棚卸③
ばばぁ出兵の準備は密かに行われていく事となった。
大毛殿地下において綿密に作戦が立てられる。
策士のりおは、自身の信頼のおく側近数名を集めていた。
「光の兵力は、通常時でほぼ一万、そのうち突然の奇襲に対応できるのは常駐兵の三千程度だろう」
「問題は、正門前にある砦の三カ所だ、この場所を攻め落とすまでにいつも時間をくらい、本隊の準備の時間を与えてしまう」
「そこにばばぁを送り込む、ばばぁが急に来たとて、やつらおいそれと攻撃できまい」
「なる程、国中のばばぁを集めれば三千はいる、それでばばぁ一人一殺の策ですか」
のりおの策に側近達は関心を寄せていた。
「砦さえ早々に落ちれば、あとは我らの部隊千人でも手薄な城は落とせよう、もっとも、他の部隊の連中がしゃしゃりでてくるだろうがな、むしろ奴らに掃除させてやろう、はっはっは」
「さすがは、のりお殿、全ては例の筋書き通りですな」
「おっと、そこから先は、新参者もいる、言葉を選べよはっはっは」
狭い軍議室にのりおの笑い声が響く。
毛と光は隣同士の国ではあったが、その中立地点は山で覆われており、唯一の通り道として崖に覆われた山間の道があった、幸か不幸かこの通行の不便さにより昨今までお互い攻め抜く事ができず今に至っている。
当然この国境にはお互い砦を立て、敵国の進軍を食い止める措置がなされていた、戦争において選択肢がないのはそれだけ相手に読まれやすくなる、名だたる将達が手をこまねくしかなかったのである。