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1-1 新入生講演会

改稿してます。わかりにくい描写を直しましたしました。



 余裕だ。これほど余裕な日は、いつ以来だろう。少なくとも高校に入ってからは初めてだ。

 戸岐織彦(ときおりひこ)は優越感に浸っている。いつもは自転車を停めるにも空いている場所がなく二階まで探しに行くが、今日は一階の出入り口付近に停めることができた。さらに優先席に座ったとしても譲る必要がない程に車内は空席が目立つ。清々しい気分だ。早起きも悪くない。

 さんさんと輝く太陽が自分を祝福してくれている、そんな戯言が思い浮かぶ。それほどに織彦は機嫌が良い。

 授業開始よりも二〇分以上早く到着する時間に家を出た。普段から時間にルーズで遅刻ぎりぎりの生活を送っている織彦にとってはとても珍しいことだ。

 今日で、高校に入学してから丁度一週間が経つ。慣れ始めた通学路、時間帯が少し違えば新鮮に見えるもので、織彦は一層上機嫌になる。

 改札を抜け校舎を目指す。

 これだけ早い時間であれば、学生の人数はさぞ少ないのだろうな、と予想していた。しかし、制服姿の同級生がちらほら横を通り過ぎていく。元気良く走っている。

 織彦は感心した。彼は中学時代からずっと帰宅部である。朝練習に向かう生徒をあまりみたことがなかった。彼らと同じように毎朝この時間に起きることを想像する、称賛せざるをえない。彼らは公園の横を通り過ぎていく。

 通学路には小さな公園がある。赤茶けたブランコ、鉄棒、それにベンチが置かれ、横にはゴミ箱が備え付けられている。とても旧時代的な公園だ。

夕方は稀に学生の溜まり場となっている。しかし、早朝は誰一人見られない。正直に言って、この公園が取り壊されて困る人は誰もいないだろう。きっと、学生は代わりの溜まり場を見つけられる。

織彦はいつもの通り、名も知らぬ公園の横を通り過ぎようとした。しかし、公園の異変に気付いた。

ベンチに人が座っている。それも、小学生か中学生のようだ。何かの缶飲料を飲んでいる。

織彦は興味本位でその中学生を注視した。こんな時間に子供が、それもこの公園に居るのは不自然だった。

Tシャツの上に黒いパーカーを羽織り、緑色のカーゴパンツを履いている。そして野球帽を被っている。活発そうな男の子だ。

織彦はさらに目を凝らす。こんな朝早くから何をしているのだろう、興味の水準が上がる。

「え? あれって」

 子供が持つ缶飲料に見覚えがあった。父親が仕事から帰宅して風呂に入り一杯開ける飲み物と同じもののようだった。

 織彦は機嫌が良い。こういう気分のとき世間的に良いと評価される行動をしたくなることがある。機嫌が良い時にゴミが落ちていれば拾ってゴミ箱にすてることがあるだろう。

その程度の感覚で織彦は公園に足を踏み入れた。あの飲料が織彦の考えているものならば中学生に指摘しなければいけない。

「なぁ、君」

 近づけばやはりそれが、父の好きな飲料と同じものであることがわかった。

「それビールだろう?」

 野球帽はまじまじと織彦を見る。

「知らない? ビールってのは二〇歳を超えるまで飲んじゃいけないんだ」

「ふふ」

 野球帽は皮肉っぽい笑みを浮かべた。そして織彦には構わず、手に持つその飲料を口に含む。

「いや、だから駄目だって」

 織彦は乱暴に缶ビールを取り上げる。野球帽は表情を変えない。まるで他人事のように微笑む。

「あ、そうか」

 織彦はこの子供が既に酔っぱらってしまっているのだと考えた。警察に電話しよう、と缶ビールをベンチに置き携帯端末を取り出す。

「酔ってないよ、お兄さん」

「あ、そう」

 酔っ払いの言葉には聞く耳持たず、中学生らしい少年には構わずに電話番号をタッチする。

「ホントお兄さんは固まってるね」

「は?」

「もっと柔軟に見ないと、大失敗するよ、お兄さん」

「駄目なもんは駄目なんだ、そう決まってんだから」

「僕は二〇歳を超えているんだよ」

 パネルを押す指が止まる。いい加減なことを言う、中学生に呆れてものも言えない。

「そんなわけないだろう」

「え、何で? 意味不明なんですけど」

「だって、明らかに中学生じゃないか。小学生には見えても二〇歳には見えないな」

「理由は?」

「そんなの見た目だよ」

「なるほどね。お兄さんは人を見た目で判断できる人間なんだ。じゃあさ、次の質問」

折角の早起きが台無しになった。馬鹿にされているように感じ、イライラが少しずつ募り、機嫌が悪くなってくる。

ここまでくればどうにかしてこの中学生を、警察なり家族なりに引き渡したい。中学生に主導権を握られるのは嫌だ。

「なぁ、君、名前は?」

「僕は男でしょうか?」

「は? 何を言ってんだ」

 意味不明な発言であるが、咄嗟に考えてしまう。格好や言葉使いから考えると男にしか思えない。

中学生は野球帽を外す。すると帽子の中に収められていた髪がおろされる。長めの髪は肩口まで伸びていて耳を隠す。前髪はおでこで揃えられている。顔のパーツが整っていて、可愛らしい日本人形のようだった。

