ。たとえ闘技会の最中に死ななかったとしても、闘技会が終われば命を取られる。尤も、中には剣闘士として傭兵を雇い、純粋に剣技や体術を楽しむよう取り計らった興行師も居た。見事な戦いを見せ観客を楽しませた者は、たとえ負けても助命されることもあったようだ。だが最下層の地位とされていた剣闘士の訓練は非常に過酷で自ら命を絶つ者も少なくなかったという。
いずれにせよ、庶民が“殺し合い”を娯楽として楽しみ、見目の良い者や強者が勝者として崇められる状況は社会に良い結果を齎さない。無意識に差別を助長することとなり、その結果人を人とも思わない扱いをする――即ち一切の躊躇なく、虫を殺すように人の命を奪う者が出て来ないとも限らなかった。
「そうだね、敢えて慣れる必要もない――か」
ライリーは目を伏せてリリアナの言葉を噛み締めるように反芻する。どうやら自分の中でリリアナの意図を理解しようと努めているらしい。
この世界には哲学は存在しても、精神医学や心理学など存在しない。スリベグランディア王国内で最高峰の教育を受けているライリーやリリアナであっても、頻繁に娯楽として相手の命を奪う剣闘士たちの戦いを楽しんでいる人間の心理状況がどのようなものになるのか、理論的に考えられるだけの教育は受けていなかった。そしてライリーは疑問をそのままにしておく性質ではない。わずかな沈黙の後に顔を上げてリリアナに尋ねる。
「他人が傷つけられる状況に慣れることで悪影響があるかもしれない、ということだよね。つまり、簡単に人を害する者が増えるかもしれないと考えているということかな?」
『ええ、そうですわ。人は後天的に学んだり経験することによって価値観を作っていきます。例えば、自分よりも地位が低ければ安易に害しても構わないと考える土壌が闘技会等の催しで作られてしまえば、日常生活でも他者を虐げる者が一定数出て参りますでしょう。それは社会基盤を壊す結果に繋がりかねませんわ』
リリアナは平易な言葉を選んで説明する。前世では、社会に影響を与えた事件を放送媒体が連日報道することで模倣犯が出ることが問題視されていた。この世界に新聞やテレビ等はないが、闘技会が定期的に開催されていたのであれば実質同じような働きを持っていたとも考えられる。畢竟、人の価値観や行動原理は教育や取り巻く環境、そして経験によって形作られるのだ。
「確かに一理あるね」
ライリーは納得したように頷いた。幸いにもこの国に奴隷制はない。魔の三百年を経て実力主義が根付いたスリベグランディア王国では、他国と比べても地位に捉われず優秀な者を取り立てる土壌が育っている。そのため他国の王侯貴族と比べると、ライリーの意識は比較的リリアナの知る前世に近い。勿論それでも王侯貴族と庶民の間にある壁は高かった。特に周囲に置く人間を厳選されて来た彼は、一部の貴族や庶民の言動はあまり得意ではない様子だ。
「それを考えると今回の武闘大会は厳格な規則を作っておいてよかったよ。一応、何かあった時のために救護班も待機させているし、強制的に試合を終了させられるように魔導士と騎士も配備しているから」
今回の武闘大会では致命傷を与えるような攻撃は禁止されている。尤も大会の趣旨からして、相手に怪我を負わせてはならないなどという規則は設定できない。だが、騎士道精神に則った試合でなければ無効となり破った者はその場で敗戦が決定する。判定は二名の審判が行い、拮抗した場合は王族が決定することと決まっていた。
『勝敗の最終決定はウィルですもの、責任重大ですわね』
「あまり精神的重圧をかけないでくれるかな?」
リリアナの言葉にライリーは苦笑を漏らす。しかし、ふと思い出したようにライリーは目を悪戯っぽく煌めかせた。
「ああ、でも楽しみではあるな。サーシャの護衛が魔導剣技部門に出るんだろう? もしかしたらオースティンと当たるかもしれないね」
『ええ、そうですわね。わたくしも楽しみですわ』
