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12、隠し事



守ってくれる人がいる事が、


こんなに嬉しいことなんて、思っていなかった。


ごめんね、シン。


私の弱さのせいで沢山怪我させてしまって。



…でもね、

隠し事はして欲しくなんてないよ。



だから、


答えてよ、シン、、、



……………………………



結局シンは何も言わなかった。


「ごめん、」


ただそういうだけで、、

どうして、何も教えてくれないのだろう。



「…とりあえず、医務室に行こ」


由衣に与えられた傷口が見ていて痛々しい。

血は止まったものの、傷口の手当をしないといけなかった。。


彩乃はシンに肩を貸してへたりこんでいるシンを立ち上がらせて医務室へと運んだ。



…………………



結局、シンは何もいえなかった。



彩乃はまだ何も覚悟ができていない、とも思ったから。


だから今は伝えたらいけないと思う。


「だから、」



その弱さが彩乃を危険な目に合わせてしまうのだろうか、、



………………………


「おはよう」


朝、なんとなく気まずいまま医務室で挨拶をかわす。


心配だったからシンのお見舞いにきたのだ。


自分のせいで怪我してしまったシンを放っておく事はできなかったのもある。


おはよう、とシンはベッドに寝転がって返す。


あいかわらず臣下だとは思えない態度。タメ口だし。


だけど、シンは守ってくれた。

今までだって、何度も。



でも、私はシンの事を何もしらない。

だから、信頼できる何かが欲しいの。


教えて欲しいよ、シンの知っていること。全部。



「今日は何しよう、シンは何かしたいことある?」


また聞いても、教えてはくれないだろうから、その話題には触れないことにする。


「城の中、特にここでやれる事をやればいい。」


まるで、

オレの側にいろ

なんていわれているみたいで…


ドキッとしてしまう。

なんだか顔が熱くなるのを感じるような、、


それになんだか体が重い。


「姫様!?」


ぐらり、と体が傾いて医師の声が遠くなる。


あ、倒れる


と思ったそこで意識が薄れる

寸前、

あいてぇぇー!とシンが絶叫している声と


医師が何してるんですかー!

と、叫ぶ声が聞こえたような気がした、、




…………………………



「う…ん、、」



頭が重いし、

体にだるさがある。


なんかべたべたしているな、と額に手を当てると濡れたタオルがおいてあった。


でも、ひやりとして気持ちいい。


そのまま目を閉じようとしたら


「おい」

と横から声をかけられた。


何、と目を向けるとシンだった。


「疲れが出て熱がでたんだとよ」


ぶっきらぼうにそうつげる。


「そうなの?」


重い頭をふって辺りを見回すと医務室で、ベッドに寝かされていた。


そういえば、倒れたのにどこも痛くない。


「…」


体を触ったりして見まわすが、どこも外傷はないようだ。


っていうか、むしろシンの方が包帯が増えているような気がするのはなんでだろう。


「あぁ姫様。シンが姫様を支えたんですよ」


首を捻っていると医師が答えを告げてくれた。


確かシンのベッドの側で倒れたわけではなかったと思う。


離れていたところだと思ったのだが、シンは無理して助けてくれたのだろうか…


まったく無茶な事して、とため息まじりに呟く医師。


「じゃー、ちょっと薬もらってくるわ」


椅子から立ち上がり、安静にしてなさい、といい、部屋を出ていく医師。



「怪我してるのになんで安静にしてないの」


じとー、と彩乃が睨んでいるとシンはいいわけのようにいう。


「腕、調度伸ばしたら届きそうだったからな。」


何でもなさそうにシンは言う。

(…そんな事して怪我増やしたくせに。)


「それにお前が怪我したら、オレがいる意味ねーしな」


守役だからな、とつぶやくようにいう。


『守役』


その使命があるから、シンはここにいる。


狙われている理由を知りたい気持ちは、


それを否定したいからなのだろうか、、


シンが使命だけでここにいる、ということを。


「そこまでしてなんで守るの?!」


あぁ、その話題はタブーなのに。

押さえられなくて言葉としてぶつけてしまう。


「…どうして私は狙われているの?」


シンは黙り込んでしまう。


だけど、知らないなら知らないっていえばいい。


何も言わないって事は知ってるけど言えないって事なのだろう。

「シンには隠し事、して欲しくないよ!」


彩乃が叫ぶ。


「オレは…」


シンは俯いてしまう。


「シン、、」


「お前は、『力』を持ってるんだ。」


「力…?」


力って、何?

私は何の力を持っているんだろうか。


「微々っていう奴が、お前の力を狙ってるんだ」


「私、、狙われる程の力を持っているの?」


普通に生活している限りでは、そういう力を感じた事はない。


ぐ、と彩乃の腕を掴むシン。


「気づいていなくても、お前の中には力があるんだ…」


シンの目は本気だった。


だから、本当なのだろう。


彩乃が何かの力を持っていてその力のために狙われていることは。




「ごめん、オレが、、っ」


微々を、止められなかったから。

そう続けようとするが、シンは黙りこくってしまう。


「ごめん、これ以上はいえない…」


今の彩乃にこれ以上いってしまってはだめだ。

まだ、いうべきではないんだ、、



…………………………………



「そうよ。私はあなたの力が欲しいの」


微々は水面に映る2人の姿に目を落としながら言う。


バサバサとカラスが舞う闇が支配する森の中で。



シン、

あなたはどうして彩乃なんかに近づいたの?



私から守るため?


それとも、

彩乃の力を奪うため?



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