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急にビッグバンが言った。
「ここを殴ってくれ。」
指し示された場所は別とは違うある感じがあった。
そこがビッグバンの急所らしく思えた。
「肉球を使っていいか?」
猫犬が緊張しながら尋ねた。
「構わない。」
間髪入れずに、意外なほどの勢いをつけて猫犬の肉球による殴打が加えられた。
「イテッ」
ビッグバンが思わず嗚咽を漏らす。
みるみるビッグバンが萎んでいった。
彼はあらゆる言語による懇願で死にたくないという意思を表明しているようだった。
ニャアという猫語も混じっていて相変わらず意味がよくわからないながら猫犬は切なそうにそれを眺めていた。
たちまち宇宙が無くなってしまう予感が広がった。