くすりとリリアナは笑う。魔導剣技部門への出場権をもぎ取ったのはオルガだった。彼女は魔導剣士として傭兵稼業を営んでおり、その腕の高さから引っ張りだこだったらしい。本人から聞いたわけではなく酔っ払ったジルドが教えてくれたのだが、彼がオルガの実力を折り紙付きだと言うのであれば本当なのだろう。そう思ったリリアナは、武闘大会の詳細が発表された時にオルガへと出場を打診してみた。報奨金はオルガにとって魅力的だろうという気持ちもあったが、本気で戦った彼女を見てみたいという下心もあった。オルガは多少悩んでいた様子だったが、最終的には受けてみることにしたらしく、いつの間にか自分で申し込んでいた。
『他の部門と違って魔導剣技部門は申し込み人数が多くございませんでしたから、選抜試験もなかったと聞き及んでおりますわ。ですから、正真正銘の一発勝負ですわね』
「そうだね。他の部門も楽しみだけど、一押しはやっぱり魔導剣技部門かな」
魔導部門も派手だろうが、やはり見栄えがするのは魔導剣技部門だ。剣技と魔術の融合は滅多にみられない技だから、観客も他の部門と比べて多いだろう。
だが、初日は一般剣技部門と武闘部門である。魔導剣技部門と魔導部門は二日目だ。
リリアナは笑みを深めた。
『魔導剣技部門は派手でしょうけれど、わたくしは武闘部門も楽しみですわ』
「武闘部門? 珍しいね。あまり女性が好むようなものではないと思ったんだけど――」
『武闘部門はケニス騎士団とカルヴァート騎士団からの出場者が多いと聞きましたので』
一般剣技部門はその名の通り剣技に重きを置いた試合だが、武闘部門はそれこそ何でもありの部門だ。攻撃手段の制約はなく、打撃や組技、そして時には武器を用いて戦うことが許可されている。許可されていない道具は体に隠し持つ暗器のみだ。剣を使うも良し、槍を持ち込むも良しとされている。ただし魔術の行使は許されていない。
「ああ、なるほど」
リリアナの返答を聞いたライリーは何かに気が付いた様子で頷き、「確かにそれなら私も気になるな」と言った。
「貴方は“北の移民”が多数出場すると踏んでいるわけだね」
『ええ、その通りですわ』
“北の移民”は戦闘能力が高い者が多いと言う。勿論、彼らの全てが戦闘能力に長じているとは思わない。スリベグランディア王国もユナティアン皇国も北からやって来た者たちを一纏めに“北の移民”と呼んでいるが、リリアナの護衛であるジルドやケニス騎士団に所属しているイェオリは、自分たちを“アルヴァルディの子孫”と称して他と区別している。リリアナは“アルヴァルディの子孫”はほぼ確実に戦闘能力が高いと知っているが、他の“北の移民”に関しては分からない。だが、武闘部門に出場するケニス騎士団とカルヴァート騎士団の中には戦闘能力に優れた“北の移民”が含まれているはずだ。今回の武闘大会が、彼らの身体能力を間近で見る良い機会であることは間違いない。
「武闘部門には他に傭兵も出ると聞いたよ。対して騎士は少ない。騎士はほとんど一般剣技部門に出るからね」
『ええ、皆様が普段なさっている訓練の成果を拝見できるのは楽しみですわ』
「そうだね、そう考えると魔導部門に対する期待値が一番低いかな」
人前では言えないけど、とライリーは苦笑する。リリアナも同意するしかなかった。
魔導部門に関しては正直それほど楽しみではない。出場者はほとんどが魔導省に所属している魔導士だ。恐らく他の部門とは違い、八百長のような試合になるだろうことは想像に難くない。一部含まれているはずの一般参加者が番狂わせを図ってくれたら面白いだろうが、可能性は低いだろう。
ライリーは物言いたげな視線をリリアナに向ける。だがリリアナは綺麗に無視した。
恐らく――否、十中八九ライリーはリリアナが魔術を使えると悟っている。以前リリアナがはぐらかしたため、ライリーも無理に尋ねようとはしていないだけだ。それを自覚しているから、リリアナは自らその話題に触れようとはしない。そしてライリーも、リリアナに線を引かれるのが怖いのか、他に考えがあるのか、敢えて踏み込んでこようとはしない。
