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そして、また一人。勇者は残った。

 魔国についたおいどんたちは、目と鼻の先にある魔王城を前にして・・・・


 城下町でゆっくり休んでいたのでごわす。


 というのも、城下町には飢えた魔族しかいなかったせいでごわす。


 事情を聞いてみると、戦争続きで食料が無いということでごわす。


 これは、おいどんが力になれると考えたからでごわす。



城下町の魔族目線―――


 ある日、あいつらはやってきた。


 城下町の東から、旅をしているというオーガとヴァンパイアがやってきた。


 珍しい組み合わせだなぁと思って話しかけると、もう一人いると言われたが、少なくとも俺には他に誰もいないようにしか思えなかった。冗談なのだろう。


 オーガはうちの宿に宿泊するといったが、食料が無いので食事はないことを伝えると、理由を聞かれた。

 こいつらは旅の身の上だから知らないかもしれないが、戦争の影響で食料の供給が足りてないこと、徐々に食料の生産量が減っていることを伝えた。


 魔王様の戦争の指示に俺たちが賛成している理由のうちでも最も大きなものだ。


 それを聞くと、オーガは「やっぱりか。土の・・・霊が言ってた通り。地力や魔素が・・・」などと呟いていた。


 翌日、世界が揺れる音で目が覚めた。


 町の外で爆音が断続的に発生していた。遠めに確認しに行くと、昨日のオーガが地面を殴ったり蹴り飛ばしていた。


 そのたびに、大地が震え、地面が爆散したりしていた。あまりの人知を外れた膂力、笑いながら大地を破壊するその姿に恐怖し俺たちは近づくこともできず、遠目に眺めることしかできなかった。


 すると、ほどなくオーガがこちらに近づいてきた。俺は声だけでなく、全身を震わせながら何をしていたのか聞くと、耕していただけでごわす、と返答された。


 耕すというのは道具を使うものではなかっただろうか?

 ただのオーガかと思っていたが、あの力。普通のオーガなわけがない。もしかして、伝説でしか聞いたことのないオーガキングだろうか?


 いずれにしても、後で不機嫌になるよりも事前に伝えたほうが被害は小さいだろうと思い、オーガキングに伝えた。


 城下町周辺は、大地も空気中にも魔素が濃いから魔化してしまって植物は育ちにくいということを。


 すると、意外にもオーガキングは知っているでごわすとすんなり答えた。


 そして、爆撃されたような跡地にオーガキングは芋を植えて去って行った。



 さらに、翌日。


 オーガキングが森に行ったところ、夕方くらいに帰ってきた。多くのトレントを連れて。


 トレントは魔族の一員とはいえ、森の守り人という性質もあり、精霊としての側面もある。

 森を侵すとなれば、魔族など関係なく襲ってくる。


 とうとう城下町を攻め落とすのか?と震えていると、オーガキングは、爆撃跡地の隣にトレントを移動させると、おもむろに麦を突き刺していった。


 麦って刺さるものなのか?オーガの文化は変わっている。

 トレントにそれぞれ20本ずつ麦を突き刺していった。


 何をしていたのかオーガキングに聞くと、物々交換だと言っていた。

 もはや理解不能である。


 しかし、それが俺たちを救ってくれた。感謝してもし足りない。我が王。



土の勇者目線―――――――


 城下町周辺に特製芋を、トレントに特製麦を植え付けて一週間。


 ようやくのことで効果が出たでごわす。


 土の大精霊から授かった品種改良能力で、作った地中の魔素を吸収する芋と空気中の魔素を吸収する麦。

 しかも、麦については空気中で吸収した魔素をトレントへと流し込むことで、トレントがエルダートレントに進化する期間を短縮できるという自信作でごわす。


 火と風の勇者が、あの馬鹿力は?と言っていたでごわすが、農作業は自然と力が着くので、普通でごわすと答えたら唖然としていたでごわす。


 城下町の周辺を一気に大耕作地へと変えて、食料を供給できるようにしてやるでごわす。前世でも戦国時代に小作農やっていたでごわすが、飢えるのは寂しいことでごわすからな。


 城下町で炊き出しを行うと共に、魔素の解消と地力を回復させるために休耕の概念を伝えて回ったでごわす。


 これで、土の大精霊に言われた地力の回復運動も達成でごわす。


 気付けば、周りの魔族が戦争の反対デモをし始めたでごわす。まぁ、平和が一番でごわす。


 ただ、トレントや魔族にオーガキングと呼ばれているのが気になるでごわす。その度に田吾作でごわすと伝えているでごわすが。


 ある日、エルダートレントWITH麦と魔族らが魔王城に行ったでごわす。


 何の用か分からないでごわすが、魔王が逃げてしまったので、王になるよう言われたでごわす。


 断ったでごわすが、皆に頼まれて断れなくなったでごわす。


 仕方ないので、2代目魔王となったでごわす。


 ただ、平和が一番なので、特製芋と麦の配布と停戦を最初に取り組んだでごわす。




 エルダートレントは土の勇者に絶対の忠誠を誓うと共に、各町の農作地の周辺に配置された。


 人間、魔族共に多数のエルダートレントに監視されていると感じ、魔王に逆らおうという気力さえわかなかった。そして、各町で土の勇者の耕す姿が披露され、魔王に逆らってはいけないと魂に刻み込まれた。


 そのころから、当初はオーガエンペラーと呼ばれていたが、後年は森の魔王と呼ばれたという。


 その在位期間の間、内政を整え、国力を大きく回復させたものの初代魔王を廃し、恐怖政治を行ったものとして長く恐怖された。

その頃の魔王

「魔王!覚悟ーーー!!!」

「俺たちには真の王のオーガキングがいるぞーーー!!!」


「うおっ、何だ!?とりあえず戦略的撤退ーーー!!!」


―――――――

「何だ?村や町に近づくとトレントが襲ってくるだとっ!!仕方ないダンジョンに行くぞ!!」

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