決意
夏も中盤にさしかかり、気温は最高気温35度を上回っていた。
長く大きな道路は、黒であることからより多くの熱を吸い込んで、鉄板のように熱くなっている。
そして、都市の気温はみるみるうちに上昇し、熱っせられた空気は、高いビルに囲まれていることでこもるばかりである。
それに、ガソリンのにおいで息がしづらい。便利な交通手段の車やバスだが、これだけたくさん移動しているとホントに色々な意味で凄い。
「暑い...」
あまりの暑さに小さな声で言ってみた。言ったところで気温なんて変わんないんだが...
正直気分も絶好調じゃない。暑さに体力をかなり削られ、汗が吹き出すように出ていき、喉は飲み物を求めるくらいカラカラだ。さっき飲んだはずなのに、すぐに喉は渇いた。これもやっぱり夏の宿命だ。
「あつーい、 休もうよ」
今ちょうど休みたいと思っていたところだったこともあり、返事はすぐにでた。
「いいですね 少し休憩してきましょう」
「そうしましょー」
お昼まだだと思うから、このタイミングで誘ってみるか。すぐ近くにもレストランがあったからそこで昼を取りつつ休憩しよう。
「あそこのレストランで少し休憩しましょうか」
彼女は明るく頷いた。
日曜日の午後だからか、たくさんの人で溢れている。実際にも店内から溢れている。これは10分は普通に待ちそうだ。
店内も家族連れが多く、テーブル席をほとんど埋めていた。だが、意外にもはいることができた。
店の奥にあったテーブル席は、周りからはほとんど遮断されており、個室なのだがあまり人気のない部屋である。
俺はステーキを頬張り、彼女はパフェを頼み...
「昼ご飯、パフェでいいんですか?」
「いいのいいの」
と軽く言ってきた。
「ご飯は、栄養良くって言ったの先輩なんですからね、しっかり食べて下さい」
というと、ブーブー文句は言ったがパスタを頼んだ。
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「トイレ行ってくるので、支払いはその後にしましょう」
と言い残し、トイレへと向かった。
━その時から始まっていたなんてその時の俺には知る由もなかった...
用を済ませ、席に戻ると彼女はいなかった。辺りを見渡してみると彼女は会計を済ませているようだった。
「払ったんですか?」
「払ったよ」
と、それ以上何も言うなって雰囲気を出していた。本日2回も奢ってもらい、俺としては少し情けない気持ちになった。
会計を済ませた彼女はとても満足そうな表情だった。
─あの時、この人はいったい何を考えていたんだろうか...─
そして、それからも彼女とアクション映画?を見に行きショッピングセンターで買い物プラス時間潰しをし、少し高価な所で夕食にした。
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その日は、夕食以外全部彼女が負担してくれた。
俺は、それが心の錘となった。今日だけで彼女に何円払わせただろうか。彼女に奢ってもらうなんて...となかなか心からその錘が離れてくれなかった。
そして、その日の夜は色々な事を考えていたため眠りに就いたのは布団に潜ってから3時間が過ぎた頃だった。
結果。次からは男として、彼女が甘えられるようになろう。と決意したのだった。