プロローグ
「ねぇねぇ、たとえ 私に何があっても悠真は側にいてくれるよね?」
俺の大切な人が呟くように俺に言った
俺にはその言葉の意味がよくわからない、唯一分かるのは側にいる、ということだ
さすがの俺でもその側にいる、意味ぐらいはわかる
「当たり前だ、どんなことが起きても居ればお前のそばにいる、だから頼む そんな悲しい表情をしないでくれ」
お前は、ハッとした表情になったがすぐにさっきまで俺が見てた表情になった
「悠真は人の表情を読み取れるようになったんだね、そっか成長したね 嬉しいよ」
「表情を読み取れるようになったのではない、お前だからこそ分かるんだ」
俺がお前だからこそ を強調するとお前は目を細めた
「そっかー、それはうれしいな 私の命が長かったら良かったのに」
「人間は命というものがあるのか?なんだそれは」
俺にはお前の言ってる意味がまったくわからない 命?そんなのは俺の中にはないのだ
「悠真は難しいことを聞くね そうだね、どう言えばいいのかわからないから簡単に言うよ、命がなくなれば こうやって私と悠真は話せなくなる永遠に」
「話せないのか?どうしてだ?」
「そこまでは私にもわからないよ できれば私も永遠と悠真とずっと話したい、でもね出会いあれば別れあり……そんなものよ」
やっぱり俺にはお前の言っている意味がわからない どうして人間はわからない
命がなくなれば話せなくなる 永遠に話せなくなる
俺はどうなる?お前がいなくなったら俺は俺でいられるのかわからない
「そんなに不安になったらだめだよ、それとさっきの訂正 永遠に話せなくなるって言ったけど、私が生まれ変わったらまた話せるよ」
「それは本当なのか!?だが、いつになったら話せるのだ?」
「そうだね、一体いつぐらいなんだろうね 私にもわからないね」
お前は笑っている
いつもそうだ、お前はたとえ何があっても常に笑ってる
俺はそこが好きなのだろう
「だからさ、悠真は心配しなくていいんだよ、もしも話せなくなっても、またいつか話せるのだから それまでは我慢するだけでいいの」
お前がそう言うのなら我慢してみせよう、そしてたとえ話せなくなってもまた我慢をすれば話せるのだから
「悠真も人間らしくなったね、本当によかった」
「そう言ってくれるのはお前だけだ、俺もお前に出会えて嬉しかった」
「うん、出会えてよかったよ」
お前がそう言うと目を瞑った
身体がどんどん冷えていく これはどういう状況だ?俺はお前を揺さぶってみる
反応がない
身体にも力が入っていない こんなこと一度も起きたことない
俺の身体の中が冷えていく
「おい?起きてくれ」
人間ではない俺にはお前に何が起きているかわからない
所詮俺は‹人間兵器›なのだから