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「火星より金星の方が良さそうですね。」
ベロベロ君に話しかけられてンイゴメサべが軽くうなずいた。
「それでは金星に移動しようか。」
金星から見た地球がさっきまで火星から見ていた青い球の裏側であることは当然だった。
「やはり鑑賞は金地に限るな。」
火地よりも金地のほうが迫力があって良いというのは常識だった。
太陽からの光の反射がくらべものにならない。
ンイゴメサべは幼いころ母と手をつなぎながら眺めた地球の姿を思い浮かべていた。
「あの頃はまだ地球にも活気があったな。」
ンイゴメサべの立派な第8触手が弛緩してうなだれていた。
「どうしたんすか?」
ベロベロ君が不思議そうにそれを眺めていた。