冒険者ギルド前
短めですが、本日二話目になります。。
十年後ーー。
冒険者ギルドーーそれは、平たく言えば便利屋である。
ギルドが、依頼主から頼み事を請け負い、それを『依頼』と言う形で冒険者に仲介する。
冒険者は報酬を貰い、その『依頼』を、時には命を賭してでもクリアしなくてはならない。
それ程危険極まりない仕事なのだ。
『依頼』には、基本的に次のものがある。
・街中依頼
その名の通り、外に出ずに街中での依頼だ。
主に、清掃や警備、荷物運びや店番などがあり、変わり種で言えば、迷子の捜索なんかもある。
・配達依頼
別の街や村に、手紙や荷物などを届ける。
・採取依頼
薬草やキノコ、鉱石やはたまた木の実や果物なんかを採ってくる。
・納品依頼
魔物の肉や皮と言った、必要部位の素材を納品する。
・討伐依頼
街や村に被害を及ぼした魔物や、放置しておけば危険な魔物などの討伐。
または、定期的に魔物を間引く事もある。
・護衛依頼
主に、商隊などが街を出る時に護衛を頼んで来たりする。
見ての通り、『街中依頼』以外は、全て街の外で行われる事であり、街の外では魔物(時には盗賊なんかも)が跳躍跋扈している為、大変危険極まりないのだ。
とてもではないが、非戦闘員が軽々しく外壁の外を歩けるものではない。
その為、例え多少なりとも金がかかろうとも、冒険者に頼むのである。
所詮、何をするにも命あっての物種なのだから。
そうなると、必然に冒険者は腕に覚えがなくては話にならない。
依頼には、危険度が一~十と、ひと目でわかる様に区分され、冒険者も一級~十級に区分されている。
それにより、自分の級と同等か、一つ下までの危険度の依頼を受ける事になっている。
身の丈を知らぬ者は、早死にするだけだ。
因みに、詳しい級はこうだ。
・十級
年齢制限無し。
受けられる依頼は、『街中依頼』のみ。
・九級
十三歳以上。『冒険者見習い』。
大抵の人は、先輩冒険者のパーティに入れてもらい、荷物持ちやらをして、冒険者としてのノウハウを教えて貰ったりする。
・八級~六級
ソロでも、下級魔物には勝てるが、中級位になると苦戦する。
・五級~三級
ここで、漸く『一般的な冒険者』になる。
冒険者リーダーや、クランを立ち上げるのも、五級から。
・二級
『ベテラン冒険者』。
パーティに一人でも二級がいれば、パーティ級も二級(但し、下は八級から)。
・一級
『レジェンド冒険者』。
上級魔物も、ソロで勝てる程強い。
世界に数人しか居ない程。
ギルド職員も、その『依頼』を、その冒険者に任せても問題ないか、良く吟味してから受諾する。
だからと言って、必ず安全面が保証されるわけではない。
結局の所、戦闘で絶対などありはしないのだ。
ほんの僅かな隙や慢心で命を落とす者など、幾らでもいる。
それでも、冒険者になろうとする者が後を絶たないのは、名を挙げたい者、うだつの上がらない者、行き場所の無い者、手っ取り早く金を稼ぎたい者、適当な理由を付けては暴れたい者、のっぴきならない事情を抱えた者…………などと言った、様々な理由から冒険者に志願するのだ。
それに、冒険者は実力主義だ。
実力さえあれば、出世の道だって拓ける。
現に、級が上がれば、それだけ報酬の高い依頼を受ける事が可能であり、一攫千金も夢ではない。
そうなれば、それだけ上の目にも止まりやすく、運が良ければ国御用達の傭兵、乃至、騎士にまで上り詰めた事例もある。
そんなわけで、意外と冒険者と言う職業は、人気のある職業なのだ。
荒くれ者が多く誤解されがちだが、中には真面目に冒険者をやってる者も居る。
騎士や衛兵は、専ら街中や王族・貴族を守るのが仕事な為、よっぽどの事が無い限りは、街の外まで手が回らない。
なので、一般市民なんかは、どうしても冒険者に頼る他ないのが現状である。
そんな冒険者ギルドの建物に、俺は入っていった。
ここまで読んで下さり有難うございますm(_ _)m