だが仮にリリアナが魔術を使えると知られていても、彼女は出場する気はなかった。間違いなくリリアナは自分が他を圧倒して一位になる自信がある。それでは武闘大会の観客も詰まらないだろう。試合というものは拮抗した実力の者たちが相争うから楽しいのだ。
ライリーはそんなリリアナを見て僅かに苦笑を漏らし、馬車の窓から外を眺めた。
「もうそろそろ到着するよ」
『円形闘技場は初めてですわ』
「そうか。私も初めてだ」
穏やかに言葉を交わし合い、二人は馬車が停まるのを待つ。円形闘技場には既に観客が入っているらしく、近付くほどに歓声が大きくなっていった。
*****
人が簡単に吹っ飛ぶ。審判が開始の合図を告げた瞬間、一方が消えたと思った刹那の出来事だった。吹っ飛ばされた相手は壁にぶち当たりぐったりとしたまま動かない。死んではいない様子だが、意識は失ったようだ。
「――圧勝だね」
ライリーがぽつりと呟く。隣に座るリリアナも曖昧に頷いた。二人が座っているのは円形闘技場の観客席の中で、特別に誂えられた王族用の観覧席だった。反対側の特別席にはローランド皇子とイーディス皇女が座っている。
何があったのか分からなかった観客席は沈黙していたが、やがて戸惑うように疎らな拍手が起こった。
「勝者、ケニス騎士団所属イェオリ!」
順調に勝ち進んでいるのは、リリアナも会ったことのある少年だった。出会った頃はまだ十四、五歳ほどだったが、二年経過した今は体つきもだいぶしっかりとしている。それでも対戦相手の傭兵と比べるとまだ華奢だ。片手で捻れると侮られるのも仕方がない。だが、彼は俊敏性と柔軟性を生かしつつ、屈強な男に勝るとも劣らない力で圧勝を重ねていた。
「彼も“北の移民”かな?」
『そうかもしれませんわねえ』
まさか知っているとは言えない。そのためリリアナは曖昧に頷く。ライリーは気にしていない様子だが、確信は持ったようだった。深く考え込みながらぽつりと呟く。
「王立騎士団の強化に彼らのような存在は必要かもしれないな」
『一人で騎士数人分の働きはしていただけそうですわね』
「ああ。だからこそケニス騎士団とカルヴァート騎士団も“北の移民”を積極的に登用しているんだろう。それを考えると、やはり失踪事件は気になるところだね。もし隣国に流れていたら問題だ」
苦々しいライリーの言葉にリリアナは反応した。
『まだ失踪の報告はあがっていますの?』
「ケニス辺境伯領とカルヴァート辺境伯領は対策がうまく動き始めたらしいから、数自体は徐々に減っている。問題は、その二つの領地以外の場所だ。そもそも失踪事件が起きているのかも把握しきれない。勿論、犯人も首謀者もまだ不明だよ」
異民族に対して好意的な感情を抱いていない領主は多く、彼らに“北の移民”が失踪していないか調査をするよう依頼しても対応はして貰えない。取ってつけたような調査報告書と共に「異常なし」と言われて終わりだ。
ふとリリアナは下に目を向ける。
とうとう武闘部門の上位五人はケニス騎士団とカルヴァート騎士団の参加者が争うことになったようだった。ケニス騎士団とカルヴァート騎士団は仲が良く、たまに親善試合をしているとも聞く。つまり身内同士で三位入賞を狙い戦うということだ。逆に言えば、実力が拮抗した者たちの試合が――それも非常に強い者たちの戦いを見られるということでもあった。必然的に観客たちの興奮が高まる。
たった一日しか開催されていないにも関わらず、既に客たちの中では贔屓が出来ているらしい。応援したい選手の名を叫んでいる者もいた。
「私たちは叫べないのがもどかしいね」
『そうですわね。ウィルは応援したい方がいらっしゃいますの?』
「正直言えば、うん。いるね。やっぱり同年代は贔屓目で見てしまうよ」
王族として特定の者に目を掛けていると他人に思わせることはできない。尤も、それ以前にこのような場で応援したい者の名を叫ぶこと自体が不作法なのだが、周囲に勘違いや忖度をさせないためにも軽々しいことは口にできなかった。
