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04 歩く時は常に抱っこ
まあ、風の噂で聞いたところによると、力を持った勇者といっても楽な環境じゃないらしくて、色々苦労しているようだ。
モンスター擁護派とか、世界平和追及団体とかと、色々なしがらみがあるとかないとか。
それで三日間眠りこけた勇者様は、俺の姿を見て、周りをみて状況を判断した後にこう言い放った。
「魔物ながら人間に奉公するとは、その意気やよし! 気に入った、貴様は仲間だ。いや、私のペットにしてやろう」
という感じで、あれよあれよという間に俺は魔物ながら、一瞬だけ仲間になった後、勇者のペットになってしまった。
しかしスライムは低級モンスター。
雑魚なので、勇者の戦闘の補助にはならない
おまけに成長も低い為、将来的な戦力にもならないだろう。
けれど、そんな事はどうでもいいようだった。
勇者は、お気に入りのヌイグルミを見つけた少女の様に、絶えず俺を抱っこしてフィールドを歩き回った。