表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/32

弱ってる今がチャンス理論

「お嬢様…次は、フェリシアお嬢様が悪徳商人アイザックに言い寄られて、思い切り突き飛ばしたと噂になっています…」

ミーアがこめかみを押さえながら報告してくる。

「反省してます…」

騒ぎが大きくなり、フェリシアといじめっこ三人組は教師にコッテリと絞られ、アイザックは病院に行った。騒動後も学園に残っていたミーアは、級友たちに根掘り葉掘り聞かれて苦労したようだ。


「ひとまずお見舞いに行きましょうか…」

ため息をついて、ミーアが提案をする。

「そうですね…私のせいですものね…。お見舞いに行って、今度こそ婚約したんだとアピールしませんと」

「そうと決まったら、お花を用意しましょう。花屋さんに行きますか?」

ミーアが身支度を始めながら、聞いてきた。

フェリシアは首を横に振る。

「いえ、私が温室で手折ってきます…」

「フェリシアお嬢様…」

あまり意味はないかもしれないが、せめてもの気持ちだ。心からの謝罪が伝わるように、自分の手で花を用意したい。

温室につくと、色々な花が咲き乱れている。本日の仕事は終わったようで庭師は不在だったが、毎日丁寧に世話をしてくれているのだ。つい、目移りしてしまうくらい多種多様な花がある。観賞用だけではなく、薬味として使うものもあるようだ。しかし、フェリシアには区別がつかない。本当に種類が多すぎて、どうしようか…。いざとなると悩んでしまう。

ふと、紫色の綺麗な花が目についた。アイザックの瞳と同じ、紫色の花。

これにしよう。きっと自分の瞳の色と同じだと気付いて、喜んでくれるはず…。10本ほど手折って、少し色合いが寂しいような気がしたので、近くにあった小さい、可愛らしい白い花も併せてみる。一気に華やかになった気がする。よし、これを持っていこう。

ウキウキ気分でフェリシアは温室から出た。


アイザックの病室はどこかと受付の女性に聞くと、呆れたような表情をされ、ぶっきらぼうに「505よ」と吐き捨てられた。なぜだろう…忙しくて虫のいどころが悪かったんだろうか。

仕事の邪魔をしてしまったのかと少し申し訳ない気分になりながら、505に向かって歩くと、なぜか廊下の途中でひとだかりが出来ている。女性ばかりだ。フェリシアたちと同じ制服なので、同じ学校の女生徒たちだろう。


「なんの人だかりかしら…」

「あそこって、多分505ですよね…?」


ミーアも怪訝なかおをしている。

病室に近づくと、女生徒たちの声が聞こえた。


「アイザック様、おかわいそう…」

「侯爵令嬢をめぐってガラの悪い人と喧嘩したんでしょ?」

「まさかアイザック様が侯爵令嬢と婚約してるとは思わなかったわ…」

「これをきっかけに別れたらいいのに~」

「ちょっと、玉の輿は私のものよ!」

「商家の奥様なんてあなたに似合わないわよ、私がなるべきよ」

「とーにーかーくー!弱ってる今がチャンスなんだから、せっせとお世話してハートをつかまないと!」


…。

ミーアが無言でフェリシアを見る。何とも言えない複雑な顔をしている。

どんな顔をしていいかフェリシアにはよくわからない。


アイザック様ってこんなにモテてたかしら…?


いつも学園では一人でいることが多かった。

よくよく考えてみれば、王国で一番の商家の跡継ぎ息子、金に苦労は絶対しない、学園一位の頭の良さ、見た目も女性的な線の細さはあるが、涼し気な目元も相まって、イケメンの部類に入る…かもしれない。

さきほどの言葉通り、弱っている今がチャンスとばかりに、アイザック狙いの女子生徒が群がってきたのだろうか。

ミーアがすぅと息を吸い、手をパンパン叩く。


「えーと! アイザック様の婚約者、フェリシア様がお見舞いに参りましたぁ! 道を開けてくださぁい!」


その声と同時に、女生徒たちが一斉に振り返る。なぜかとげとげしいものを感じるが気のせいだろうか…。フェリシアは怖気づきつつも、作り笑いを浮かべて病室に入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