両手で髪を掴み、顔の横に持ってくる。ツインテールのように髪を縛る。

「それとも、女?」

 中学生はにこやかに笑顔を作る。さっきまで抱いていた嫌悪感を忘れてしまうほどに純粋無垢な表情だ。とても可愛らしい。この子が笑みを浮かべればたちまち世界は平和になってしまう。そんな錯覚を抱く。

 さっきまでは活発そうな普通の男の子にしか見えなかったが、この一瞬だけを切り取ればこの中学生は間違いなくツインテールの女の子だ。男の子らしい服装だってボーイッシュと言えば全て片づけられてしまうだろう。

「ほら、わからないでしょ?」

 中学生は皮肉っぽく言う。

「人は視覚から八三パーセントもの情報を得るんだって。だから正しい判断をするには目で見ることが必要だよね。でも、逆にいえば視覚が原因で間違った判断をすることも多いんだよ」

 どう反応すればいいかわからなかった。完全にペースを持ってかれてしまった。

「目で判断するのは大事だけど、ときには心の目で見る必要もあるよね。そうしないと境界線がぼやけて見えなくなっちゃうよ?」

「境界線?」

「大人と子供、男と女、そんな目に見えることだけの話じゃない」

 織彦はいい加減飽きてきた。そもそも、この中学生に注意をするために来たのに、なぜ説教まがいのことをされなければいけないのか。よくよく考えればおかしなことだった。

「なぁ、もうその話はいいからさ。とりあえず、名前教えてよ。それと中学校の名前。あぁ、そうか、家の電話番号は?」

「だって、それノンアルコールだし」

「え?」

 織彦は取り上げたビールのパッケージを見る。確かにそれは父が飲んでいたことのあるビールである。しかし、よく見れば「アルコール度数〇.〇〇%」と書かれていた。

「ホントお兄さん気を付けてね。見えるものに固執したら見えるものも失っちゃうよ」

「だから、もう、その話は……」

 織彦は中学生の方を向く。しかし、そこには日本人形のような姿はなかった。公園には織彦がただ一人残されている。

「何だったんだよ」

 織彦は狐に化かされたような気持ちになる。

「次見つけたら絶対、名前聞いてやる」

 これから登校するときは公園に気を付けようと決心した。


 織彦はとても心地が悪かった。足取り重く歩みを進める。その隣を同じ制服を着た生徒が駆け抜けていく。それも相当なスピードだ。

 一人、二人、三人、次々と生徒に追い抜かれる。朝練習の学生ではないのだろうか。なんだか様子がおかしい。

 あと二〇分で授業が始まる。そもそも、この時間から朝練習なんてあるのだろうか。この時間じゃ着替えて準備をしたら授業が始まってしまう気がする。

「あ!」

 織彦は忘れていた。今日は授業の前に特別な朝礼がある。

 学校へ向かって全速力で走った。



 織彦は体育館への入場時に手渡された広告に目を通す。モノクロで印刷された紙には、壇上で雄弁に演説を行う顔と同じものが描かれている。随分と若く見えたが、広告によると三七歳とある。服装次第では二〇代と言われても充分通用しそうであった。彼は有名国立大の教授である。

「日本は世界でも有数の技術力を持ちます。それと同時に世界に誇る魔術大国でもあります」

 義務教育の間に幾度と聞かされた話。織彦に限らず一般的な教育課程を進んでいればこの後に続く言葉を想像することは容易い。エネルギーについての話だろう。

「諸外国が未だに原子力や火力、水力に頼った発電をしている一方、私たちの住む日本では魔力発電所がほぼ全ての電力供給を賄っています。環境に依らず発電できるシステムは資源不足で悩まされる昨今、実に賢明でエコロジーと言えます。それは魔術力、技術力を高水準に保つ日本だからこそなしえる技であり、そして誇るべき能力です。世界を見渡してもこのレベルの魔術、技術力を有する国は日本の他ありません」

 耳にタコができる程聞かされた話。真剣に聴く気は起きない。

 そんな織彦の退屈など、当然視界にも入っていない。教授はより一層熱を入れ演説を続ける。

 余程の優等生、もしくは相当な物好きでなければ、演説に集中できない。織彦のように集中していない人は沢山いる。体育館には鬱屈な空気が流れる。

「なぜ、日本は諸外国と一線を隔す存在になり得たのか。それは、他国の技術力、文化を認め、そして受け入れることに意欲的であったことに起因します。日本人は想像力が豊かであり何よりも柔軟であります。今に至るまで漢字や英語などの外来語を独自に文化へ反映させ、さらには平仮名、新たな漢字まで開発してきました。そして、それを和製魔法陣へと応用しています」