それでもリリアナに耳打ちしたライリーは、イェオリに勝って欲しいと思っているらしい。彼以外は皆、二十歳を超えているだろう。そしてリリアナも、顔を知るイェオリに対して肩入れをしたくなる。人情としては仕方のないことだと思いながらリリアナは微苦笑と共にライリーに告げた。
『奇遇ですわね。実は、わたくしもですわ』
二人は固唾を飲んで試合の行方を見守る。先ほどまでは圧倒的な実力差で敵を倒していた選手たちも、拮抗した実力同士の試合となり段々と苦戦を強いられ始めている。
イェオリも例外ではなかった。互いに間合いを図り出方を窺いながら、ゆっくりと円を描くように動いている。互いの隙を狙っているのだが、その隙がなかなか生まれない。次の瞬間、イェオリの姿が消えた。砂ぼこりが舞い観客は姿を見失うが、その場から動かない相手選手の口角がにやりと上がる。その刹那、相手選手の右手が動いて背後に回された。観客たちは何が起こったのか分からなかったが、気が付けばその右手にはイェオリの左足が掴まれている。しかしイェオリもただでは捕まるつもりがないようだった。体を捻って右手を繰り出す。相手選手は一瞬顔色を変えてイェオリを離し、その場から飛びのいた。イェオリは難なく着地する。
「あまりにも動きが早すぎて、何がなんだか分からないね」
『ええ。多少ゆっくり動いていただかないと、全く見えませんわ』
「あの少年は右手に短剣を持っていたのか」
再び対峙した時に、ようやく二人はイェオリが持っていた武器を知る。再び二人は互いを睥睨し合う。
イェオリが俊敏である一方、相手選手は剛腕に自信があるようだ。これまで一蹴りで相手を蹴飛ばしていたイェオリを見ていただけに、相手選手の筋力がどれほどであるのか想像するだに恐ろしい。だが、ようやく見応えのある試合になったのも確かだった。
しばらく膠着状態が続いたかと思えば、再びイェオリが動き相手選手が防御する。それを何度か繰り返していたが、四度目にイェオリが攻撃を仕掛けたところで、相手選手がようやく自発的に動いた。拳を地面に叩きつける。その振動は大きく、観客席に座っていても地面が揺れたように感じた。当然、俊足を生かしていたイェオリもバランスを崩す。それはほんの一瞬のことだったが、相手選手には十分な隙だった。素早くイェオリに肉薄した男は剛腕で少年の腕を捻り地面に押し付ける。そのまま身動きを取れないよう拘束したところで、どうだ、というように審判に視線を向けた。
地面に尻もちをついていた審判二人は慌てて立ち上がり、何度か口を開閉させる。
そしてひっくり返った声で、勝者の名を叫んだ。
「勝者、カルヴァート騎士団所属ヘンリク! 準決勝戦進出!」
闘技場が、大きな歓声で包まれる。ライリーとリリアナは顔を見合わせた。同年代の少年が敗退したことは残念だったが、“北の移民”の実力を知る良い機会ではあった。彼らは若い内から驚くべき身体能力を有している。
今回の武闘大会を見た者たちの中には、“北の移民”を積極的に取り入れようと考える者も出て来るだろう。王立騎士団の増強をライリーが本気で考えるのであれば、先んじて“北の移民”の取り込みを考えなければならない。そして同時に、各領地で起こっているかもしれない“北の移民”失踪事件も調査できるよう働きかける必要がある。たとえ動機が打算だったとしても、領主たちが動いてくれるのであればそれに越したことはない。
「準決勝も楽しみだ」
ライリーの唇が弧を描く。リリアナは頷いた。予想外にこの武闘大会では得るものがあった。恐らく武闘大会に出場しようとしなかった“北の移民”もいるだろう。それであれば、決勝戦ですら彼らの最高峰ではない可能性もある。
“北の移民”は、計り知れない能力がある。その片鱗を見ることができただけで十分だ。そして恐らく同じことを――ユナティアン皇国から来たローランド皇子たちも、思っているはずだった。
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