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ある日の実①

 それはある日のショッピングモール。

 毎日のように通っている外語スクールが入る駅ビルでの事。実は幾つものチケットを握りしめていた。

「きょおは、あたるかな?」

「当たると良いですね!もう何回目でしたっけ?」

「ななかいめとはちかいめだよ」

「もうそんなになりますか」

 実の隣に立ついかにもチンピラという風貌の長谷川は感心したように頷いた。実が八回と言うなら八回で間違いないのだろう。何せ実の記憶力は強力で、疑う余地がないと長谷川は知っている。

「つぎだね、つぎ」

「そうですね」

「きょおでさいごね」

「そうですね」

 ジャランジャランとベルの音がその場に鳴り響く。興奮気味の実の手を長谷川はしっかりと握り直した。

 此処はショッピングモールで行われている抽選会会場。

 外語スクールの前後で食事や買い物をする為非常に早く抽選券が貯まり、その都度に抽選をするので今回で合計八度目となる。

「次の人どうぞ!」

「はい!」

 実の狙いは三等のお菓子の詰め合わせだ。

 これまでは全てハズレの飴玉しか当たらなかったが、実はまるで初めてかのように期待に満ちた笑みを浮かべている。

「二回ですね」

「うん!」

 ガラガラと回すタイプの抽選機の取手を握る。そして大きく一度回した。

「白玉。ハズレですね。もう一度どうぞ」

「うん!」

 少しガッカリとした様子を見せながらも、実はもう一度取手を回した。

 するとーー。

「あ、当たりが出ました!一等です!」

「へ?なに?なに?」

「え…マジかよ…」

 ゴロリと出てきたのは、燻んだ金色の玉であった。そう、それは紛う事なき一等賞を表している。

「一等、温泉ペアチケット!」

 抽選会会場スタッフが大声で叫びながら、ガランガランとベルを鳴らす。

 動揺する長谷川。

 一方の実は訳が分かっていない面持ちで、ただニコニコとしていた。

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