 織彦は視線を壇上から少しズラし前の席の生徒が欠伸をしているのを確認した。彼は織彦同様この演説をつまらないと感じる生徒の一人だ。

 名前は確か――何だったろうか。

 織彦はほんの少しだけ頭を悩ましたが、すぐに考えることをやめた。高校に入学して一週間しか経っていない今、名字か名前片方であっても、そらんじれるようなクラスメイトは少ない。織彦は名前がわからなかったことに、指で摘める程の申し訳なさを感じた。

 織彦はなんとなく様子を伺っていたら目の前の彼は二度目の欠伸を漏らした。

 その様子をみてしまうと織彦の中からも衝動がこみ上げてくる。

「うあぁ~」

 彼につられて織彦の口からも欠伸が漏れ、咄嗟に口に手を遣り誤魔化そうとする。名もわからない彼と違い声をあげてしまった。

 取り乱さずに頭を下げ、周囲に形式上の謝辞を示す。

 その光景を見て、隣に座る女子生徒、海路中(うみじあたる)は苦笑いを浮かべている。

 織彦は視線を壇上に戻す。

 中も織彦が集中力をほんの少し取り戻したことを確認して、耳を壇上へと向けた。

 話題は次のものへと移行していた。

「私も含め日本人全てにはこの世に生を授かったとき「きざし」が与えられています。この「きざし」は貴方達の生きる指針であり、個性となり得ます」

 講演も終盤に差し掛かり、ついには織彦は肩を上下させ居眠りを始める。すやすやと、幸せな寝顔を浮かべる。


 隣の席では、中が織彦をただじっと見つめ、肩を竦めた。

 しかし、学級委員長であるにも関わらず、中はただ溜息を吐くだけで、織彦の眠りを妨げようとはしない。

 クラスのリーダーという立場を考えると、当然、居眠りは容認できることではない。担任が見つければ直ちに織彦を注意するか、中に起こすようにと指示するだろう。それでも中は織彦にとっての最良を考え、やはり寝かせておこうと考えた。

 まず、今日はこの講演会があるということで普段より三〇分も早く登校しなければならない。授業スケジュールは変わらず、講演は一限の前、〇限として開かれるからだ。織彦は普段から時間にルーズで遅刻ギリギリの登校をしている。そのルーズさを考えると、当然、翌日に備え早めに就寝するとか、少しでも長い睡眠時間を確保するような準備はしていないと考えられる。普段に比べ睡眠時間が不十分になっているだろうことは簡単に想像が付く。それに、校舎に入ってきたのもギリギリで全速力だった。疲れているのだろう。

 睡魔に襲われるのは当然といえた。

 また、例え今、中が織彦を叩き起こしても、その分の睡眠時間は授業中へと引き延ばされるだけである。授業と講演会を天秤に掛けるならば、今睡眠を取って、授業に集中すること。それが織彦にとっての最善で有意義になると、中は考えた。

 ここで織彦を起こさないことは、中の心遣いだ。いびきでもかかない限り、中は織彦を起こさない。

 気持ちよさそうに寝ている織彦を眺めて中は微笑む。

 壇上では「きざし」についての話が熱心に語られている。

「世界で活躍している陸上選手には『風』のきざしを持っているアスリートがいます。彼はまるで風に乗るように走ることができます。それは軽くてバネのある筋肉が可能にしています。そして、魔法陣を使わずに体から風を放つことも出来ます。それによって空気の膜を張り、空気抵抗や追い風を起こし、陸上競技で有効に働くように活用しています。――きざしは肉体的な特性を生み出します。同時に、魔術的な個性をもたらすこともあります。その能力には個人差が顕著に現れます。例え、彼と同じように『風』のきざしを持っているからといって、誰もが世界に羽ばたける肉体を手に入れるるわけではありません。風を起こすような魔術的な力が発顕するとも限りません。きざしは飽くまでも、自分の意志や願いを成就させるための手助けになります。なりたい自分をイメージすることで理想の個性を手に入れることができるでしょう。可能性は無限大です。貴方達は自分の夢を見つけそれを強く願ってください。そうすれば必ずきざしは応えてくれます」

 壇上の教授は満足そうな笑みを浮かべている。

 きざし。魔法陣を用いた儀式によって授かる成長への兆候。それは親が兆用漢字表に記載された漢字から一文字選び出し与えられる。きざしは人間に精神や身体能力に個性を及ぼす。ときには魔法陣なしで特定の魔法を扱える能力をもたらすこともある。

