1話 目覚め
––ガサガサ。
異様な物音によって目を覚ます。
さて、今日も社畜生活、頑張るか。
目を擦り、ボヤけた世界をはっきりとさせる。
「なんか暗くね?」
寝ていたベッドは同じだが、ここは家じゃない。
周りを見ると、特に何も無い、まさに無の空間。
【生命の反応を確認。––ようこそ。ここは異世界転生用施設です。人生で苦しんでいる人のリストから貴方が選ばれました。おめでとうございます。】
聞き馴染みのない声が脳で響く。
何を言ってるんだ?拗らせた中学生が使いそうな言葉が横並びになるとよく分からなくなる。
巷で噂の異世界転生…ってことだよな?
【質問は受け付けておりません。】
あ、すみません。
【早速ですが、必要性の無い記憶を削除後、異世界へと転生して頂きます。情報の書き換えを行います。】
そのセリフを耳に取り入れ、脳で判断する間も無く、吐き気、頭痛、節々の痛みに襲われる。
身体が小さくなる感覚がし、どんどんと自分が自分で無くなっているような気がする。
映画などで見るタイムスリップ、それをそのまま具現化したかのような風景が自分の横を流れていく。
【種族は狼。固有スキル『摂取』『収容空間』『解析者』を獲得しました。その他、複数のスキルを獲得しました。】
突然脳内に流れてくる音に反応する間もやはりくれないらしい。意識が遠のく––。
気を失っていたらしい。目を覚ますと、見知らぬ森に居た。
身体が軽い。というか…身体を起こしているはずなのに目線が低い。何故だ?
誰か状況を説明しろ!!
そんなことを考えていると突然、脳内にゲームのステータスのようなものが現れる。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:狼
称号:狐狼
固有スキル:『摂取』『収容空間』『解析者』
種族固有スキル: 『かみつく』
所持スキル: 無し
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
よく分からない。なんだこれ。
【これはマスターのステータスです。
基本的にマスター以外には見えません。】
ふーん…って誰お前!?
【私は解析者です。マスターのサポートをさせて頂きます。以後お見知り置きを。】
よ…よろしく。
…ん?種族って人間じゃないのか?
そういえば飛ばされる前に狼がどうたらこうたらって言ったのを思い出した。
【マスターのステータスを解説させて頂きます。
種族は名前の通りです。
この世界にはかなりの数の種族があります。
経験を積むことで上位種へ進化することもあります。
種族:狼
亜人族、の乱獲により絶滅したと言われている幻の種族。狼族の亜種の神狼は生き残っているらしい。通常の狼族の生き残りが今もいるらしいが、発見されていない。ゴブリン族に慕われている。】
ほーん。ん?…俺生き残りってことだよな?
【はい。そういうことです。】
なんか…俺の役割重くね?俺が死んだら純正の狼は消えるってことか。
なんか重大なことに巻き込まれた気がする!
【称号はマスターの現在の姿を簡易的な言葉で表すものです。複数持ちになることもあります。今は一匹狼なので狐狼になっています。称号は随時変化します。
スキルは、固有スキル>種族固有スキルの順で強さが変わります。所持スキルの強さは未知数です。
固有スキル:『摂取』
対象の魔力やスキルなどを吸収することができます。
アイテムを回収することも出来ます。
『収容空間』
摂取で吸収した魔物や亜人、アイテムを収容することができます。
『解析者』
解析者には3つの能力があります。また、使用すればするほど洗練され、強化されていきます。
解析: 対象の解析をする。
演算: 指定された状況の演算を行い、成功確率を出すことができる。場合に応じて最善策を提示。
創造:可能な限り可能性を創り出す。
種族固有スキル『かみつく』
名前の通り噛み付くことができる。進化することで変化する場合もある。
以上がマスターのステータスです。】
ほほう…。興味深いものが多い。何から使おうか。
俺って何すればいいんだろう。
解説を聞いていると気づいたら日が沈み始めていた。
とても腹が減っている。狩りでもして食べ物を得ないとな。
そう考えながら、目に入った集落のようなところへ向かう––。
なろう系を使用するのは2年ぶりです。
自分でもどうなるか分からないです。突然更新が止まるかもしれませんが許して下さい!