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事勿れ主義の世界

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/09/13

 ある世界の勇者が転生してこの世界にやってきた。

 始めはえらく戸惑っていたようだが、そこは勇者。

 転生してきた世界がどのような問題を抱えているから見抜き、彼は直ちに魔王討伐へと赴くことにした。


 ……が、しかし。


「魔王討伐? 何故そんなことするんですか。頼むから馬鹿なことはやめてください」


 勇者は多くの人にそう言われて止められてしまった。

 てっきり、魔王の恐ろしさに全てを諦めているのかと思った勇者は自分がいかに強いかを伝え、さらにこの支配された時代を終えてやるのだから安心してほしいと告げるが……。


「お願いだからやめてください。余計なことはしないでください」

「魔王を討伐するんですよ。それの何が余計なことなんです?」

「……本当に分かっていませんね、あんたは」


 心底をため息をついた村人は勇者を睨みつけて言った。


「魔王は既に高齢なんですから放っておけば数年で死にます。だから手を出さないのが最善なんです。下手に刺激して人生最後の仕事に乗り出されたらどうするんですか」


 異世界から来た勇者は閉口するばかりだった。

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― 新着の感想 ―
 事勿れ主義者は事を起こす者を攻撃すると言う事実に照らすと、この世界線の先に見えて来る筈の後継者の存在にも気付かず、勇者はきっと……  子供の頃に感じたこの国の社会を見るようで、短い話なれども苦々し…
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