『もうしょうがないなぁ』

 中は誰にも聞こえないように頭の中で呟いた。

 中のきざしは『心』だ。『心』とは心臓を模した象形文字。中は『心』というきざしから、人体の『中心に存在する心臓』という意味を見いだした。

 心臓の役割は、血流を調整することで内臓から指先までが最高のパフォーマンスを果たせるように取り計らうことである。血液が送られなければ、体は機能せずに死んでしまう。そこまで言わずとも、正常に動いていなければ、血圧が低くなり貧血を起こし、高血圧だと動脈硬化を起こす。

 心臓は人間の中心で正常な動きを保つために存在している。

 例えば中の在籍する一年英組で、心臓の役割を果たすことを目指す。

 それが『心』が与えた、中が選んだ一本の線路だ

 中のクラスで学級崩壊などあり得ない。中学時代、中の居るクラスでは授業がやりやすいと教師陣にも評判を得ていた。それは高校でも、いずれ得られる評価だろう。

 中は少なくとも今日一日、織彦にとっての一番能率の良い過ごし方を想定し、眠りを妨げようとはしなかった。それどころか、担任の先生から織彦の体が出来るだけ見えなくなるようにと、小さい体躯の背筋を延ばし視線を遮ろうと、居眠りの片棒を担ぐようなことまでした。

 これが中のきざしの一端である。

 実のところ、織彦を起こさないのは、優等生である中すらもこの講演に魅力を感じておらず、通常の授業の方が有意義だろうと考えているからでもあった。

 ドンッ。

 中は突然の衝撃に体を震わせた。

 何の前触れもなく何かが蹴られたような音がする。中の椅子には間接的な衝撃が届いている。直接受けているのは織彦の椅子だ。中の椅子が隣接していたため、衝撃が伝わってきた。

 体が一瞬前のめりになり折角落ちかけた織彦の意識が戻ってしまう。中の気遣いは無駄になってしまった。

 ドンドンドンドン……


 意識が朦朧としている中、突然背中に衝撃がした。

 連続で椅子が蹴られる。鈍い音が織彦の体に響く。

 織彦は状況を瞬時に理解できない。数秒してこの蹴りが「寝るな」という警告であるのだと把握した。

 それにしてももっと穏便な方法があるだろう、苦情を言うために足の出所を確かめようと、真後ろに勢い良く振り向く。

「誰だよ、ちょっとやめ」

「シバくわよ」

「え、シバ……って」

「黙れ」

 威圧感の籠もった声で威嚇される。

 機嫌の悪さを顔全体を歪め表現する綴絵里依。眉毛は剃ったように細く長く、色素の薄い長髪が素行の悪い不良のようだった。

「城ヶ咲先生がどれだけ偉大か全くわかっていないの?」

「え、じょうがさ、え……先生って?」

 織彦は言った直後に気付く。

 入学して間もない新入生が担任はともかく、教員の名前を覚えていないのは当然である。しかし、この状況の先生が高校の先生のことではない。少なくとも今現在は知っていなければいけない名前だ。

 中は頭を抱えている。絵里依は口をぼんやりと開いている。

「呆れるわ。マジで言ってる? 頭おかしいんじゃないの?」

 手元の広告に大きくゴシック体で書かれている。今まさに、講演を行っている教授が城ヶ咲静だ。

 絵里依の気持ちは萎える。表情が平坦になる。

「もういいわ。前向いててよ。気が散るのよ」

「はぁ? そっちが先に手出したんだろ?」

「ウチは城ヶ咲先生の話を聴きたいの」

 織彦は絵里依の不躾な態度が気に入らない。気が立って口調も荒れる。それでも絵里依はどうとでもいいという風に織彦をあしらう。それが織彦の琴線に触れ、さらに機嫌が悪くなる。

「頭がおかしいのはそっちじゃねぇか。情緒不安定すぎだろ」

「もううるさいうるさい……どうでもいいから静かにして欲しいわ」

「はぁ。なんだそれ。意味わかんねー」

 中が織彦の服を引っ張る。

 織彦はヒートアップしていたものの、中の冷静な表情で気持ちが抑えられる。

「ん……何?」

「ちょっと……ね」

 中は視線で織彦に壇上横で目を光らせる担任を指し示す。担任は呆れた表情を浮かべている。

 織彦は辺りを見渡す。少数ではあるが、クラス問わず近くに居る生徒の視線を集めてしまっているようだった。

 織彦は我に返り、反省する。

 これだけの注目を浴びてしまってはもう喧嘩どころか居眠りも出来ない。煮え切らない気持ちを抱くが、致しかたないと、渋々教授の話に耳を傾けることにした。

 織彦はそこから五分程度退屈なりにも目を開き続けた。イライラが募り、体を揺する。その度に中の視線が織彦に向かった。


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