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俺とゾンビと荒廃した世界と。  作者: 猪ノ花 恵
序章・出勤編
3/291

スタート地点

倉橋(くらはし)、倉橋です。 江山(こうざん)本線は、お乗り換えです。」


 スマートフォンを鞄に仕舞い、ブランド傘を身体の前へ寄せる。


『少し時間に余裕があるな。』


 速度を落とす電車。

 駅のホームの景色が、ゆっくりと後ろへ流れていく。

 丸い時計が目に入った。


『時間あるし、コンビニでも寄るか。』


 扉の前に立つ男子学生の後に続き、下車。

 エスカレーターは使わず、階段を足早に上がる。


『やはり、この時間は混んでるな。』


 倉橋は、江山本線と支線を繋ぐ大きな駅。

 改札機を抜けた、券売機前の広場は人の往来が激しい。


 駅ナカコンビニのNow(ナウ) Days(デイズ)に入る。


『昼は弁当で済ますか。』


 昼飯はいつも、社員食堂の日替わり定食。

 安月給の身なので、苦手な焼き鮭の日でも我慢している。

 だからまぁ、今日はあんなこともあったし、少しぐらいの贅沢は許してくれるだろう。


 600mℓのお茶で最も安価な物をカゴに入れ、大分の味 とり天&唐揚げ弁当を手に取る。


『中津風唐揚げか、旨そうだな。』


 その弁当もカゴの中へ。

 あとは残業前の休憩に食べる、菓子パンを2つ取って、レジで購入した。


『気付いたら、もうこんな時間か。』


 スマートフォンを確認し、また鞄の外ポケットへ戻す。

 倉橋駅から出て、外の空気を吸う。


 駅前はバスロータリーになっており、俺も乗る予定のバス停で列に並ぶ。


「バスを降りたら、またジャンケンな。」


 紺色の学ランに、ボストンバックを提げた5人組がやってきた。

 髪は短髪で揃えられ、如何にもやんちゃそうな男の子達。


小野町(おのまち)中学校の生徒か。』


 懐かしいなぁと、鞄に付いた校章を見る。

 母校と交流があり、部活動の練習試合で体育館へお邪魔した事がある。


「ハァハァ。」


 男の子4人は先に列へ並び、残った1人が巾着袋を5つ持って、息を吐く。

 一見いじめに見えるが、俺も子どもの頃はジャンケンでジュースの買い出し決めたりしてたからなぁ。


 チラ見していた顔を戻し、スマートフォンを出して時間を潰す。


『来たか。』


 バスが到着し、中ドアが開く。

 行先表示を確認し、ステップを上がり、整理券を取る。


「5枚分取っとくな。」


 さっきの子達は、先に入った子が5枚引き、1番後ろの席へ横並びに座った。


『少し寝るか。』


 運転手の後ろの席が空いていたので、そこへ座り、腕を組んで瞼を閉じる。

 眠くないが、少し身体が軽くなった気がする。


『今日も帰りは遅くなるな……』


 休日の日曜日まで、今日を除いてあと2日の仕事。

 残業がもう少し無くなればなぁ、愚痴を溢しながら、微睡んだ。

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