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妹たちと離れて戻って来たら、「結婚しよう」っておかしいよ

妹たちとは仲がよかった。それは本当に。あの頃の妹たちは僕の後を付いて来るのが当たり前で、僕が友達の家に遊びに行く時でさえ付いて来たぐらいだ。



そして「今日は家で待っていて」と言っても、泣き出して付いて来るのだ。僕自身としてはそこまで困っていなかったのだが、両親としてはそうでもなかったようだ。

両親はいつまでも僕から離れようとしてない妹たちに不安を覚えた。このまま自立せず、ずっと僕の近くで生活しようとするんじゃないかと。




そこからは早かった。



僕は父方の祖父母に預けられた。少しでも僕と妹たちを離そうと今になって思えば、両親たちも必死だったんだと思う。



そして僕は父方の祖父母の家で暮らした。そこから通える小学校に通い、中学校も同じ市内にあるところに進学した。




高校一年生のある日、両親から連絡が来た。その理由としては、しばらく海外を拠点にビジネスをすることになったので、四月からこっちに帰って来て欲しいというものだった。




僕が高校一年なので、妹たちは中学三年生のはずだ。両親も中学三年生の娘を残して、海外に行くのはさすがに心配なのだろう。


別に断る理由もなかったので、受け入れた。




そして僕は久し振りに妹たちが暮らす街に戻った。



―――――


「この場所は変わっていないな」


実家に帰るまでの道のりは昔とそこまで変わっていなかった。もちろん、新しい店が出来ていたりしていたけど。



僕の実家は一軒家だ。それなりに家も広く、使用人を雇っていたりする。最近まで暮らしていた父方の祖父母の家も広く、最初の頃は迷ってしまったこともある。


父方の曾祖父が会社を創設して、祖父がそれを大きくし、今は父親が社長として会社を運営しているのだ。


僕も大学を卒業した暁には父親の会社に入ることになっている。そういう意味では祖父の近くに居られたのはありがたかった。どういう仕事をしているのか、どんな風に運営しているのかなど会社について詳しく知る機会ができたのだから。




そんなことを考えながら歩いていると大きな家の目の前で足を止めた。


表札には『西園寺』という苗字が刻まれているのを確認してからインターホンを鳴らした。


少しすると女性の声がインターホンから聞こえてきた。



『はい、どちらさまでしょうか?』


『西園寺春です』


『春様、おかえりなさいませ』


そして入口の扉のロックが解かれ、敷地の中へと入って行く。




僕の実家こと西園寺家の敷地はそれなりに広い。ここら辺の家の中では一番敷地も広いだろう。





しばらく歩くとやっと建物の入り口までたどり着いた。その入口の前にはメイド姿の女性が佇んでいた。


「春様、おかえりなさませ」



「いえ、そんな畏まらないでください」



「それは無理でございます。私たちのことなどお気になさらず」



「そういうわけにもいかないんですけど…」


このメイドさんの名前は…清子さんだったと思う。最後に会ったのは僕が家を出て行く日だ。となるともう5年以上は会っていないという計算なので、うろ覚えになってしまうのは仕方のないことだと思う。





久し振りなので、部屋を見たり、探索していると一人の少女と会った。


「…に、にいに?」


早雪さゆきか…?」


僕の記憶に残る妹とは似ている気もするけど、五年前だ。五年もすれば女の子はかなり容姿も変わったりするものだ。それに成長する時期だし。



僕が困惑している間に妹らしき子が距離を詰めて来る。



「ほ、ほんとに、にいに?」



「たぶん、そうだけど、早雪か?」



「うん。早雪だよ」


どうやら本物らしい。僕の知っている早雪とは随分変わっている。一言で言うと『大人になった』が正しい。


ショートだった髪はロングになっていて、髪色も黒髪から白髪になっていた。顔とかは昔の感じがそれとなく残っている感じもするけど。



「にいに、戻って来たの?」



「うん。聞いていないか?父さんと母さんが海外を拠点にビジネスをやるらしいから、しばらく留守にするんだと。だから僕に戻ってこいって」



「…そうなんだ」


早雪は一瞬視線を僕から床に落として、すぐに戻す。



すると急に早雪は僕との距離をもっと詰め、勢い抱き着いて来る。


「ど、どうしたんだ、早雪」



「…に、にいに…っ…」


声から泣いているのが伝わって来る。早雪がなんで泣いているのかは分からないけど、一先ず落ち着かせるために昔よくやっていた方法を取ることにした。。


早雪の背中を優しくさすりながら「大丈夫だよ、近くにいるからね」と優しく言う。これを何回か繰り返して早雪が落ち着くまで続ける。




数分してやっと嗚咽が止まって落ち着いた。



「大丈夫か、早雪?」



「…う、うん……に、にいに」



「落ち着いたならよかったよ」


これでやっと話が出来ると思ったところで、また違う女の子が近付いて来る。



「…兄さん?」


よく見ると…もう一人の妹の望月みづきっぽい。黒髪は変わっていないけど、ロングからショートの髪型は変わっている。容姿は早雪と同じで多少変わったところはあるものの、面影がある。



「望月…?」



「兄さん、なんで?」


どうやら望月も早雪と同じで何も聞いていないようだった。普通、両親にしてもメイドさんにしても誰からか、教えてもらったりしないものなの。




そこからまた早雪と同じように説明した。両親のことも。




久し振りに会った妹たちは少し変わっているが、会えて嬉しい。



妹、二人に会ったことで帰って来たことを実感していると急に「兄さん!」と呼ばれ、視線を彼女たちに向ける。


「にいに、結婚しよ」


「兄さん、結婚してくれ」






なにを言っているんだろう。


というか、父さん、母さん、あんたたちはどんな風に育てたんだよ。

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