ナンデ・ヤネンとアホチャ・ウカ3
テーマは「ユノ」でした。
メインベルトにある小惑星ユノは、ペリドットを産出する以外特に何も無いところだが、火星と木星を行き来する航路の中継地として、それなりに発展して来たところでもある。近年では、結婚を司る女神と同じ名であるところから、ユノで式を挙げるカップルも多く、ここで式を済ませた後、木星の衛星ガニメデまで新婚旅行に行くツアーが人気らしい。また、同じ理由から、ユノで採れたペリドットは恋のおまじないとして土産物屋で売られている。
「こんなもん、ニセモノに決まってらァな」
土産物屋の軒先で、ナンデ・ヤネンは手にした黄緑色の石を弄びながら、相棒のアホチャ・ウカへと振り返り「なぁ」と呼びかけた。
しかし、時すでに遅くウカはその石を買ってしまった後だった。
「買ったんかい!」
思わず言ったのは、ツッコミ体質の悲しい性である。
たかだか直径二百キロメートルほどの小惑星から採取できる量など知れている。大方、他の星から大量に輸入したものをユノ産と称して売っているに違いない。
「だいたいお前、そんなもん買ってどうすんだ? 好きな女でも出来たのか」
ヤネンがそう言うと、ウカはぼんやりした顔で、首を傾げる。
「違うよう。こいのおまじないだろう〜?」
「何が違うってんだ。恋のまじないなんざ、なんで必要なんだよ?」
「こいかぁ? 刺身がいいなぁ」
「魚かよ! つかそっちのコイじゃねぇだろ普通!」
思わず言ったのは、ツッコミ体質の悲しい性である。
「だいたい、鯉のまじないってなんだ? 鯉料理が出てくる魔法か?」
「魔法かぁ。そしたら刺身食べ放題だなぁ」
茫洋として笑みを浮かべる相方の様子に、ヤネンは頭を抱えた。
天然のボケに付ける薬は無いのだ。
おわーる。
「未来○記」以外でユノを語るネタがなかなか思いつかなかった覚えがあります。
基本的にこの二人はボケとツッコミの会話劇シリーズになってますね。